風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

『ひこうき雲』〜女が立ち向かった80年代

2016-03-25 01:00:13 | コラムなこむら返し
家人が見ていて何気に見てしまった『ひこうき雲』(NHKBS2016年3月24日22:00~)。
80年代を大学生そして就職活動を生きた、いや生きるために戦かわざるを得なかった一女性を主人公にしたものだった。主人公は部屋にユーミン(荒井由美時代)のポスターをベタベタ貼り、ユーミンの楽曲に励まされながら恋を、就活を前向きに乗り越え生きようとする。

80年代の描き方がバブルにせよ、「ジュリアナ東京」などなどステレオタイプだと思いながらも、どこか少女漫画の乗りというか、岡崎京子的不条理感も漂っていた…。
「男女雇用機会均等法」がこころある女性たち・男たちの危惧を無視して採決・施行された時代の、そんな女性活躍旗ふり時代の始まりにふりまわされる女性が良く描けているかも知れないと言う感想を持った。
それで注視してエンドロールの脚本を見ていたら本を書いたのは男性だった。いや、どうやらエンドロールをすばやくスクロールしてみれば、酒井順子の著作が下敷きになっていたようだ(『負け犬の遠吠え』『ユーミンの罪』あたりか?ところで、録画はしてません)。

なるほど、そうでなければ男の想像力の及ばない世界がこれほど上手く提示できる訳がない。
劇の中では30年の時が流れ(つまり時制はほぼ現在になる)、では主人公は、いや全女性はどうなったのか?
すべての働く女性たちは、そんな時代にどう立ち向かい生きたのか?

男の論理が支配する企業社会に風穴をあけるべく、ドンキホーテのようにひとり立ちはだかる世界へ立ち向かった主人公は、結局は企業社会に打ち負かされ、手に入れた出版社勤めも三年で辞め、細々としたエッセイ・コラムを書きながら暮らしてきたのだった(これは酒井順子そのものの姿か?そう言えば、主人公を演じた広瀬アリスは酒井順子に眼鏡といい、どこか似ていた)。

ところで、ボクはと言えば80年代はもっとも嫌いな時代です。
(写真は酒井順子さん。エッセイスト。とっても素敵な方ですね。)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