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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

60年代のミルト・ジャクソンもカッコイイ!

2009-02-16 12:08:53 | Jazz

Milt Jackson At The Museum Of Modern Art (Limelight)

ミルト・ジャクソンは、なんと言ってもレギュラーバンドだったMJQでの活動が一番有名でしょうが、同時並行的にやっていた自己名義のセッションも大切な「お宝」です。

このアルバムはニューヨークの近代美術館で開かれたコンサートのライブ盤で、主催はアメリカの某ジャズ雑誌だったそうですから、出演したバンドは臨時編成ながら、実に楽しいモダンジャズが繰り広げられています。

録音は1965年8月12日、メンバーはミルト・ジャクソン(vib)、ジェームス・ムーディ(ts,vo)、シダー・ウォルトン(p)、ロン・カーター(b)、オーティス・キャンディ・フィンチ(ds) という味わい深い面々です。

A-1 The Quota
 有名なジャズ評論家のダン・モーゲンスタインがバンドを紹介してスタートする痛快なハードバップのブルース! そのスピード感とクールな雰囲気は、まさにこのメンツならではのカッコ良さです。
 ヴァイブラフォンからフルート、ピアノと続くアドリブパートは短めですが、バンドアンサンブル共々に纏まりが良くて、本当に気持ちが良いですね。

A-2 Novamo
 ボサビートを使った、これも楽しいラウンジ系モダンジャズ♪♪~♪
 ミルト・ジャクソンが書いたテーマメロディは、作者自身によってフェイクされていくアドリブでさらにウキウキ感が強くなります。
 オーティス・フィンチの叩き出すリムショットも痛快至極ですし、シダー・ウォルトンのピアノも本当に上手いと思いますが、ジェームス・ムーディのフルートも侮れません。
 ちょいと軽めのムードですが、実はモダンジャズならではの気合が入ってるようです。

A-3 Enigma
 ゆったりしたテンポでミステリアスなテーマメロディをフェイクしていくミルト・ジャクソンという、まさに至芸が存分に味わえます。
 ジェームス・ムーディのフルートも静謐なムードを優先させながら、モダンジャズの流儀に拘っていますし、シダー・ウォルトンの存在感も強いですねぇ~♪
 短い演奏で、アドリブらしいパートも少ないのですが、とても完成度の高い演奏だと思います。

A-4 Turquoise
 そして始まるのが、シダー・ウォルトンのが書いた新主流派っぽい演奏です。まずはリズム隊のスピード感が実に心地良いですねぇ~♪
 肝心のアドリブパートではジェームス・ムーディのフルートが大奮闘! この人は本来、サックス奏者として有名かもしれませんが、私はフルート奏者としても超一流だと思っています。
 もちろんシダー・ウォルトンは水を得た魚!

B-1 Chyrise
 ミルト・ジャクソンのオリジナルとされていますが、なかなかに味わい深いテーマメロディがスタンダード曲のように聞こえるほど素敵です。もちろん作者本人が上手くフェイクした演奏なんでしょうが、相当にイケますよ♪♪~♪
 スローテンポでもダレないリズム隊のグルーヴも流石ですし、ジェームス・ムーディのフルートも良い感じ♪♪~♪
 演奏時間の短さが勿体無い限りです。
 
B-2 Montelei
 これまた微妙にボサロックをミックスした4ビートの楽しい演奏で、このあたりは如何にも1960年代中頃のムードが好ましいところ♪♪~♪ ミルト・ジャクソンのアドリブも颯爽として美メロが出まくった名演です。
 さらに快感を呼ぶのがリズム隊のカッコ良さでしょう。特にオーティス・フィンチはソウルジャズやレア・グルーヴ物で有名でしょうが、こういう正統派から汎用度の高いビートを敲かせても素晴らしいと思います。

B-3 Simplicity & Beauty
 ジェームス・ムーディが書いた味わい深いワルツ曲で、日活ニューアクションモードを感じさせる作者のフルートが強い印象となっています。
 しかし、これも演奏時間の短さが残念ですねぇ……。

B-4 Flying Saucer
 あぁ、またまた楽しいボサロックにウキウキのテーマメロディ♪♪~♪
 ミルト・ジャクソンのヴァイブラフォンもクールな響きですが、ジェームス・ムーディのフルートも粋ですよ。
 しかし途中で披露するボーカルのオトボケは???
 う~ん、せっかくの良いムードが一転して……。
 と嘆いた次の瞬間、ミルト・ジャクソンが唯一無二の素晴らしさでアドリブ天国への直行便! リズム隊の快適さは言わずもがなの変態名演です。

B-5 Namesake
 そしてオーラスは、これぞミルト・ジャクソンというカッコ良すぎるハードバップ! バックのリズム隊が逆に引っ張られるほどに熱いヴァイブラフォンの全力疾走には、溜飲が下がります。
 そのスピードを全く落とさない見事なノリを披露するジェームス・ムーディのフルートも痛快至極ですし、リズム隊だけのパートに移ってからも纏まりの良さがさらに鮮明になるほどの熱気が最高です。

ということで、臨時編成とは思えぬほどの素敵なバンドですねぇ~♪ オリジナル中心の演目もメロディが良いですから、ますます1曲毎の演奏時間の短さが本当に残念になります。

そしてリズム隊がロックのリズムも絶妙に入れたような、新感覚の4ビート! バンド全体のグルーヴが、それゆえにスピード感に満ちていて、実にカッコイイです。これはミルト・ジャクソンとシダー・ウォルトンが組む度に生み出されるグルーヴですので、要注意だと思います。

ちなみにセッション当時は、イギリスからビートルズやストーンズ等々が大挙してアメリカへ侵攻していたロックの上昇期でしたが、モダンジャズも十分にカッコ良かった時代でしたから、4ビート主体の演奏も、まだまだロックに負けていなかったのですねぇ~。

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