京都発・町家・大工はんなり日記

京都で仕事と道具を楽しみながら毎日過ごす。

焼き鈍し

2006-08-12 20:41:47 | 道具箱
焼き鈍し

焼き入れ・焼き戻し・焼きならし・焼き鈍し(なまし)など鋼の性質を引き出すための熱処理がありますが最後の焼き鈍しは、刃物を研ぐ時に影響が出る物だと聞いています。

743℃から始まる焼き鈍しの行程は藁灰の中でゆっくりと時間を掛けてさましていくのです。この行程が巧い人の刃物は研ぎやすいと言われています。

一般に言う砥石ののりが良いのでです。岩崎航介氏の「刃物の見方」と言う物に書いてありました。その証拠に他の金属を砥石の上で研いでも刃物のようには行きません。

焼きなましをすることにより
1.鋼に粘りが出る
2.砥石ののりがよくなる
3.焼きひびが入りにくい
4.わらを、そのつど燃やしている為炭素が逃げない
などとあります。

私が使っている3本の白柿がありますが一番上の物は細いのですがとても研ぎにくく刃の角度もなかなか決まりませんが、中と下の2本は実際に研いでみて非常に研ぎやすく砥石ののりが良いのです。

中の物は長弘さんの物で下のは清久さんのものです。清久さんの物は鑿と同じくコバまで鋼がしっかりと巻いてあります。