《猫と鼠・大津市歴史博物館蔵と鬼の念仏・個人蔵》 分類:地
大津絵(別名、追分絵とも呼ばれる)は、元禄(1688-1704)の頃に大津の追分(おいわけ)辺りで売り出され仏像、民間信仰、伝説などを描いた絵で素朴な味わいがあります。
それらの絵を売るために、題材に併せて歌い込まれたのが大津絵節ですが、文句も節も面白おかしいと云うので各地で、その土地の名物や名所を読み込んで替え歌が作られ、全国で流行りました。
これにより大津絵というと、簡素な筆づかいで描かれた絵よりも、一般には「唄」の方で浸透していったようです。
旧・鹿島村でも明治の頃に、当地の地名や名所古跡を織り込んだ替え歌が作られました。
漢学者でもあり、鹿島小学校に46年間奉職したという吉田正義 (※人物詳細は2017・10・1付ブログ参照) の作と云われています。 ▲歌詞の下に棒線(ー)を引いてあるのは鹿島の地名。 旋律 (メロディー)は、大津絵節による。
♪軍次山(くうじやま)から 熊が出て
矢田らに走る 走熊
名所七本松 後にして
久保みて通れば 今光寺
船も着かぬに 船戸という
それより御代の 大仏様拝みつつ
御代坂越えれば 岡小名で
向こうに見ゆる 遍照院
大原へった 一杯飲んべえ 徳蔵院
♪夕暮れに 小名浜を立ち退いて
水押し上(うわ)って あとにして
東の法華寺 拝みつつ
西の山田湯場 横に見て
御代坂登って 大仏様遥拝し
それより船戸 岩薬師拝みつつ
久保の里屋橋 通りぬけ
名所七本松 あとにして
走熊へと さしかかる
次は 下矢田 上矢田で
郷社鹿島神社に参拝し
それより進めば 軍次山
越せば 上荒川と谷川瀬で
平町 日光町に着きますよ
♪三沢の里へも 一度はおいで
名所古跡もありますよ
磐城七門一の向かいに
三沢の館あとあり
その上に 八幡公の陣どりし跡に
八幡神社の祭あり
それより西の作に 宗任貞任の石碑あり
この作を 霊墓(おきはか)作という
その上に 母の小屋掛けせし山を
小屋の山という
その下に 母の祈願所 薬師堂
それより奥を 花見平という
昔 平の城主 安藤信正の
花見せし所とか
越して小名浜海上眼下に見え
眺望すこぶる絶佳なり
それより西に下れば
小野谷村に 程近し
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