風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

いのちの食べかた/"食べる" 映画特集

2008-02-09 01:34:33 | コラムなこむら返し
Our_daily_bread_1 前評判の高かった『いのちの食べかた』(2005年オーストリア・ドイツ映画)をやっと見る。というのも、この映画はおそらくボクが「肉(29)の日」と名付けた2月9日のZAIMでのイベントに設定したテーマにかならずやかかわるテーマが描かれているにちがいないと思っていたからだ。
 この映画がイメージ・フォーラムでかかっているときは、渋谷まで行くのがおっくうでなかなか腰が重かったのだが、現在拡大ロードショーで東中野の「ポレポレ東中野」で上映がはじまったのを偶然知ったからだった(かってこの同じ場所にあった「BOX東中野」は閉館したらしい)。
 で、調べてみるとこの映画の上映にあわせて「"食べる"映画特集」というのをレイトショー形式でやっている事がわかった。『肉』(1976年アメリカ)や『ダーウィンの悪夢』(2004年フランス/オーストリア/ベルギー)などの秀作がリストアップされている。そして、驚くべき事におおよそ30年前のこのような「食の安全」が言われ始めた頃、消費者自身が自給農場を建設したその記録『不安な質問』(1979年日本)までもが、リストアップされていた。この映画に関してはまた書きますが、必見です(2月13日21:00の回。ボクはこの映画の自主上映会をかって開催しました)。

 さて肝心の『いのちの食べかた』ですが、なぜこんなにもブログなどで評判になっているのかボクには分かりませんでした。このナレーションも、台詞も、インタビューもない映画に感動した多くのひとたちは、現在世界中で行われている工業化された大規模農業や、酪農の実体に無知だったひとたちなのでしょう。
 だからと言って、ボクとて何から何まで知っている訳ではありませんが、すくなくとも自身近代農業に反対して、百姓の真似事をしたり、共同購入会にかかわってきたものとしてはこの映画で描かれている農業の実態は、巨大規模化しているとはいえ、常識だと思っていました。
 と畜の実際を根掘り葉掘り知っている訳ではありませんでしたが、鶏を飼った経験もあるボクは(その鶏は「たまごの会」から譲ってもらったロード種でした)畜産農家の多少の事や、屠畜の実際等のことは多少は知っておりましたので、この映画の今さらながらの評判に逆に驚くしかなかったのです。

 で、ボクにとっては午前の会のレイトショーで、同じ日に見た「"食べる"映画特集」の1本『人間の街』という大阪の被差別のドキュメンタリー映画がとても面白かったのです。と畜の伝統的なこともよく分かり、とても勉強になりました。

 ※原題は「OUR DAILY BREAD」で、『いのちの食べかた』という邦題は森達也さんの子供向けにやさしく書かれた本の同名書がヒントになったようです(理論社2004年)。

『いのちの食べかた』(2005年オーストリア・ドイツ映画)★★★1/2
『人間の街??大阪・被差別??』(1986年日本)★★★★