風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

ヴァレンタインズ・ディ/ナナオからのプレゼント

2008-02-14 19:23:14 | コラムなこむら返し
Horagai_face ヴァレンタィン・ディの14日(セント・ヴァレンタィンの由来や、この日の菓子業界のウソッパチな仕掛については、これまで何度も書いて来たので今日は書かない)、駅ビルのチョコレート売り場の繁昌ぶりを横目で見て、売り場に群れる娘たちは南の国のカカオ農場の悲惨な現実には無関心なのだろうなどということを考えながら国分寺近くの古書店へ行く。そして、偶然にもナナオサカキの詩集『地球B』(人間家族編集室、1989年)を100円で見つけ、そのまま放置するのも忍びなくて購入してしまう。

 かって、この詩集の発行元のミニコミ誌『人間家族』編集室とその印刷部門だったスタジオリーフがこの同じ街にあり、「部族」が立ち上げた日本最初のロック喫茶「ほら貝」の系譜をひく店がいまだこの街にあるのを古書店主は知ってか知らずかわからぬが、ナナオも比較的足を運ぶ街でナナオの詩集を見つけるのも何かの縁と思い買う事に決めた。実は、2冊目なのだが……。

 で、その中の1編に以下の詩があり、よりにもよってまさにその日なので、すべてのひとにこの1編を贈る!
 とりわけ、チョコレート売り場に群れる娘さんたちに捧げたい……。
 (ナナオがこんな優しさに満ちた詩を書いていたなんて、忘れていた。詩も生き方もシンプル・イズ・ベストだね!)

Valentine's Day

You have no touch of class,

no touch of uniqueness,

no touch of elegance,

no touch of mystery,

I love you!


   ヴァレンタインズ ディ

 身分を気にせず

 個性を売らず

 優雅をてらわず

 謎めくこともない


   だから

   好きさ

   君が

       ナナオ(1982・2)

(写真)国分寺・スナック「ほら貝」看板。昔は看板もなにもないそっけないお店でしたが……。