風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

ミャンマーの民衆のために涙を流す

2007-09-29 00:00:59 | コラムなこむら返し
 ミャンマー(ビルマ)のデモ取材中死亡したAPF(アジア・プレス・フロント)通信社の長井健司さんは、どうやら至近距離から軍兵士に狙い撃ちされて死亡したようである。ヤンゴン市内のスーレー・パゴタ付近で民衆の中に入って小型ビデオカメラを回していた長井さんが、近くにいた軍兵士に小銃で至近距離から撃たれ1メートルほども吹っ飛んで倒れるシーンが、TBSTVの「NEWS23」で放映された。
 そのシーンは、ロイター通信社の配信した写真として28日付けの朝日新聞朝刊にも載っていたが、どういう訳かこれはトリミングされていた。夕刊にも同じ写真が掲載されたが、カメラはもっと引いており実は警棒を振り上げて民衆を追い回す治安部隊(警官)の手前には明らかに小銃を構えた政府軍兵士がおり、その足下にカメラをやや振り上げた長井健司さんが、あおむけに倒れている。
 対面のビルの屋上から撮影されたらしいTVカメラとこのロイターの写真はほとんど動かぬ証拠だと思われるが、福田首相をはじめとする新政府閣僚は慎重な発言をした。それに比べ、この地域では何の権益も政治的利害も派生しないのかアメリカはいち早く「経済制裁」を発動した。アメリカの銀行に口座を持つミャンマー政府高官の資産凍結と経済制裁をすると言う。

 1988年の社会主義政権が倒れる時、どさくさにまぎれるようにクーデターで政権をとった現軍事政権は、民主勢力のシンボルであり、リーダー(国民民主連盟/NLD)であるアウン・サン・スー・チーさんを自宅軟禁したまま目に余るような腐敗と国民の財産の私物化をおこなってきた。貧窮した国民は、今回石油や天然ガスの値上げによって諸物価にはねかえり、さらに貧困を強いられることに反発して立ち上がった。それを支援したのが、民衆の側に立つ数十万の僧侶であった。伝えられるところによれば、少年僧を含む僧侶5名が死亡、500名余の僧侶が逮捕されたと言う。

 いま、在日のビルマ人がたくさん住む高田馬場周辺のビルマ人社会は不安な気持ちで成りゆきを見守っていることだろう。祖国がどうなるのか? 親戚は大丈夫か? 民衆はどこへゆくのか?
 政治的亡命のビルマ人活動家もいる国外のビルマ人社会はハラハラしながら、耳目をそばだて、ニュースを見つめ、そして自国の民衆のために涙を流しているに違いない。軍事政権の大使館に抗議活動に行っているかも知れない。
 ボクもまたこの敬虔な小乗仏教の国のなりゆきを見つめたい。

(真実を伝える取材の途上で殉職した長井健司さんの霊に哀悼の念を表明いたします。合掌)


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3 コメント

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血にまみれた政権が長続きしたためしがない。 ()
2007-09-29 18:51:28
血にまみれた政権が長続きしたためしがない。
けれども「民主的」であることが免罪符とはなりえない。

おっと、血にまみれた政権が長続きした歴史は過去に数多くあったのだ。
権力に倒れた無数の無名の人たちよ、あなたがたの死を無駄にする現代が、心の底から新生することを、祈り、見守り続けていて欲しい。
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うん、鮪さん! (フーゲツのJUN)
2007-09-30 00:44:29
うん、鮪さん!

>権力に倒れた無数の無名の人たちよ、あなたがたの死を無駄にする現代が、心の底から新生することを、祈り、見守り続けていて欲しい。

なるほど死者たち(犠牲者たち)から祈られるのは、ボクらなんだ。ひとつの国の建国史が血塗られたもの、もしくは民衆の血の犠牲による国(実は民主主義の生まれたフランス革命もそうだ)の歴史をかかえることは、実は現代もしくは未来の民衆(人民)によって喚起されることでなければならないね。
「戦争体験」というのも、その意味では同じだね。英霊に祀りあげるのでなく、わたしたちが死者たちに見守られていることを自覚しなければならないね。

死者たちよ 生者たちよいま 生命かけ 死に価する 祖国や否や

いまこの現在からビルマの民衆と日本人に捧げる短歌です。
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今回のビルマにおける軍事政権の強権的な民衆弾圧... (フーゲツのJUN)
2007-09-30 00:49:10
今回のビルマにおける軍事政権の強権的な民衆弾圧が、民衆の民意を反映した政府をつくるきっかけになって欲しいと思います。このことに関してミャンマー政府への抗議行動、民意を押さえ付けるな、弾圧するな、民衆に発砲するななどの直接行動を取りたい方は、メールで駐日ミャンマー大使館へ抗議メールを送ると言う手段があることを、ボクのもうひとつのブログの書き込みで知りました。
こういう共感の表わし方もあります。
在日ミャンマー大使館→contact@myanmar-embassy-tokyo.net
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