![Fllowerfes_07_3 Fllowerfes_07_3](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/e9/fd2293f56ef2031319f5676d852d04ce.jpg)
最初に行った寺は、境内に築山してあって不動妙王の眷属の像が配置してある。こじんまりとしているが、なかなか素敵な寺である。若い住職も話し好きで親切であった。甘茶は直接、住職からふるまわれました。
御堂はシンプルだったが、屋根が花で葺いてあり「花御堂」の風情で美しかった。
で、甘茶を誕生仏におかけすると、どうも天を指差すその指に何か刺さっている!
と見るや、それはお参りに来た方が、天を差すお釈迦様の指に穴の空いたコイン、つまり5円玉や、50円玉を差しているのだった!
最初、誕生仏が手にチベット仏教の経典のようなものを持っているようにさえ見えてびっくりしていたのですが……。
若い住職の話では甘茶は一切砂糖を使っていないと言うことだったが、どうしてどうして甘い。いや、最後に判明するが、一番すっきりとした飲み心地だったのだが、甘味が口に残る。しかし、その甘さは不思議な甘さだった。
これこそ「アムリタ(甘露)」だったのか?
ふたつめは、山門から入りしなの両側の桜が美しい寺。散りかかった桜が桜色の絨毯に参道の石を埋めていて情緒があった。
この寺も古く、ボクが住む町の歴史的な板碑が保存されており、そこから300メートルくらいしか離れていない歴史館にそのレプリカが展示されてあるほど。にもかかわらず、肝心の本物は観覧料を取られるせいなのかほとんどひとが入っているのを見たことがない。
朱の漆塗りの御堂の中で、やや小太りのお釈迦様が「天上天下唯我独尊」のポーズで立ってらっしゃいました。
みっつめも、室町初期に建立されたと言う古刹です。東京都天然記念物指定のケヤキの巨樹があることでも知られています。高さ27メートル、根回り7メートル超といいますから、それこそ奥多摩の巨樹にも匹敵する立派なものです。この寺にはもう1本、樹齢600年と推定される高さ30メートルのカヤの古木もあってこの寺へ行くといつも身が引き締まります。
こちらの誕生仏はどこかアジア的なものを感じました。なかなか素敵です。
で、こちらの寺は「甘茶は入り口でどうぞ」と書かれてあってどうやら申し込み制(笑)のようです。それも、カップなどがある訳ではなく「なにか入れ物はありますか?」と問われる。そこは、心得たもので「はい!」と満面の笑みを浮かべて小型の水筒を差し出す(笑)。
もう、飲み切れないくらい甘茶をいただきました。そんな、参拝客は珍しいのか、住職さんまで顔をだす。そこで「潅仏会おめでとうございます!」と、微笑みながら挨拶をするボクなのでした。
というのも、ボクは小さい頃から「花まつり」が大好きで、長崎では寺町へ、東京に来てからは谷中に住んでいたものですから、よく日暮里駅近くの寺へ一升瓶をかかえて甘茶をいただきに行った思い出があるからです。
甘茶は、お釈迦様が誕生なさって七歩歩いたのち「天上天下唯我独尊!」と口を開いた時、天から祝福の甘露(アムリタ)が降ってきたという仏典の転生譚に由来するものですが、それゆえにか寺からふるまわれるものであり、甘いものの簡単に手に入らなかったボクなどの世代には貴重なそして嬉々としてしまう「子どものおまつり」でありました。
4月8日の意味も知らない今どきの子どもたち、そして若者ととは違い、甘いものに飢えていたボクらの世代には、貴重でありがたいお釈迦様の贈り物であったのです。
ちなみに、最後の寺は曹洞宗、2番目の寺は臨済宗で、両方とも禅宗のお寺でありました。
ああ、そうそうもうひとつ、4つめも行ったのです。しかし、そのボクの住む町で唯一と言っていい国宝の「千仏地蔵堂」のあるこの寺は、どういう訳か、「花まつり」の御堂はおろか、誕生仏も、ポスターもありませんでした。かわりに、ボクを迎えてくれたのは最近つくられたらしい石造の仏群で、ボクは寂しい思いをしたのでした。
甘茶ツアーのランキングは、この訪れた寺の順番通りでした。なんとも不思議な甘さを残し、それでいてすっきりとした(ちょっとミントのような味)爽涼感のある一番目の甘茶が、ランキングの1位です。
それにしても、このツアーの最中、幾度もボクは甘茶を甘酒、甘酒と言い間違え、よっぽど酒かすを使った甘酒が飲みたかったようです。とはいえ、あれも甘すぎるのですが……(笑)。
しかし、ここまで書いてきてボクの何と言う独善的な評価ぶり! それは、そうなりますとも。ボクも7歩あるいてこう言うでしょう!
「天上天下唯我独尊!」
(写真3)東南アジア的なスタイルを感じた誕生仏。古刹にふさわしい可愛いお釈迦様でした。