鹿島アントラーズ原理主義

愛する鹿島アントラーズについて、屈折した意見を述べていく場です。

Jユースカップ 準決勝 清水エスパルスユース戦

2014年12月21日 | Weblog
鹿島10年ぶり3度目優勝へ、3発で王手
<Jユース杯:鹿島ユース3-1清水ユース>◇準決勝◇20日◇ヤンマー

 鹿島は10年ぶり3度目優勝へ王手をかけた。

 2-1で迎えた後半37分、ダメ押し点を決めたMF平戸は「ゴールを決めきれない場面があったので、3点目を取れてホッとした」と振り返った。熊谷監督は「最初から最後まで100%で戦うように選手に話していた。よくやってくれたと思う」とねぎらった。
 [2014年12月21日7時43分 紙面から]

鹿島快勝、決勝へ Jユース選手権
サッカーの第22回Jリーグ・ユース選手権第6日は20日、大阪市のヤンマースタジアム長居で準決勝2試合を行い、鹿島は清水に3-1で快勝し、10大会ぶりの決勝進出を決めた。

徹底の鹿島が粘る清水を振り切り、雨中の熱戦を制す
2014年12月20日(土)


(C) J. LEAGUE PHOTOS

立ち上がり、いきなり仕掛けたのは鹿島アントラーズユースだった。トップチーム昇格内定のMF大橋 尚志のボール奪取の流れからこぼれてきたボールをFW武田 諒太がねじ込む。出場停止のエースFW鈴木 優磨に代わって抜擢された2年生がいきなり結果を出す、最高の立ち上がりとなった。

対する清水エスパルスユースはコンディションが上がり切らないトップチーム昇格内定のU-19日本代表FW北川 航也をベンチに温存しつつ、本来はMFである162cmの水谷 拓磨を最前線に配する実質“ゼロトップ”の配置でスタートした。ただ、「前に張り過ぎた」と水谷が振り返ったように、ゼロトップの特長である流動性がなかなか生まれず、攻撃がほとんど機能しないまま前半の45分を終えてしまった。

ただ後半に入ると、その水谷が「中盤に下りて数的優位を作る」というゼロトップ本来の狙いを攻守両面で実践。一気に主導権は清水の手に渡り、51分には中央を破ってMF宮本 航汰が決めて早くも同点に追い付く。中盤に落ちた水谷の代わりにMFの選手が飛び出す狙いどおりとも言える形がゴールとなったことで、鹿島にとっては「苦しい時間になった」(大橋)。

まさにここからの攻防が勝負の分かれ目となった。「攻めるんだというメッセージを伝えたかった」と熊谷監督は失点のわずか2分後、元気者のサイドアタッカーであるFW色摩 雄貴をピッチに送り出す。さらに69分には警告を受けていた右サイドバックのDF宮本 健太を下げて、負傷から復帰したばかりの3年生、DF寺門 宥斗を投入した。

寺門は守備の選手であり、投入の狙いは必ずしも攻撃的なものではなかったが、これが結果として吉と出る。「(マークするべき)相手のサイドハーフが随分と深い位置まで下がっていたので」と高い位置まで進出していると、左サイドバックのDF大里 優斗が逆サイドまでハイクロスを飛ばしてきた。本来はセンターバックである寺門は得意のヘディングでこのボールを強打。鋭い弾道は清水GKの手を弾いて、ゴールラインを割った。

劣勢の流れではあったが、粘り強くしのいでいた鹿島にとって、まさに恵みの1点。ここからは「鹿島らしい試合ができた」と色摩が胸を張ったように、理想の試合運びを見せる。気迫の守備を持続しながら、82分には前掛かりになっていた相手に対して逆襲を敢行。色摩がサイドを破って折り返したボールにMF平戸 太貴が合わせ、点差を2に広げてほぼ勝負を決めてみせた。

「やるべきことが統一されて、規律を持って戦えている」(熊谷 浩二監督)鹿島が、粘った清水を突き放し、23日にヤンマースタジアム長居で行われる決勝戦へと勝ち残った。

