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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

レオ・モリスって本当にイイ!

2008-04-09 15:07:34 | Soul Jazz

新しく来た若い者が、今日は見事な坊主頭で仕事場へ出てきました。

これには一同、吃驚したわけですが、実は昨夜、数人の若い者を連れて飲みにいった店で、件の新人が酒に酔って醜態を曝し……。

それで迷惑をかけたという謝罪を態度で示したというわけでしょう。

なにも丸坊主にならなくても! と思うのですが、そういう潔さが最近は珍しいですからねぇ。好感が持てるという前に、いろいろと考えるところが多かったです。

ということで、本日は――

Turning Point / Lonnie Smith (Blue Note)

1990年代からのレアグルーヴなんていうブームで、所謂コテコテ派のミュージャンが突如として脚光を浴びたのは、私のような者にとって、いまさらジロー的なミョウチキリンな気分でした。

なにしろ、それまで千円以下で売られていたコテコテのアルバムがグングンと高値を付け、ジャズ評論家の先生方やイノセントなファンからは相手にされていなかったミュージャンが、あたかも巨匠のように持ち上げられていくのですからっ!

例えば本日の1枚の主役であるロニー・スミスは、典型的なコテコテオルガン奏者でありながら、もちろんその道の大御所というジミー・スミスには遠く及ばない存在で、モダンジャズでは白眼視されていたのに、コテコテが遅れてきたブームとなった時には、大スタアに変身したのです。

そのキャリアはルー・ドナルドソンやジョージ・ベンソンとの共演が最も有名なところでしょう。しかし肝心のリーダー盤はほとんど無視され続けていたのが、リアルタイムでの我国の真相だったと思います。

ただしこのアルバムは、その中でもまあまあ注目されていた作品で、何故かといえば共演者が豪華絢爛♪

録音は1969年1月3日、メンバーはリー・モーガン(tp)、ベニー・モウピン(ts)、ジュリアン・ブリースター(tb)、ロニー・スミス(org)、メルヴィン・スパークス(g)、レオ・モリス=アイドリース・ムハマッド(ds) という本格派が勢揃いしています。特にリー・モーガンの参加は特筆物でしょう。

しかし結論から言えば、フロントホーン陣に期待するとハズレ、逆にリズム隊中心に聴くとブッ飛びの歓喜悶絶盤です――

A-1 See Saw
 ミック・ジャガーが自らのボーカルスタイルのお手本としたドン・コヴェイが自作自演で大ヒットさせたR&B曲で、アレサ・フランクリンの強力バージョンも残されていますから、ここでの演奏も油断が出来ません。
 原曲の魅力だったヘヴィなビートを重いグルーヴで表現するリズム隊が、とにかく強烈です。レオ・モリスのシャープで横揺れするようなドラミングが本当にたまらんです♪ ドヨドヨドヨ~、と響くオルガンも最高ならば、シンプルなホーン隊のリフも、これが正解でしょうねぇ。
 お目当てのリー・モーガンはそれなりのアドリブですから物足りませんが、ファンキーグルーヴど真ん中のリズム隊を聴いていれば、それだけで気分は最高♪ ロニー・スミスはアドリブパートでも奮戦し、ある有名なR&B曲の一節を弾いてくれますから、これは聴いてのお楽しみなのでした。

A-2 Slow High
 倦怠期のセックスような、それでも結局はイッてしまうという、タイトルどおりの名演が楽しめます。この弛緩したグルーヴこそがロニー・スミスの十八番じゃないでしょうか。
 メルヴィン・スパークスのギターはほどよく歪み、レオ・モリスのドラミングもダレ寸前でありながら、気持ち良さは保証付き♪ ですからベニー・モウピンの煮詰まったようなテナーサックスが逆に味わい深く、ロニー・スミスのオルガンは単純なフレーズしか弾いていないのに、気持ちよくノセられてしまうんですねぇ~♪
 気抜けのビールのようなテーマリフが、本当にクセになります。

