典子という女

2013-09-05 | 日記

               

弘兼憲史著 『 課長 島耕作13 』 ( 講談社漫画文庫 1995年刊 ) より、本文の最後にある著者自身による “ マル秘絵コンテ集 ” のページである。ストーリーでは、メガショップのボス・大泉がクラブママ・典子の自宅で愛の最中に脳出血で倒れた。その後、大泉は入院先の病院で課長・島耕作の計らいで典子との密会を果たす。男性機能を失い右手も動かない愛人を、典子は懸命に叱咤激励するのである。それがこのシーンになった、と著者自身が書いている。

色んな男達と華麗な交際を続けてきた銀座の女、典子だがここに来て、自分の辿りつく最後の男を確認する。 動かなくなった大泉の手を自分の股間に導いて励ますというエッチなシーンだが、これを感動的なシーンにうまく昇華させることが出来た。自分でも結構好きなシーンである。

という。確かに性的な場面であると思うけど、第三者からみればそれはそうに違いないけど、これは第三者の問題ではなく、二人のこれからの愛と孤独の問題であるのだ、と思う。男と女の単なる 「 性 」 が、しかしどんな艱難にあってさえも生きなければならない、という 「 生 」 に変容した瞬間ではなかったか、と思うのである。まあ、あんまり言わないほうがいいのかも知れない。ただ端的に申せば、僕はこのコミックで、虚飾のない純粋なシーンに出会った、と思うから書いてみた。エロスとは生命のことである。

 


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