OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

これを聴けば、メタル・クリムゾンに覚醒しますよ♪

2014-02-14 15:10:20 | Rock Jazz

The Nightwatch / King Crimson (DGM=2CD)

 ★CD-1
   01 Easy Money
   02 Lament / 人々の嘆き
   03 Book Of Saturday / 土曜日の本
   04 Fracture / 突破口
   05 The Night Watch / 夜を支配する人
   06 Improv:Starless And Bible Black / 即興:暗黒の世界
 ★CD-2
   01 Improv:Trio
   02 Exiles / 放浪者
   03 Improv:The Fright Watch = The Mincer
   04 The Talking Drum
   05 Larks' Tongues In Aspic, Part Two / 太陽と戦慄パート2
   06 21st Century Schizoid Man / 21世紀の精神異常者

1997年に発売されたキング・クリムゾンの公式ライプ盤で、その中身は1973年11月23日のオランダはアムステルダム巡業からの演奏を2枚のCDに纏めた、所謂発掘音源集です。

という事は、結論から言えば、あの驚愕の問題LP「太陽と戦慄 / Lark's Tongues In Aspic」以降のキング・クリムゾンが何を目論んで、実践していたかが良~~く分かるという、なかなか有用なブツなんですよっ!

実際、サイケおやじは、この音源に接して以降、通称「メタル期」のキング・クリムゾンから絶対に抜け出せない中毒症状を患っているほどなんですが、しかしリアルタイムで聴いたのは、もちろんこのCDではありません。

それは良く知られているように、この日のライプは多分バンド側の意向で正式にレコーディングされ、その一部が英国BBC等々で放送された事から、夥しいブートのネタ元になっていたほどの人気音源なのです。

ただし、当時のブートはアナログ盤ですから、質の悪い塩ビの使用やプレス加工の稚拙によって、せっかくの優良音源がそんな諸々の悪条件では充分に活かせていたとは言い難く、今日の高音質ブートに慣れているお若い皆様がもしもそれを聴く機会があるとすれば、完全に???の気分に陥るんじゃ~ないでしょうか。

ところが、同時期にはもうひとつ、ようやく音楽用に適正なオーディオカセットが普及したところから、そういう音源がカセットテープという媒体で流通するようになっていました。

で、サイケおやじがこのライプ音源を初めて聴いたのは、ちょうど1975年のゴールデンウィーク、某輸入盤屋のバーゲンで、プログレ系のLPを3枚買うと、件のBBC音源が入ったカセットを特典で貰えるというエサに釣られてしまったんですねぇ~~~。

しかしプレゼントされたカセットには、そのケースにタイトル「1974年のライプ」と「曲目」が書かれたメモが無造作に入れられているのみで、もちろんジャケットなんかはありませんし、データそのものだって、今となれば間違いであったわけですが、中身はとにかく強力無比!

当時の凄すぎるキング・クリムゾンが約50分強、生々しく聴かれたんですよっ!

演じられていたのは「Easy Money」「Lament」「Book Of Saturday」「Exiles」「The Mincer」「The Talking Drum」「Larks' Tongues In Aspic (Part Ⅱ)」「21st Century Schizoid Man」という、つまりは「太陽と戦慄 / Lark's Tongues In Aspic」とそれに続く「暗黒の世界 / Starless And Bible Black」の2枚のアルバムに収録された曲をメインに十八番のアンコールヒットをやっているんですが、告白すればサイケおやじはこの時点で件のアルバム「暗黒の世界 / Starless And Bible Black」を全く聴いていませんでした。

それは当初、「太陽と戦慄 / Lark's Tongues In Aspic」があまりにも自分の感性とズレていた所為で、リアルタイムのキング・クリムゾンに見放されたいた結果であり、また経済的な問題もありましたからねぇ……。

その「暗黒の世界 / Starless And Bible Black」も、同じ1974年に出た「レッド」ですら、サイケおやじはスルーしていたというテイタラクだったんですよ、恥ずかしながら。

ですから、ここで聴いた「Lament」と「The Mincer」は全くの初体験曲であり、同時に演奏全篇から放出される躍動的なエネルギーに圧倒され、さらに驚いたのは「太陽と戦慄 / Lark's Tongues In Aspic」を制作した時のレギュラーメンバーとして、その作品の印象を決定的にする不気味な暴れを演じていたジェイミー・ミューア(per) が、ここでは参加していなかった事です。

つまりロバート・フリップ(g,key) 以下、ジョン・ウェットン(vo,b)、ビル・ブルフォード(ds)、デイヴィッド・クロス(vln,key) の4人だけで、こんなに激ヤバな演奏が可能なのかっ!?