A-3 People Sure Act Funny
 これはリズム隊だけの演奏で、もちろんエグイばかりのコテコテグルーヴが楽しめます。特にヘヴィなビートを敲き出すレオ・モリスが素晴らしいですねぇ~♪
 メルヴィン・スパークスも早弾きフレーズを交えた熱演ながら、リズム&サイドギターをもっと聴きたいと思うのは私だけでしょうか。告白すれば、この演奏を流しながら、ついつい自分でリズムギターを弾いてしまうのが私です。本当に気持ち良いですよっ♪

B-1 Eleanor Rigby
 説明不要のビートルズ曲で、この手の演奏としてはクルセダーズもやっていますが、このバージョンは不思議系のアレンジも冴えた隠れ名演だと思います。まず緩いグルーヴを噴出させるロニー・スミスのテーマ演奏が味わい深いですねぇ。
 アドリブパートではベニー・モウピンのイナタイ雰囲気がなんとも言えず、またリー・モーガンは間延びしたようなフレーズばっかりでも、そのあたりが逆に混濁して熱いリズム隊を聴くのには絶好でしょう。けっこう暴れるレオ・モリスとかファンキーから宇宙へ飛び出していくロニー・スミスが、もう最高♪ メルヴィン・スパークスのリズムギターも流石だと思います。

B-2 Turning Point
 ロニー・スミスが書いたアルバムタイトル曲は、幻想的なイントロから白熱の4ビートに突入して燃え上がる、真にモダンジャズな演奏です。う~ン、レオ・モリスは4ビートも上手いですねぇ♪
 アドリブパートでは、まずジュリアン・プリースターが新主流派の意気地を聞かせれば、ベニー・モウピンが十八番の煮詰まり節! するとようやくリー・モーガンが本領発揮のトリッキーなフレーズを連発して突進です。
 リズム隊ではメルヴィン・スパークスがちょいと頼りない感じのアドリブですが、ロニー・スミスはツボを押えたモダンな展開ですし、なによりもレオ・モリスのドラミングが痛快! 最後のフェードアウトが勿体無い感じです。

ということで、例よってそれほどの名盤でもないんですが、偏愛してしまうツボが確かにある作品で、個人的にはA面が大好き♪ とにかくレオ・モリスのドラミングがこれだけ聴ければ、それだけでゴキゲンですよ。

ルディ・ヴァン・ゲルダーの録音も重心の低いグルーヴを見事にとらえています♪

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お正月はコテコテの美女

2008-01-01 14:16:00 | Soul Jazz

謹賀新年♪

昨年は呆れたトンデモ年でしたが、今年はどんなことがあるのでしょう。それなりに楽しみな1年になれば良いと思います。

ということで、本日はお正月らしく――

Oh Baby / “Big” John Patton (Blue Note)

今やコテコテのバイブルとなったアルバムで、おめでたくいきましょう♪

とはいえ、これが再発見されたのは1980年代も末頃らしく、特にイギリスあたりでクラブのDJ達が好んで回しまくったオサラだったとか!?

それは忽ち、我国にも伝染し……。

しかしこの頃の私は海外での仕事が多く、こうした動きを知る由もありませんでした。で、ある日、気がついてみると、中古屋でこの手のアルバムが高値となり、わざわざアナログ盤で再発されるブツまで登場するブームになったていたのは、驚きでした。

う~ん、自分のレコード棚には、それまでゴミ呼ばわりされていた、こういうソウル系ジャズが相等にあるのですが、それはブームになる以前に入手していたのが真相で、それはスバリ、安いからでした。実際、ブルーノートのオリジナル盤では「サムシンエルス」は諦めても、このあたりは気楽に買える値段でしたねぇ……。

さて、肝心の中身はモダンジャズの基本を大切にしつつも、濃~いファンクグルーヴがたっぷり! 録音は1965年3月8日、メンバーはジョン・パットン(org)、グラント・グリーン(g)、ベン・ディクソン(ds) のコテコテ界最強リズム隊に加えてブルー・ミッチェル(tp)、ハロルド・ヴィック(ts) という、思わず唸る面々です――