川端 暁彦

Jユースカップ準決勝 鹿島ユース×清水ユース@長居
December 21, 2014 8:12 PM

大阪冬の陣・第2弾はプレミアEASTのリターンマッチ。トップチームも"オリジナル10"でJ2を一度も経験していない4クラブの内の2つと、名門のDNAを受け継ぐ強豪同士の対峙は、引き続きヤンマースタジアム長居です。
夏のクラ選ベスト4を経て、2度目の戴冠を冬空の長居で経験したのは2004年。それからは主要な全国大会での上位進出はなかなか叶わなかった鹿島ユース。そんなチームにとって、変化の兆しが訪れたのはブラジル人指揮官のキッカ監督就任。3年間に渡る王国の薫陶を受け、指揮を引き継いだトップチームの三冠を選手で経験している熊谷浩二監督を「本当に鹿島アントラーズが大好きで、その強い気持ちを持っていないとアントラーズを語る資格がないというか、背負って立つ資格がないからやめてくれと言われている」と評したのは色摩雄貴(2年・鹿島アントラーズつくばJY)。情熱の指揮官に率いられ、10年ぶりのセミファイナルへ強い気持ちで挑みます。
大会得点王に輝いた長沢駿を擁し、2度目の戴冠をやはり冬空の長居で経験したのは2005年。以降は全国レベルでの結果に恵まれない期間が続いたものの、クラブOBでもある大榎克己監督の就任を転機に、再びユース年代で存在感を放っている清水ユース。今シースンもクラ選はラウンド16まで進出し、プレミアEASTでも首位争いを繰り広げていたものの、指揮官は夏に残留争いに喘ぐトップチームの監督へ。「選手は本当に大変だったと思います」と話すのは、その夏にコーチから昇格した平岡宏章監督。勝負の冬に意地の全国制覇まであと2勝に迫っています。長居は1試合目から降り続いている雨で相当な重馬場。気温は6.9度。極寒とも言うべきコンディションの中、清水のキックオフでゲームはスタートしました。

ピッチコンディションもあってか、静かに立ち上がったゲームのファーストシュートは7分で清水。右サイドからドリブルでカットインした西澤健太(3年・清水エスパルスJY)がそのまま放ったミドルは、鹿島のGK山田晃平(3年・群馬鬼石中)が何とかキャッチ。鹿島のファーストシュートは直後の7分。こちらもミドルレンジから平戸太貴(3年・鹿島アントラーズJY)が狙い、清水のGK山川卓己(3年・清水エスパルスJY)がキャッチしたものの、まずはお互いにミドルでチャンスを窺います。
そんな中、先制点は意外な形から。9分、平戸ともつれた清水のDFは体勢が悪く、クリアを自陣方向へ。プレゼントボールを受け取った武田諒太(2年・鹿島アントラーズJY)は、GKとの1対1も冷静に制して、ゴール左スミへボールを送り届けます。トップ昇格が内定している鈴木優磨(3年・鹿島アントラーズユース)の出場停止を受けて、スタメン起用された29番が早くも一仕事。鹿島が1点のアドバンテージを手にしました。
「前半は自分たちのサッカーというか、前からプレッシャーを掛けて、そこで点が取れれば良いなと思っていた」(平戸)中で、狙い通りに先制した鹿島。以降は膠着状態に陥ったゲームの中でも、「相手もウチのプレスに困っていたことがわかったので、そこを連動できたことで相手の攻撃を防げたと思う」とキャプテンの千葉健太(2年・鹿島アントラーズJY)も話した通り、前からの果敢なプレスで相手を封じ込め、冷静にゲームを進めていきます。
一方、「相手がああいう風にロングボールを蹴ってくるのはわかり切っているので、そのセカンドをどれだけ拾えるかが勝敗の鍵を握るというのは選手にも伝えてあった」(平岡監督)清水は、そのセカンド奪取で後手を踏んだ格好に。26分には望月大(3年・清水エスパルスJY)、田口雄太(2年・清水エスパルスJY)と繋ぎ、キャプテンマークを巻く森主麗司(3年・清水エスパルスJY)が放ったミドルは大きく枠の上へ。27分にも沼野誠也(2年・清水エスパルスJY)のパスから、既にJ1でのリーグ戦出場も経験している水谷拓磨(3年・清水エスパルスJY)が大きく左へ。走った望月大のトラップは大きく、シュートまでは行けず。出てこない攻撃のリズム。
29分は鹿島。左からのアーリーはDFにクリアされたものの、こぼれを叩いた田中稔也(2年・FC KRILO)のボレーはクロスバーの上へ。30分から33分の間に集めた4本のCKを経て、35分も鹿島。田中の右クロスがこぼれ、中央でフリーになった武田がシュートを放つと、ここは右のゴールポストを直撃。42分も鹿島。右から大里優斗(2年・鹿島アントラーズつくばJY)が蹴ったCKは、西澤のクリアに遭いましたが、大里が再び左足で入れた右クロスは、中央で誰も触れずにゴールキックへ。「監督の指示通りチームがうまく連動して、まとまってできたかなと思う」とは平戸。鹿島がさらなる攻勢を仕掛けます。
44分には押されていた清水にも大きなチャンス。左サイドでボールを受けた水谷がクロスを入れると、ファーで待っていた沼野がヘディング。ボールはわずかに枠の右へ逸れ、先制とは行かなかったものの、「この前後あたりから落ち着きは出てきていた」と平岡監督。とはいえ、「意外ともう少しボールを握られてというイメージを持って入ったんですけど、前半に関して言えば思ったよりこちらがプレーできたかなという感じ」と熊谷監督も手応えを口にした鹿島が、1点をリードしたままでハーフタイムへ入りました。