そういう驚愕と感動がサイケおやじの内面で渦巻き、しかし冷静になってみると、アルバム「太陽と戦慄 / Lark's Tongues In Aspic」で演奏の隙間=空間を埋め尽くすピート&リズムを提供していたジェイミー・ミューアが抜けてしまったがゆえに、それを代替する義務を負わされたとしか思えないビル・ブルフォードのドラミングが驚異的な感性を爆発させ、そう思い込んでしまえば、ジョン・ウェットンの傲慢なペースワークも大いに魅力♪♪~♪

ですからデイヴィッド・クロスのバイオリンが美しくもエキセントリックな方向性を模索し、ロバート・フリップのギターが尚更に繊細と豪胆のバランスを崩しつつ、それが破綻寸前のスリルを提供しているのも納得して大興奮というわけです。

そしてもちろん、サイケおやじが不覚にも聴いていなかった前述「暗黒の世界 / Starless And Bible Black」と「レッド」の2枚のLPを買いに走ったことは言うまでもありませんし、そこで堪能出来た濃密な感動と興奮も、また然り♪♪~♪

それについては追々に拙プログで書いていく所存ですが、さて、そこで本日掲載した2枚組CDは既に述べたとおり、サイケおやじを目覚めさせたカセット収録音源の完全版とされるもので、当然ながらリマスターによって、音質も 向上し、各楽器の定位や迫力も増しているという、まさに80分強の桃源郷ですよっ!

ちなみに、これまた今では良く知られた事実なんですが、このライプ音源から「Fracture」「The Night Watch」「Improv:Starless And Bible Black」「Improv:Trio」「Improv:The Fright Watch = The Mincer」が加工されて「暗黒の世界 / Starless And Bible Black」のアルバムに用いられた真相を鑑みれば、後追いでそれらを聴いてしまった体験もあながち悪くはありません。

まあ、それは自分に言い聞かせる言い訳かもしれませんが、この頃のキング・クリムゾンはハードロック、英国フォークみたいなメロディ曲、そして暗黙の了解に基くアドリブの応酬や伝来の様式美を混然一体化させていた、それはそれは恐ろしいバンドでありました。

このあたりは、また別に発掘集成されたライプ音源箱「ザ・グレート・ディシーヴァー」や「レッド40周年記念箱」等々のCDセットを聴けば、尚更に感服すること必至の真実であり、その意味でサイケおやじは、ここで目覚めた直後のリアルタイムで入って来たキング・クリムゾンの新譜にして公式では2枚目のライプ盤「USA」の悪意さえ感じられる遣り口に、またまた熱くさせられたのですが……。

ということで、とにかく、こんなに怖い時期のキング・クリムゾンが分かっていいのかしら?

なぁ~んて思わざるを得ないのが、掲載した2枚組CDセットです。

極言すれば、アドリブパート主体の演奏では、ジョン・マクラフリンマハヴィシュヌ・オーケストラウェザー・リポートっぽい瞬間も現出するほどのジャズフュージョンっぽさがあり、同時に決して揺るぎないブリティッシュロック王道の様式美が見事に披露されていると思うばかり♪♪~♪

個人的には特に最終盤、「The Mincer」から「Larks' Tongues In Aspic, Part Two」へと熱く滾って盛り上がる三連発に死ぬほどの快感を覚えますっ!

繰り返しますが、「クリムゾンは気になるけど、ど~も、メタル期は???」という皆様には、ぜひとも鑑賞をオススメしたいのが、これですよ。

そして今も活動を続けるキング・クリムゾンだって、この時期の延長線上にあるという、なにか知ってはならない秘密を感じとるのも、また素敵じゃ~ないですかぁ~~。

なるたけ大音量で楽しみましょうね♪

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2 コメント

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やっぱりアムステルダム (ちんたろ男)
2014-02-14 22:33:35
この時期のクリムゾンに釘付けになったのは名盤ブート「コンスキュエンス・スペシャル」ですよね。「太陽と戦慄」は圧倒的にこのバージョンが素晴らしい。冒頭のウェットンの即興から静かにドラムがリズムを刻みはじめてベース、ヴァイオリン、ギターと重なって激しい演奏が頂点を極めた後、実に堂々としたギターがリフを刻み始める流れは眩いばかりに見事というしかない。その後も核心的に頂点を目指していく演奏は緊張を保ちながらも自信に満ち溢れている。前にも書いたけどミューアがいなくなって大正解だったのだ。この後もクリムゾンのブートはなん十枚と入手したけれど、結局これを超えるものはないと断言てきる。「USA」?なんであんなの出したのか、サッパリ分からん。知性の欠片もないわ。アムステルダムは「冷徹さと暴虐性が同居」した奇跡の瞬間だ!
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フリップの償い (サイケおやじ)
2014-02-15 14:51:23
☆ちんたろ男様
コメント、貴兄の熱い気持ちが伝わってきました。

フリップ御大も最近は自ら蔵出し音源を監修するほどですが、一時はそういうブツに対し、激しく憤って、それゆえにクリムゾンを活動停止にしたとか?

何が真実かは知る由もありませんが、とにかく今はガンガン、当時の音源が公式に出ていますから、中毒は進行するばかり(苦笑)。

しかし、やはり「USA」は噴飯物でしょうねぇ……。
なにもレギュラーメンバー以外のミュージシャンのプレイをダビングする必然性は無く、中身の編者だって中途半端でしょう。

まあ、だから後年、「ザ・グレート・ディシーヴァー」を出して、罪滅ぼしをしたんでしょうか?
何れにせよ、ファンには嬉しいわけですが……。
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