風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

狂おしき愛/ウニー・ルコント『めぐりあう日』

2016-07-30 23:26:42 | シネマに溺れる
岩波ホール『めぐりあう日』公開初日。『冬の小鳥』でデビューしたウニー・ルコント監督の出自にまつわる三部作構想の第二部にあたる。
はっきり言って、メロドラマである。で、ボクはメロドラマがダメなのだ。途中退場しようかと思うほど物語に入っていけない。このテーマはむしろノンフィクションで追及すべきではないだろうか?
では、なぜ途中退場しなかったかといえば、ラストにブルトンの『狂気の愛』の一節が使われると知ったからだ(パンフ売り場にブルトンが置いてあって何故?と思っていたら初日挨拶で岩波ホール支配人がそのことを語っていたから知った)。
その言葉は、映画がこの現実世界を一歩も出なかったように、津久井やまゆり園障害者虐殺事件を経たばかりの現在の日本でも、アクチュアルに通用する含蓄あふれる言葉で、シュールレアリズムの旗手だったブルトンのイメージとは、ほど遠いブルトンが娘へ与えた生命賛歌だったのである。

この映画の原題は、ブルトンの『狂気の愛』のラストのこの言葉から取られている。

「あなたが狂おしいほどに愛されることを、わたしは願っている」

どうしてこれが、『めぐりあう日』となるのだろう?含蓄も何もない邦題だ。

そもそも『狂気の愛』の翻訳タイトルもおかしい!
『ナジャ』のイメージでブルトンを考えていると、それはとてつもない尋常を超えた「愛」を考えてしまうだろう。
実は、それは「狂おしい愛」のことなのだ。
それも、娘に対する思いやりと、愛情あふれる言葉だったなんて!
評価(★★1/2)

公式サイト:http://crest-inter.co.jp/meguriauhi/index.php

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