巨樹、巨木巡礼

僕が訪ねた大きな樹を紹介していきます。

玉取山(上猿田)の大カツラ

2008-12-23 | 愛媛県

このカツラの樹の前に立つのはそうたやすいことではなかった。

四国中央市富郷町上猿田と言う地名はわかっていたのだが、さて実際に地図を当たると上猿田は山中のかなり広い地域のようで、これを探すのは大変そうだと最初から解っていた。

当然現地で人に出会えるなどと言うことは皆無だと過去の経験からも充分承知していて、こういう場合一番いいのは地元の市役所なり、町役場に行く前にチェックを入れておくに限る。

上猿田へ向かう道路脇には山ミツバチの巣箱があちこちで見られる

しかしいつもと違ってたまたまここを訪れた12月22日は月曜日、公的施設は休みではなく、麓には四国中央市の富郷支所の有ることがわかっていた。

R11号線の伊予三島から、R319号線に乗り換え稜線を一気に駆け上がり真新しく広いいトンネルと、暗くて離合困難なような恐怖の狭いい長いトンネルを越えると富郷町に着く。

富郷支所は誰でもわかる国道沿いにあって、昼休み時間中にも係わらず気軽に入って訪ねることが出来たし、丁寧に道順も教えていただけた。

ここから旧別子銅山方面に向かい、途中上猿田方面への県道を進んでいくが道はかなり狭いところもあるが、ここは四国当たり前のことだと思える。

別れ道から10分も走るとこの県道では愛媛最後の集落と成る上猿田集落につくが目指す大カツラはこの先が大変でした。

県道は上猿田集落を過ぎた辺りからどんどん狭くなり途中ダートも何箇所かある酷道と成る。

集落から15分ぐらい走って右手に大カツラの看板を見てダートの林道へと入っていくことになるが、当然この先はとてもセダン車では入っていくのは困難、勿論僕の車は四駈なので問題なく進む。

1.5kmほど進むとやがて三叉路に突き当たるが不親切にもここには何の看板も無い、仕方なく車から降りて周りを伺うと、直進奥の方にそれと思える大きな木立が見えるのでそのまま直進してやっとこの大カツラの下に到着することとなる。

集落では小雨だったがここまで来ると雪に変わっていて高度が高いことを確認させられた。

右手杉木立のガレ沢に何本もの大枝を広げ、降り仕切る粉雪の中で立ち尽くす桂独特の冬姿は、威厳を持って聳えていた。

多分永らく人など訪れたことも無いのだろうか??、カツラの周りは下草こそ枯れてないのだが、足の踏み場にも困るほどに枯れ枝や、ガレ岩がゴロゴロしている。

薄っすらと雪化粧をして立つ桂の老木と対峙してるとその場を離れがたくなってしまうのだがこんな山中で雪が強くなるのを恐れて早々に退却を余儀なくされた。

看板には近くにイタヤカエデの巨木も在ると書いては有るけどまったく不親切で場所の表示がまったくされていません。

この雪の中長い時間は探せないのでこっちはあきらめて帰って来ました。

資料に依ると、目通り15m、樹高30m、樹齢800年、トチノキとの合体木とある。

しかし僕の確認したところに依るとトチノキはもう相当以前に朽ち果てたようで、木株だけが大きな口を空けて要るのが確認できた。

若芽の芽吹く頃に又来て見たい思いの強いカツラの木です。

このカツラにまつわる昔話を見つけたので下記に転載させていただきます。

昔、上猿田の集落には、とても仲の良い二人の姉妹が住んでいた。 ある年、その娘たちの家は兵庫山に近いごぜんの森で焼き畑を行い粟(アワ)を蒔いたところ、秋には立派な粟が実ったという。 そこで姉妹は両親とともにごぜんの森に出かけ、大喜びで粟の穂を刈り始めた。 しばらく刈り進んで、ふと畑の中央を見ると、2メートルほどにも伸びた大きく立派な粟の穂が見えたので、二人の娘たちは喜び急いで駆け寄り先を争って粟の穂に鎌をかけた。 ところがあわてていた二人は、なんと、過ってお互いの首に鎌をかけ力の限り引っ張ったため、二人の首はころりと切り落とされてしまった。 両親はこれを見て大変悲しみ、二人の亡くなった所に桂の木を植え、小さな祠を建てて娘たちの霊を慰めたという。 爾来、村人たちはこの地をごぜんの森と呼んで畏れたが、両親の植えたという栃の木と桂の木は、ぐんぐん太り続け、今では天を突くほどに大きく成長し、天然記念物に指定されるまでになったといわれる。 (参考-ごぜんの森の物語を秘めた桂の木-「伊予三島市の歴史と伝統」より)

撮影2008.12.22

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2 コメント

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Unknown (Jun)
2008-12-25 23:52:36
哀しい逸話ですね。
逞しいカツラの木にはそぐわない様な伝説ですが、まだ木が若かった頃にそう言うお話が出来たのでしょう。
青く茂っている姿も見たいです。
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いつもコメントありがとう。 (ぺん)
2008-12-26 08:13:16
Junさん、いつもコメントありがとう。

四国は山が深くて、道路状況は非情に悪く、その分開発の波から逃れて巨木や、遠い昔の景色がそのまま残っています。

橋が出来て近くなったとはいえ、やっぱり遠いのでそう度々は出かけられないのが難ですがね。

四国の山奥の集落は都会人からすれば想像を絶する世界ですね。

ここもふもとの町、伊予三島から往復三時間ほど掛かりました。

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