A-1 Fat Judy
 これこそコテコテジャズの極北! あのリー・モーガンが生涯の大ヒットとした「Sidewinder」のテーマを臆面もなくホーンリフに移し、ニューオリンズ系R&Bメロディをパクッたテーマが痛快! オトボケ調のサビも楽しく、うねるビートは2拍3連がキモですから、楽しさは保証付きです。
 アドリブパートもゴリゴリにスパークするジョン・パットン、ブリブリに大ブローのハロルド・ヴィック、軽やかにトボケてキメるブルー・ミッチェル、さらにビィーンと骨太のチョーキングまで出して暴れるグラント・グリーンと絶好調が連続します。
 もちろんバックの要は作曲者のベン・ディクソンで、何時もながらの重い残響音が印象的なドラミングは素晴らしいですねぇ♪ グラント・グリーンとジョン・パットンのコンビネーションにも強烈なエグミがあって、こんな楽しい演奏は聴かずに死ねるかですよっ♪♪~♪

A-2 Oh Baby
 イントロからジョン・パットンのヘヴィなオルガンウォーキングが素晴らしく、レイドバックしたテーマ演奏、それに続くアドリブパートが、見事な緊張と緩和です。
 グラント・グリーンのコードワークもエグイですが、投げやりぽっいベン・ディクソンのドラミングも良い味出していますねぇ~♪

A-3 Each Time
 新主流派のように思わせて、トボケたラテンに迷い道したようなテーマが最高です! まさにゴッタ煮グルーヴと言えましょう。
 ですからアドリブパートもジョン・コルトレーンに成りそこなったハロルド・ヴィックとか、ミョウチキリンなコードを弾いてしまうグラント・グリーン、冷静なブルー・ミッチェルとバラバラなんですが、狙ったものだと思います。いや、そう思いたいですねぇ。
 そうした中、ジョン・パットンはグイノリのオルガンアドリブ! ベン・ディクソン&グラント・グリーンを従えて、強烈な山場を作り出していくのでした。

B-1 One To Twelve
 ワルツタイムのブルースですが、新主流派っぽい味わいとコテコテが合体した味わい深い演奏です。弾むようなリズム隊が実に楽しいところ♪
 アドリブパートではブルー・ミッチェルが些か気抜けのビールながら、グラント・グリーンは十八番の「針飛び」フレーズ、ジョン・パットンは強引なうねりで勝負しています。
 またハロルド・ヴィックは、すっかりその気になった快演!

B-2 Night Flight
 これもブルースですが、アップテンポの強烈なモード系の演奏が爽快! これぞリアルタイムのブルーノートでしょう。
 ですからブルー・ミッチェルは本領発揮の分かり易いツッコミが全開♪ リズム隊の真摯な4ビートでは歯切れ良いベン・ディクソンのシンバルとジョン・パットンの低音ウォーキングが流石だと思います。
 そしてハロルド・ヴィックの烈しいモード節の後は、グラント・グリーンが白熱の大名演! これほど猛烈にブチキレ寸前のアドリブは、ちょっと珍しいと思います。
 さらにジョン・パットンの偏執狂っぽいオルガンもジャズの本質を表しているのではないでしょうか。クライマックスでホーンリフが入るところは、本当に最高です。

B-3 Good Juice
 これまたブルースなんですが、如何にも当時のハードバップという響きが、たまりません♪ バンドの一体感も最高ですし、ちょっとミステリアスなアレンジと地の底から湧き上がってくるようなリズム隊のグルーヴが、物凄いです。
 各人のアドリブも見事ですが、このリズム隊中心に聴いていると、グラント・グリーンの正統派モダンジャズのコード伴奏とか、ベン・ディクソンの小技の冴え、ジョン・パットンのオルガンの魅力に心底、惹き込まれます。

ということで、とにかく初っ端の「Fat Judy」が格別の楽しさ! 本音を言えばグラント・グリーン目当てで入手したアルバムだったのですが、これで私はジョン・バットンに目覚めたようなもんです。ドライブ用のテープを作る時にも、必ずこの曲は入れていましたですね♪

それとベン・ディクソンはソウルジャズ系ドラマーのナンバーワンじゃないでしょうか。重たいビートとシャープなリズム、独特の残響音が心地良く、本当に好みです。

それとジャケットのインパクトの強さ!

原盤裏ジャケ解説によれば、彼女はブレンダ・ディーヴァというモデルさんだと♪ こういう分かり易いところも、このアルバムの魅力だと思います。

コメント (2)
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