■フィヨルドの少女 / 大瀧詠一 (Niagara / CBSソニー)
何か冬真っ盛りのレコードはないかなぁ~~、と如何にもの思惑で棚のあちこちを探索し、本日取り出したのは大瀧詠一が昭和60(1985)年晩秋に出した掲載のシングル盤です。
それはまず、何と言ってもスリーブデザインに用いられたイラストのイメージが、A面曲タイトル「フィヨルドの少女」にジャストミートですし、もちろん松本隆が綴った歌詞にもリンクしていることは、レコードに針を落としたその時から最後の最後まで、裏切られません。
なにしろ大滝詠一が狙っていたのは所謂北欧サウンド、殊更エレキインストの世界では顕著に表現されていた哀愁と爽やかな後味とでも言うべき透明感が滲み出るセンチメンタルな歌謡曲だとすれば、ここでリードギターを弾いているのが、そのジャンルの人気バンドであるフィンランドのムスタングスで活躍するマッチ・ルータラというのは、最高に嬉しいプレゼントでありました♪♪~♪
あぁ~~、アップテンポで流れるようなメロディラインは、全く大瀧詠一が絶妙に折衷した和洋混合ポップスの奥儀でしょうねぇ~~♪
当然ながら、例のナメクジ系の節回しがソフトな声質と相まって、こ~ゆ~曲調には、この声、この歌い方しかありえない世界を提供しているわけですが、そこには賛否両論が確かに否定出来ません。
ご存じのとおり、この「フィヨルドの少女」はそれなりにヒットしたわけですが、レコーディングに関しては既に発売の2~3年前からスタートとしていたとされる真相も含めて、ど~にも大瀧詠一は自らの信者に有難い御宣託を!?
そんなふうに思えば、これに歓喜して聴くのは唯一度だけ、後は後生大切に保管するのも、大瀧詠一という趣味人からの教えでありましょう。
ですから、楽曲の某所で鳴り響くあのSEの唐突感にも稚気があって憎めません。
また同時期に発売され、大ヒットした小林旭のシングル曲「熱き心に」が、作詞:阿久悠&作曲:大瀧詠一からの提供であった事は、そのサウンドの雰囲気からして、この「フィヨルドの少女」と親密な関係というか、そのネタ元に関しても興味深く、コアなマニア心を擽ってくれるのも流石と思うばかりでした。
ということで、冬は寒いから「らしい」という季節感は大切ではありますが、本音は早く暖まりたいです、身も心ねぇ~~~。