闇市を横切る女のくちびるの赤さに咲けり冬の薔薇は
三句までは「赤さ」への序詞のような構造になっている。
「闇市を横切る女」のイメージは戦後間もなくのころ米兵相手の<職業>の人。
私はもちろんリアルでそういう人たちを見たことはなく、ドラマの中のステレオタイプのイメージしかない。
「服は派手な模様のウエストはぴったりスカート部分がたっぷりのフレアーのワンピース・髪の毛はカーリーでバンダナのようなものを結んでヘアーバンドにしている・そして口紅は真っ赤」
冬に咲く真っ赤なバラは凛として美しいが、灰色の季節にそこだけの赤い花びら・・悲しみや苦しみを背負って咲いているようなどこか痛々しいイメージを持つ。
ぎりぎりを生きているような・・だからあの赤さがあるのではないかと。
ああいう<職業>についた人はやむを得ぬ事情だったのではないかと思う・・これもステレオタイプの感想かもしれないが。
衣食足りていながらブランドのバッグやスマホの通信料を稼ぐために外側に<援助交際>というまやかしの砂糖をまぶした売春をする少女とは明らかに違うと私は思いたい。
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