「相手のロングボールに対してしっかりセカンドを拾って、1つ繋いでいけば必ずチャンスは出てくる。おそらく前半も残り5分くらいで沼野のヘディングシュートがあったと思うんですけど、あのあたりから落ち着きは出てきていたので、そのまま後半も入っていこうということで送り出しました」と平岡監督。ハーフタイムが明けた48分には森主を起点に水谷が絶妙スルーパス。沼野はカットインで自らスペースを潰してしまい、シュートまでは持ち込めませんでしたが、51分には決定機。右サイドで粘った水谷がクロスを上げ切ると、3列目から飛び込んだ宮本航汰(3年・清水エスパルスJY)が至近距離で合わせたヘディングは、山田がファインセーブで回避したものの、立ち上がりから滲ませる同点への意欲。
すると、オレンジの歓喜が弾けたのは直後の51分。西澤が頭で残したボールを拾い、右から中央へ潜った沼野はスルーパス。ここも3列目から走り込んで来た宮本はファーストタッチで縦へ持ち出すと、GKとの1対1も堂々とゴール中央にぶち込みます。トップ昇格が決まっているボランチは、2度のチャンスがあればどちらかは確実に。「狙っていたような形で崩してできた」(平岡監督)同点弾。ビハインドを跳ね除けた清水。鹿島のリードは霧散しました。
「1-0でウチが後半を迎えていたので、相手がそういう状況で入ってくるというのはわかっていたんですけど、少し後手を踏んでしまった所はあったかなと思う」と話した熊谷監督は53分に1人目の交替を決断。先制ゴールを挙げた武田を下げて、ドリブラーの色摩を投入。「1点入ってしまったけど、自分もこういう出番が続いていたので、安心して出ることができました」とは本人。大事な局面でジョーカーがピッチへ解き放たれます。
57分は鹿島。田中が左へ回し、大里のクロスをファーで色摩が折り返すと、吉岡樹利也(2年・ソレッソ熊本)のシュートはヒットせずに山川にキャッチされましたが、「ああいう練習も結構チームでやっている」(色摩)形からフィニッシュまで。61分は清水。西澤とのパス交換から森主が右へ展開し、沼野のクロスは山田がキャッチしたものの、惜しいサイドアタックを。直後も清水。CBの鈴木翔太(3年・清水エスパルスJY)が果敢に狙ったミドルは枠の右へ外れるも、手数と流れは共に清水へ。
62分には平岡監督も決断。沼野に替えて福井悠陽(2年・F.C.コーマラント)を送り込み、サイドに新たな変化を。66分は鹿島。田中が左へ送り、森主のラストパスに水谷が飛び込むも、シュートは打てず山田がキャッチ。67分は清水。左サイドで田口が裏へ落とし、走った西澤のループはゴール左へ。69分は鹿島に2人目の交替。右SBで奮闘した宮本健太(2年・鹿島アントラーズつくばJY)を、「プレミアでも後期では右サイドで使いながらやっていた」(熊谷監督)寺門宥斗(3年・鹿島アントラーズノルテJY)と入れ替え、サイドに注ぎ込む推進力。71分は清水に2人目の交替。望月を下げて送り出すのは、「練習復帰したのが今週の頭からだったので、できて20分か30分」と指揮官も話したエースの北川航也(3年・清水エスパルスユース)。「今日は沼野がよく基点を創ってくれていたので、引っ張るだけ引っ張ってと思ったんですけど、僕の中で疲れているように感じたのでここで思い切って勝負に出ようと」(平岡監督)、世代屈指のストライカーに勝負を預けます。
「ハーフタイムに1点リードしていて、失点するかもしれないけど、それでも1対1だから慌てる必要はないとみんなわかっていた」と話したのは千葉。慌てない鹿島の勝ち越しゴールは意外な形から。73分に田中が左へ送ると、「守備の所も含めて波のある選手だったが、ここに来て非常に計算できてファイトできる、ウチのポイントになってきた」と熊谷監督も認めた大里が鋭いクロス。これをファーサイドに飛び込んだ寺門が頭で叩くと、スリッピーなピッチもあってGKがトンネルしてしまい、ボールはコロコロとゴールの中へ転がり込みます。スタメンに2年生が非常に多い中で、「ほとんど控えの選手は3年生で、そこは遜色なくできる選手だと思う」と熊谷監督も信頼を寄せる3年生がしっかり結果を。鹿島が再び1点のリードを手にしました。
またも追い掛ける展開となった清水。76分には西澤の右FKを森主が頭で合わせるも、ここはオフサイドの判定。逆に78分には平戸の左CKから、こぼれを平戸が残し、大里が入れた好クロスをCBの町田浩樹(2年・鹿島アントラーズつくばJY)がヘディングで枠の右へ外した鹿島のチャンスを見ると、平岡監督は79分に2枚替え。梅村豪(1年・清水エスパルスJY)と福井を下げて、鈴木健太郎(2年・UKI-C.FC)と深澤優太郎(3年・清水エスパルスJY)を投入。交替カードを使い切って最後の勝負に。
「試合の中では押し込まれる時間というのは必ずあると思うので、そこは耐えて耐えてと思いながらチャンスが来ると思ってやっていた」8番の試合を決定付ける追加点は82分。CBを務める中野純(2年・鹿島アントラーズJY)のヘディングを右サイドで拾った色摩は、「自分の得意なドリブル」で完全にえぐり切ると、「最初はニアから選択してという戦術だったので、空いていたニアに速いボールを入れようと」クロス。「サイドを突破して上げてくれるというのはわかっていたし信じていたので、ニアのポイントへ入っていこうと決めていた」平戸がワンタッチで流し込んだボールは、ゴールネットへ到達します。「2度ぐらいチャンスがあったけど、決め切れなかったので少しホッとしました」と笑顔を見せた平戸の一撃。点差は2点に広がりました。
追い込まれたオレンジ軍団。84分には左に開いた森主の折り返しを北川が繋ぐも、西澤のボレーはDFがきっちりブロック。85分に田中と垣田裕暉(2年・鹿島アントラーズJY)をスイッチした鹿島の交替を挟み、87分には決定的なチャンス。沼野が中央へ送ったボールを、懸命に収めた北川がGKとの1対1を迎えるも、ここも鹿島の守護神を託された山田がファインセーブで仁王立ち。89分にも北川が左へ回し、水谷が右足で上げたクロスに西澤が頭から飛び込むも、ボールはクロスバーの上へ。どうしてもスコアを動かすことができません。
90+1分に吉岡に替わって、試合を締める役割は3年生の吉野龍之介(3年・鹿島アントラーズJY)が。90+3分にはタッチライン際で「流れも悪かったし中盤だったし、切っておこうと思って思い切り滑りました」という千葉が強烈なスライディングでボールをタッチラインの外へ弾き飛ばすと、期せずしてどよめいたスタンド。そして、94分17秒に若鹿が聞いたのは自らの勝利を告げるホイッスル。「このチームの鹿島らしさというのはわからないんですけど、まずは勝負に徹するということと、流れを見るというようなことは常々言っています」と熊谷監督が話した通り、流れを見ながら勝負に徹した鹿島が、ファイナル進出を力強く手繰り寄せる結果となりました。

