海に吹く風

海の大好きな私
ここで皆さんとお話しましょう

日々思うこと、短歌についても書いていきます

2015-06-28 04:55:59 | 短歌


マニキュアとふ言葉を知らぬあのころの手に並べたる桜貝美し

鋭角のガラスの並ぶ高塀を見上げ海への道を歩みき

拉致といふ言葉はあらず浜寺の海にひとりで遊びし頃は

臨海のコンビナートの運河には海の名残のささやかな波

この海に白き砂浜ありしこと知つてゐるのは老人ばかり

埋め立ては半世紀前にはじまりぬもうほどけない配管の束

感情を持たぬ光のまぶしさよ湾岸に建つ石油プラント

工場の夜景を愛づるクルーズは若者たちの歓声に満つ

限りなき水のあることいつの日も救ひでありき海を見に行く

たこフェリーの復活ならず海峡にライトミントの明石大橋

空を飛ぶ自由の代はりに失ひしもののあるべし海の上の鳶

腕と腕握り合はせて鉄骨のトラスは橋の重みを支ゆ

蛸壺にしばしの夢を見たるのち甲板を走る海峡の蛸

表面も中も優しき明石焼きなにか足りないやうな気がして

沈みゆく夕日の余韻オレンジの帯は揺れつつ護岸へと伸ぶ
コメント
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