風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

マザー・グースな店(3)

2007-04-16 02:07:22 | コラムなこむら返し
Mother_goose_1 この蕎麦屋さんの面白さは、きっと御夫婦の感性によるのだと思います。奥さんはガーデニングそしてギャラリー、旦那は趣味が嵩じて店まで開いた蕎麦打ち、そして大工仕事。

 そして、蕎麦屋と併設されたカフェはギャラリーにもなっており(1週間1万円という破格の安さです。ただし、最寄り駅から遠いですが……)、水彩画や絵手紙の展示などがよく開催されているようです。上品な感じの奥さんはみずからも絵筆を取られるようです。庭はすこし荒れた感じですが、そこがナチュラルでボクは気に入ってしまいました。どこか英国風で、「秘密の花園」ぽいところも良い。その庭を鑑賞するだけでなく気楽に歩き回れるところも、ガーデン席の良さです。

 実は、動物は前回紹介したものだけではありません。ボクが知る限り他にネコ、そして烏骨鶏(うこつけい)そしてガチョウがいます。烏骨鶏は、高血圧症にめざましい効果をもつそうで、ここでは烏骨鶏の産みたての卵も販売しています。

 ガチョウはおそらくここでは一番のアイドルでなければならないでしょう。なんとなれば、ギャラリー・カフェのスペースの名前は(中はほぼ一緒ですが、蕎麦屋の名前とカフェの名前が一応2つあります)その名も「GOOSE」というのですから!

 マザア・グウスのおばあさん
 いつでもあるく そのときは
 きれいながちょうの 背にのって
 空を ひょうひょう 翔(か)けてゆく

 しかし、けたたましくグェグェ~~と鳴くうるさいガチョウです。店を出てからボクが、烏骨鶏の飼われている小屋に近付くとまたもや警告の鳴き声をたてて威嚇をかねた警戒警報を発令します。ガチョウは烏骨鶏の群れの真ん中にいて、この動物ランドの「女王様」気取りなのかも知れません。

 マザア・グウスの すむ家は
 ひとつ ちんまり 森の中
 戸口にゃ 一羽の梟(ごろすけ)が
 みはりするので たっている
 (「マザア・グウスのうた」北原白秋・訳)

 ここに飼われている動物たちは、ペットと呼ぶにはなかなか気骨ある持ち主が多い。動物たちに「骨」があるということは、烏「骨」鶏(うこつけい)のいるせいでしょうか。あ、これは軽いジョークです(笑)。
 ボクはこの日、一日いや半日のうちに陸ガメとガチョウの2匹から威嚇されてしまったのでした。おかげで、とんでもなく愉快な半日を過ごしました。

 マザー・グースのすんでいるようなこの店は、なんとも珍妙、不可思議な、そして楽しいお店です。

(了)

 (写真3)烏骨鶏を守るかのように警告の鳴き声をたてるマザー・グースの女王様!