The Wine Heat!

オテル・ド・ヤマダ ワインフォーラムの主催者であるDr.ヤマダのワインな日々の記録です。

2009 ヴォーヌ・ロマネ レ・クロ・ゴワイヨット プリューレ・ロック

2018-11-29 23:20:07 | ワイン
今年もすっかりお世話になってしまった半年遅れのワイン仲間の合同誕生会。

その席上は1週間前にプリューレ・ロックの当主アンリ・フレデリック・ロックの訃報を聞くに及び、さながらロック祭りとなってしまった。
そして赤ワインの2本の主役の1本がこの表題のワインだったのだ。

しかもこのゴワイヨットはただのゴワイヨットではない。
その昔、本人が直に日本へ持ち込んだゴワイヨットとのこと。



2009年は0.55haから年産1951本のゴワイヨットができたという。
しかもラ・ターシェの東側に張り付いているモノポールのヴィラージュもの。
これをアンリの手の込んだ手法で練り上げられたのだから、もちろん旨いに決まっている。

ワイングラスに注がれて直ぐには熟したプラムに漢方と胡椒を感じ、1時間ほど待ちでそれはトリュフや御出汁のニュアンスに変わる。
果実はスタイリッシュでかつ熟れている。
しかも端正でビロードのようなテクスチャーを楽しめるのだ。

開けたらレッツゴー、引っ張りすぎるな、キミの好みに合わせてくれる素敵なブルゴーニュに化けてくれるはず。
ある意味史上最高のヴィラージュと言っても嘘にはならないと思う。

シャトー・ムートン・ロートシルト 1986&1982

2018-11-23 21:41:15 | ワイン
同じパーカー・ポイント100点満点のワインでも、リリースされた当時のことを思い出してみると、その様相は随分違っていた。
1986年は巨大で凝縮しており、色濃くその構造は堅固。
一方1982年は個性的で、派手でメリハリがあり、しかしながらそれらの要素は最も内向的で予測が付かないほど神秘的ということだった。

で、今回正しく信じがたいことだが、この2本の偉大なムートンを並べて飲む機会があった。





1986年は32年、1982年は36年が経過している。
ここで飲みごろ感を端的に言わせてもらえば、1986年は第1次飲み頃期間を過ぎている、すなわちこれはこれで美味しく飲めたのだ。
一方1982年は未だ硬く成長も中途段階と言ってもいいのだろう。
果実はとろりとして見事なテクスチャーを誇るも、あきらかに未だ先があり全てを見せてはくれないのだ。

その昔、ロバート・パーカー曰く、1986年は15年から20年は必要、あるいはもっと、そして1982年は50年から60年は持ちこたえうると。
コレだけ見れば、なるほどパーカーも捨てたもんではないということになるようですな。W

いずれにしても、そこまでは待てないわけだから、どこの切り口で飲むのか?ということになるけれど、今回のこの2本の偉大なムートンは記憶に残る物であったと言うことだけは間違いない。

まずは主宰に感謝するのみである。

1953 シャトー・ムートン・ロートシルト

2018-11-22 23:41:04 | ワイン
実はこの同じヴィンテージのワインを歳祝いのお祝いの会で飲んだ。
というのも、何を隠そう1953年はワタクシのバースデイ・ヴィンテージなのだ。
あれから25年経って、再度ご相伴に預かるという素晴らしい経験をT君によってもたらせたということだ。
ワイン仲間とは本当にありがたいものだ。

このヴィンテージは当時、僅かに酸度が控えめで、甘く肥えて、すでに香りは官能的だった。
色合いは深みのあるルビーを呈しており、タンニンは舌先に優しく、味わいは練れた印象を感じていた。





そして今、よわい65歳にして53年物を飲む。
それは40歳の時分に飲んだ時に、このワインに感じた、長熟と言う意味では危うくキケンなスタイルを、今は感じない。
むしろ酸度が芽を出し、果実は溌剌として、退廃的ではあるものの、いわゆる熟成しすぎの危険水域からは脱出している。

それは、これ以上先でもダメだし、これ以上前でもダメ。
すなわちワイン熟成のジャストミート感が満載なのだ。

例のムートン・フレーヴァーは花盛りで、焙煎、なめし革、アミノ酸、そして東京ロマンティカ♪
このワインを持ってして、何が不足だと言うのであろうか?いや無い!と言う感じ。

いつも言うけど、これはこんなワインにありつけて、アリガトウと言うしか無いでしょ!

ありがたや、ムートン祭り!♪

2018-11-19 06:29:13 | ワイン
よわい65歳にして、まさか生まれ年のムートン・ロートシルトにありつけるとは想像だにしなかった。
それは年に一回のT君のワイン会の出来事。

まずはこれまた記念ラベルの2003年が出て、そのあとは1986年、1982年のパーカー100点の連発ときた。
その時点で、まずはムートン以外を予想することなど考えられず、それに色合いなどの情報を加味すると、さては出たかタマズサが怨霊!
てなことで、ワタクシは1953年だと確信したのだった。



それは何といっても、T君の心意気を感じての話になるわけだけれども、絶対出てくると確信に近い物があったのだ。
で、ともかくムートン祭りと相成ったのだけれど、まずは詳細はこれからユックリと報告をしようと思う。



ということで、目の保養にでもこのラインナップをご覧あれ。

1994 ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ シロ・パチェンティ

2018-11-07 23:20:05 | ワイン
これはサンジョベーゼでもネッビオーロでも共通して言えることだが、相当評価の高いクラシックな造り手によるワインが、熟成を経て見事なメタモルフォーゼを遂げた時のオドロキは、ボルドーやブルゴーニュのそれに似ている。

シロ・パチェンティは若いうちにも何度か飲んでいる。
その時の印象は果実味がさながら毬藻羊羹のようで、プチッと刺したら、モロッと飛び出す素朴な果実を、噛むがごとくに丸ごとほうばる感じて飲んでいた。
香りはアロマがブラッキーに煙り、複雑性は微塵も無い。



それが今、モノの見事にメタモルフォーゼ!
麝香的なニュアンスありの、焙煎珈琲ありの、更には湿った森林のようにラヴィリンスが展開するのだ。
余韻はシリアスにくぐもっているも、飲んだ後の御出汁感はリストランテ・シカザワのこんな料理にも、もちアビナメント♪
実に楽しげな食事となった。





若いうちのそのワインの記憶に残っていて、更に今の状態もパパジイで確かめることが出来、そしてこのお店だったらと、満を持してそのワインを持ち込んだ。
そして思いの上を行く流れとなったわけ。

これはさすがに、ありがとう!と言うしかないでしょ。(笑)