■レフト・アローン / 笠井紀美子 (日本ビクター)
昨日もまた、とても悔しい気分に苛まれました。
それは片山由美子様のトークショウも行われた、石井輝男監督追善供養の映画鑑賞会に参加出来なかった事で、もちろんサイケおやじは、そこに参集するために努力はしたのですが、既に2ヶ月ほど前から決定していた約束はど~にもならず、京都までの道行~日帰りという仕事の結果も、それほど芳しいとは言えないのですから……。
当然、そんな立場はサイケおやじだけではない事も重々承知はしております。
しかし、今回に限った事ではなく、こんなに仕事に束縛され、自分の時間が思うようにならないなんてこたぁ~、霞を食って生きてるわけじゃ~ないサイケおやじにしても、絶対に本末転倒だと思うばかりで、本気で独り取り残されたような気分はロンリーですよ、今日もねぇ……。
そこで本日のネタはジャズ者にはお馴染み、孤独に悩んで聴くのが本質と思われていた我が国ジャズ喫茶文化をある意味で象徴していた人気曲「レフト・アローン / Left Alone」の笠井紀美子バージョンです。
それは黒人ピアニストのマル・ウォルドロンが伴奏を務めていた人気歌手のビリー・ホリディに提供した哀切のメロディであり、そこにビリー・ホリディ自らが作詞してライブステージでは1958年頃から演じられていたと云われていますが、そのリアルなオリジナルバージョンの公式録音は残念ながら残されていません。
しかし、この「レフト・アローン / Left Alone」が本当にジャズの名曲として世界中で認識されたのはビリー・ホリディの死を悼んで、1960年にマル・ウォルドロンがジャッキー・マクリーンのアルトサックスを入れたインストのカルテットバージョンを録音してからで、同名タイトルのLPがロングセラーになるほどの人気名演となってみれば、これまでに様々なカバーバージョンが残されているのもムベなるかな、ご紹介の笠井紀美子のバージョンも、そのひとつです。
しかも、これがなかなか意義深い(?)のは、バックの演奏にマル・ウォルドロンが参加している事で、他にメンバーは鈴木 良雄(b)、そして村上 寛(ds) から成るトリオ編成ですから、笠井紀美子のボーカルにも緊張と緩和のバランスが絶妙です。
というか、作者本人が伴奏するという怖い場面にも臆する雰囲気が感じられないところが、流石じゃ~ないでしょうか。
制作されたのは1971年の彼女のLP「ワン・フォー・レディ」からのシングルカットであり、そのアルバムからしてタイトルどおり、ビリー・ホリディの愛唱曲をメインに入れた所謂トリビュート盤なので、機会があれば皆様もお楽しみ下さいませ。
ちなみにサイケおやじは件のLPはジャズ喫茶で何度も聴いた事があったのですが、このシングル盤に邂逅したのは1970年代も終わりの頃だったものですから、もしかしたら、これって日本語バージョン?
なぁ~んていう希望的妄想が瞬時に湧き上がってきたものの、実態は英語詞での歌唱でしたから、今となっては歌謡曲やフュージョン系のアルバムばかりが人気の笠井紀美子が、真っ向からジャズを歌っていた時期の姿を堪能出来ると思います。
尤も、そんな偉そうな事をホザいてしまったサイケおやじにしても、実は笠井紀美子のリアルなジャズボーカル盤は、これしか持っていなんですけど……。
ということで、本音では今の仕事をど~やって辞めるか、なぁ~んて事を考える時が多いサイケおやじなので、なんとも情けない状況の中では、好きな物事に拘りたい気持ちも殊更強くなっております。
そして、そんなこんなを拙ブログに綴ってまいりますので、愚痴も増えてしまいそうですが、これからもよろしくお願い申しあげます。