(ということで、エドワード・ベイズ(通称、エド)の765物語が始まったわけだが、当然のごとく芸能界、一筋縄では行かない。しかし、なぜかエドは平気。今日も今日とて、平然と春香たち4人の新人アイドルを率いて行く。)
エド。次はあのビルかな。
春香。飛び入りのアイドル営業ですか?。大胆なこと。
エド。今はしかたあるまい。響たちも付いてくれるか。
響。こうなったらとことんついて行くぞ。
紬。望むところです。
真美。何が起こるかお楽しみ。
(中堅の通信機器会社だった。エドが何となく名前を覚えていたから入ったのだ。受付に案内されて小会議室へ。総務と技術から一人ずつ来る。名刺交換。)
総務。へえ、765事務所ですか。
春香。ご存じのようで。
総務。ええ。近くのショッピングモールでしたか。アイドルショーをやっていた。
響。5人戦隊ものの前座の。
技術。有名なの?。
総務。あまり知られていないと思うけど、知る人ぞ知る優良芸能事務所。盛り上げ方がうまい。知らない人でもたちまち集まってくる、乗ってくる。
技術。じゃあ広告に使えるかも。
紬。御社は通信機器。ラジオとかテレビとか。
技術。そういうのも作ってみたいですが、どちらかというとプロ用の撮影機器や編集機器で有名です。
エド。世界企業です。
技術。あはは。たしかにその筋では知名度は高い。一部の製品のシェアも持っています。でも、大手のように何でも、と言うわけには行かない。
総務。じゃあ、ショールームに行ってみますか。郊外です。
(なんだか知らんが意気投合したみたいで、郊外の研究所に社用車で行く。東京から西へと向かう。連絡を受けたショールームの担当者が出迎えてくれた。)
担当。本物のアイドルですか。
総務。中堅どころの。
担当。ふむ。絵になるかどうか試してみましょう。
(いきなりショールームへ。小さなスタジオだった。)
真美。よく見る光景。
エド。そうだよ。この会社が世界の映画や放送業界を支えている。
技術。それは言い過ぎ。
春香。本当にPV撮れそう。
技術。もちろん撮れます。試してみましょう。
(適当に配役を決める。15秒程度のコントをエドが即席で作って、口頭でアイドルたちに知らせる。撮影開始。すぐに終了。)
担当。さすが本物のアイドル。一発で決めた。
紬。あれは練習です。
エド。ライターも演出家もいませんから。
総務。にしては良かったぞ。このまま放映しても良いくらい。
技術。商談成立なの?。
総務。そういうことになるか。とにかく稟議に上げます。
(多少のやりとりはあったものの、結局、パンフレットや電車内広告の一部に採用されただけだった。ただ、技術と担当が気に入ってしまったので、機器のテストの被写体には何度も呼ばれることになる。もちろん有料だから仕事にはなっている。)