『スポーツの世界は学歴社会』
橘木俊詔 齋藤隆志 著 PHP研究所 2012年
9月中旬からパソコンが入院しており、「読書ノート」を2回お休みさせて頂いていました。実はまだ少々トラブルが残っており、問い合わせ中ですが、とりあえずは復活です。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、本書。結論はタイトル通り「スポーツの世界は学歴社会」というもの。では、なぜそうと言えるのかというのが本書の読みどころである。著者達は日本で、より浸透している「野球」「サッカー」「大相撲」などの競技を一つ一つ数値に置き換えて分析している。
例えば、スポーツにおける「成功者」に学歴は関係するのかということを調べる時、計量経済学で用いられる回帰分析を用いている。本書の回帰分析を簡潔に伝えるなら、成功した人達の「学歴」以外の要因を取り除き、実力指標を変数にして学歴だけが異なる選手間の成功度を比較するというもの。
ちなみに、野球における実力指標は、
・ドラフト会議の指名順位
・何年のドラフト会議で指名されたか(ドラフトはその年によって出来不出来が存在するし、制度がかわることもあるため)
・甲子園の出場経験
・社会人経験
・年齢
としている。この5点の実力指数を見ると読み手も納得できるものがあるだろう。そしてその結果、大卒選手が高卒選手よりも約7%ポイント高いというものであったという。
また、「成功者」という区分だけでなく、その競技の「指導者」になった結果や、競技引退後の就職先など、様々な角度から分析を行っている。そして総じて「大卒」のポイント数が高いという結果になっている。
それでは、「大卒」であればいいのかという疑問も浮かんでくる。本書ではその部分もきちんと踏まえており、大学を幾つかのグループ分けして分析している。その結果は、世間的にも有名な「東京六大学野球リーグ」が圧巻となってくる。
そうなってくると、なぜ「東京六大学野球リーグ」がと芋づる式に疑問が浮かんでくるだろう。ここでは、これらの歴史的背景も説明されており、今日本に浸透しているスポーツにそのような歴史があったのかという史実にも驚かされ、納得するものがあるだろう。
しかしである。今や学歴は家庭における収入と相関関係があるとされている。そうなると、スポーツをし続けるということで、まず考えなければならないのは家庭内における「経済」ということになる。つまり、「スポーツの世界も学歴社会」というのが、正しいタイトルということになリ、その背景にあるのはこれもまた「経済格差」というのは、何とも気が重いことである。
橘木俊詔 齋藤隆志 著 PHP研究所 2012年
9月中旬からパソコンが入院しており、「読書ノート」を2回お休みさせて頂いていました。実はまだ少々トラブルが残っており、問い合わせ中ですが、とりあえずは復活です。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、本書。結論はタイトル通り「スポーツの世界は学歴社会」というもの。では、なぜそうと言えるのかというのが本書の読みどころである。著者達は日本で、より浸透している「野球」「サッカー」「大相撲」などの競技を一つ一つ数値に置き換えて分析している。
例えば、スポーツにおける「成功者」に学歴は関係するのかということを調べる時、計量経済学で用いられる回帰分析を用いている。本書の回帰分析を簡潔に伝えるなら、成功した人達の「学歴」以外の要因を取り除き、実力指標を変数にして学歴だけが異なる選手間の成功度を比較するというもの。
ちなみに、野球における実力指標は、
・ドラフト会議の指名順位
・何年のドラフト会議で指名されたか(ドラフトはその年によって出来不出来が存在するし、制度がかわることもあるため)
・甲子園の出場経験
・社会人経験
・年齢
としている。この5点の実力指数を見ると読み手も納得できるものがあるだろう。そしてその結果、大卒選手が高卒選手よりも約7%ポイント高いというものであったという。
また、「成功者」という区分だけでなく、その競技の「指導者」になった結果や、競技引退後の就職先など、様々な角度から分析を行っている。そして総じて「大卒」のポイント数が高いという結果になっている。
それでは、「大卒」であればいいのかという疑問も浮かんでくる。本書ではその部分もきちんと踏まえており、大学を幾つかのグループ分けして分析している。その結果は、世間的にも有名な「東京六大学野球リーグ」が圧巻となってくる。
そうなってくると、なぜ「東京六大学野球リーグ」がと芋づる式に疑問が浮かんでくるだろう。ここでは、これらの歴史的背景も説明されており、今日本に浸透しているスポーツにそのような歴史があったのかという史実にも驚かされ、納得するものがあるだろう。
しかしである。今や学歴は家庭における収入と相関関係があるとされている。そうなると、スポーツをし続けるということで、まず考えなければならないのは家庭内における「経済」ということになる。つまり、「スポーツの世界も学歴社会」というのが、正しいタイトルということになリ、その背景にあるのはこれもまた「経済格差」というのは、何とも気が重いことである。