OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

楽しくなければポップスじゃない!?

2009-11-12 11:03:08 | Pops

ヘンリー8世君 / Herman's Hermits (EMI / 東芝)

所謂ブリティッシュ・インヴェイジョンと呼ばれた1960年代中頃からの英国ロック&ポップスの流行の中で、特にアイドル的な人気を得ていたのが、本日の主役たるハーマンズ・ハーミッツというよりも、そのグループのボーカリストだったピーター・ヌーンです。

つまりロックの中のアイドルスタアとして、イギリスはもちろん、それを上回る人気と実績を残したのがアメリカでの活動で、極端に言えばストーンズやキンクス、ホリーズ等々よりも、それは上級だったのがリアルタイムでの真相なんですねぇ。

これは我国でも同様でしたよ、お若い皆様には信じてもらえないかもしれませんが……。

ハーマンズ・ハーミッツはイギリスのマンチェスターで活動していたハートビーツというセミプロのバンドが母体となり、そこへ子役として既に実績のあったピーター・ヌーンが参加したことにより地元で注目され始めたのが1963年頃でした。

そしてビートルズの大ブレイクによって同様のバンドを探していた音楽業界の動きがあって、ついに翌年には敏腕プロデューサーのミッキー・モストに認められ、正式にレコードデビューすることになりますが、同じ頃、バンド名をハーマンズ・ハーミッツに改めています。

それはピーター・ヌーンが当時の人気TVアニメキャラ「シャーマン」に似ていたことから、もじって「ハーマン」と名乗ったことに由来するらしいのですが、そのあたりもバンドのイメージと発売するレコードに直結していくのです。

ちなみにメンバーはピーター・ヌーン(vo)、デレク・レケンビー(g)、キース・ホプウッド(g)、カール・アンソニー・グリーン(b)、ジャン・バリー(ds) となっていますが、あくまでもメインはピーター・ヌーンであり、他の4人はバックバンドという見られ方だったと言われています。

で、やっていたのはロックじゃなくて、ゴキゲンなポップス♪♪~♪

例えばデビューシングル曲だった「朝からゴキゲン / I'm Into Something Good」は職業作家時代のキャロル・キングが書いた名曲を、実に楽しく、気持良く歌っての大ヒット♪♪~♪ 以降、「ハートがドキドキ / Can't You Hear My Heart Beat」「ミセス・ブラウンのお嬢さん / Mrs. Brown You've Got A Lovely Daughter」等々、とにかくウキウキさせれますよ。

しかもミソとなっているのが、古き良き時代というか、イギリスでは時代遅れになっていた懐かしのメロディや民謡・俗謡の焼き直しを意図的に用いたアレンジが、温故知新の魅力だったようです。それは実際、イギリスよりもアメリカでウケまくった事実に顕著ですし、ピーター・ヌーンの如何にも英国少年というルックスにはジャストミートだったのでしょう。

ちょいと聴きにはオトボケであり、悪ふざけとしか思えない歌と演奏が、本格的なロックの時代へと入っていた1960年代中頃には、ある種のオアシスであり、憩いのひとときを提供してくれたのかもしれません。

で、そんな極みが本日ご紹介の「ヘンリー8世君 / I'm Henry The Eight I Am」で、これがロックとは絶対に言えず、またジャズやスタンダードでもない、完全なるイギリス流儀の懐メロなんですが、なんとアメリカで1965年にチャート1位の大ヒットになっています。

実は告白すると、サイケおやじが、このシングル盤をゲットしたのは、アメリカのチャートヒットを研究というか、その「トップ40」あたりは完全に集めようとしていた1970年代後半のことなんですが、ブリティッシュビート全盛期に、同じイギリス出身のグループとはいえ、「ヘンリー8世君」みたいな曲を大ヒットさせたハーマンズ・ハーミッツの底しれぬ人気には驚愕しましたですねぇ。

思えばリアルタイムの我国でも、ハーマンズ・ハーミッツの歌はラジオから流れていましたが、ベンチャーズやビートルズのような強いビートが感じられなかった彼等の音楽は、サイケおやじの好みではありませんでした。

しかし後年になって聴いてみると、それらは良質の洋楽ポップスであり、時にはハッとさせられるほどです。極言すればロックオペラ時代のキンクスのようでもあり、またカーペンターズと本質的に共通する和みも聴き逃せません。

ちなみにカーペンターズがハーマンズ・ハーミッツの1967年の大ヒット曲「見つめあう恋 / There's A kind Of Hush」を1976年にカパーリバイバルさせたのも、当然が必然だったと思います。それはちょうど、私がハーマンズ・ハーミッツの魅力に気がついた時期でしたから、尚更に印象深いわけですが♪♪~♪

ということで、ポップスの本質的な魅力がいっぱいというハーマンズ・ハーミッツは、特にアメリカで強い人気を保ち続け、実はオリジナルのバンドは1970年頃に解散したようですが、ピーター・ヌーンは芸能界を生き延びて、なんと1980年代になってもライプ活動をやっていたというポスターを、私はアメリカの街角で見かけた時には、ちょいと感動したほどです。

元祖「バブルガム」のグループとしても、再評価されるべきバンドかもしれません。ベスト盤CDが出ていますので、機会があればお楽しみ下さいませ。

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2 コメント

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氷解! (ぢんぱち)
2009-11-13 00:54:55
ザ・タイガースのLIVEレコードで、ドラムスのピーがどうして、この曲をカバーしていたのか、その訳が今日、分かりましたっ!

いやぁ。。。ホント、嬉しいですっ!
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おぉっ! (サイケおやじ)
2009-11-13 11:46:47
☆ぢんぱち様
コメント、ありがとうございます。

ピーの持ち歌になっていたとは、知りませんでした。
ハーマンズ・ハーミッツは来日もしていますから、ことによるとタイガースとの面会もあったかもしれませんね♪
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