風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

花咲か爺さん、「サイエンス」に載る!

2007-04-24 00:46:41 | コラムなこむら返し
Asahi_com_news_florigen いや、驚いた。「花咲かゾンビ/染井吉野」の記事で書いたことが本当に解明されただなんて!
 ボクは、こう書いた。
 「娘が思いついたように桜のはなびらで枯れ木に花を咲かすエキスが抽出できるのかも知れない。そのような「花咲か爺」のような花のエキスを作れるものなら、作って欲しいものだ。東京都知事を落選したドクター中松にもがんばってもらいたい分野である」と。

 このような花に花咲かす開花ホルモンの存在は、すでに1937年に旧ソ連の植物生理学者チャイラヒャンがその存在を「フロリゲン」と命名し、予測仮設として発表していたという!
 そして、この「花咲か爺さん」の「灰」は、チャイラヒャンの仮設発表からちょうど70年目の今年、ドイツと日本の研究グループがほぼ同時に特定し、発見した!

 日本でのこのようなバイオサイエンスの先端技術の研究のトップを走るのは、奈良にある奈良先端科学技術大学院大学(バイオサイエンス先端技術科)の島本功教授のグループで、この19日付けの「サイエンス」web版にてドイツのマックス・プランク研究所の研究グループの研究成果とともに発表されたそうだ(検索するも該当ページを発見できなかった。もっとも学術論文を読むほどの英語力はありませんが……(トホホ))。

 奈良の島本グループの一員と思われる先生(玉置祥二郎氏)が、この発表を受けて25日に奈良でセミナーを開催する情報にはたどりつけたので、紹介しておく。

『演題 イネの開花遺伝子Hd3aの機能解析‐Hd3aタンパク質はフロリゲンか?
- Is Hd3a protein a mobile flowering signal in rice? -
講演者 玉置 祥二郎 氏
バイオサイエンス研究科 植物分子遺伝学講座
日時:平成19年4月25日水曜日 17:30 -
場所:バイオサイエンス研究科 大セミナー室
内容:イネにおける開花遺伝子 Hd3a は、シロイヌナズナにおける花成統合遺伝子 FT と高い相同性を示す。Hd3aを過剰発現させたイネは早咲き表現型を示すことから、 Hd3a もFT 同様イネにおいて花成を促進していると考えられる。シロイヌナズナの FT は近年の分子遺伝学的解析により長年探索され続けた花成ホルモン‐フロリゲン‐をコードするのではないかと考えられているが、その実体は不明である。

 フロリゲンは、開花を誘導する日長条件(短日植物であるイネでは短日条件) におかれた植物の葉で作られ、維管束を通じて茎頂へと運ばれると考えられている。FT は葉の維管束で特異的に発現していること、茎頂においてタンパク質として機能し下流の遺伝子の発現を誘導していることなどが明らかとなっているが、どのような状態で葉から茎頂へと運ばれているのかは不明である。

 本研究では、イネにおける開花遺伝子Hd3aを用いてフロリゲンの実体を明らかにすることを試みた。まず、 Hd3a の発現部位を詳細にするために組織別の発 現解析を行ったところ、Hd3a mRNA は葉身でのみ検出され茎頂分裂組織におい てはほとんど検出されなかった。より詳細にHd3a の発現部位を調べるために Hd3a プロモーター領域を用いてGUS遺伝子を発現させたところFT 同様維管束特 異的な発現が観察された。次に、Hd3aタンパク質の植物体における挙動を生体内で観察するためにGFP を融合させたキメラタンパク質をHd3a プロモーターおよび維管束特異的なプロモーターで発現させた形質転換体を作出したところ Hd3a:GFPを導入した植物はどれも早咲き表現形を示した。これらの植物体の茎頂分裂組織を観察したところ、茎頂分裂組織においてHd3a:GFPの蛍光が観察された。このことは、これまで不明とされたフロリゲンの実体がHd3a mRNAではな くHd3aタンパク質であり、短日条件下のイネの葉で発現したHd3a タンパク質が茎頂へと運ばれることにより花成を誘導していることを示唆している。
(Plant Meeting)
お問い合わせ先 形質発現植物学 相田光宏 (m-aida@bs.naist.jp)』
引用先→http://bsw3.naist.jp/seminar/

 ドイツの研究グループの発見は、ここにあるHd3aとよく似たFTたんぱく質が葉で生成され、茎の先端まで移動したと言う内容らしく多くの植物に共通の開花ホルモンがあるらしいというところまでが、解明されたという訳だ。

 凄いです! うん、「フロリゲン」という命名も素敵だが(フローラはラテン語で「花(の女神)」のこと。英語のフラワーの語源です)、70年前に予言されたホルモンを探究して探し出すというそれが、また先端技術だということが凄いです。これは、今後の、農業へ適用されれば、あらたな「緑の革命」になる可能性があります。どうか、このホルモンの製品化が「農薬」の形態をとらないで、飢餓の時代へのそして飢餓に苦しむ地域への福音となりますように……。

 うん、この驚きを擬音(オノマトペ)で伝えるには、これしかありません!

 チャイラヒャン!!(笑)

(画像はこのニュースを伝えたasahi.comからの引用です。4月19日付け)