「こういう大きな試合というのはちょっとしたミスで失点してしまうとなかなか難しくなってしまうし、それが2つも続いてしまったら勝ちにくいですよね」と肩を落とした平岡監督。それでも、トップチームの影響をモロに受けた格好で、難しい"夏以降"を強いられながらも、ここまで勝ち上がってきた清水の健闘は大いに称えられるべきものでした。北川、水谷、宮本の3人はこの春からトップチームへ昇格することになりますが、最後のロッカールームでは"3人"との再会を誓ったという"3人以外"の3年生。「まずは3人が先にトップの方へ昇格しますけど、彼らがしっかりと活躍することと、4年後に他の選手たちが清水に戻ってきて、活躍してくれることを願っています」と平岡監督。再びオレンジを纏う日まで。"3人"と"3人以外"は自らを磨き続けるため、しばしの別れを経験します。
「当たり前のことを当たり前にやるということを常々言ってきていて、それは攻守の切り替えであって、球際で戦うことであって、それから走るということ。これだけは徹底してやらせてきているつもりなので、とにかくそこだけは負けないようにしていきたいと思います」と柔和な口調の中にも、この言葉が口を衝いた時には表情を引き締めた熊谷監督。「以前は球際で引いていた部分があったんですけど、戦えるチームにならなきゃというコンセプトでやっていたし、そこを引いたら絶対出してくれないので、そこを意識してやっていたら戦える選手になれたと思います」と手応えを掴んでいるのは色摩。その言葉は何よりピッチの上のプレーで、彼らが雄弁に語っています。印象的だったのは試合後に話を聞いた選手が、みんな自分で考えてしっかりと言葉を紡いでいたこと。「監督にも言われるんですけど、まずはサッカー選手である前に人間として当たり前のことを当たり前にできなきゃいけないし、挨拶だったり身だしなみだったり礼儀だったり、そういう面をサッカー以前の所で教えてもらって今年1年やってきたので、そういう効果が少しずつ1人1人できてきたのかなと思います」とキャプテンの千葉もキッパリ。「鹿島らしい勝ち方」(色摩)の背景には、クラブが大切に積み上げてきた伝統が間違いなく息衝いていたようです。      土屋

[Jユースカップ]「攻守の切り替え」「流れを読む」「球際で負けない」“らしさ”発揮の鹿島ユースが決勝進出!!
14/12/22 20:43

[12.20 Jユースカップ準決勝 鹿島ユース 3-1 清水ユース ヤンマー]



 12月20日、ヤンマースタジアム長居を舞台に2014Jユースカップ 第22回Jリーグユース選手権大会準決勝が行われた。その第2試合では、第12回大会(2002年)以来の優勝を狙う鹿島アントラーズユースに対するのは第13回大会(2005年)以来の優勝を狙う清水エスパルスユース。降りしきる雨の中、まさに「死闘」と呼ぶべきゲームが展開されることとなった。

 トップチームに帯同していた水谷拓磨も戻って来た清水は、負傷明けでコンディションが万全でないU-19日本代表FW北川航也を温存しつつ、水谷を最前線に置いた“ゼロトップ”の布陣でスタートすることに。対する鹿島は、昇格内定のFW鈴木優磨が累積警告によって出場停止のため、2年生FW武田諒太が先発。双方ともにエース不在の中でのキックオフだった。

 清水優位の下馬評もあったが、“らしい”形で先制点を奪ったのは鹿島の方だった。前半9分、鹿島FW吉岡樹利也のシュートがブロックされた後のこぼれ球が勝負を分けた。ボールの先にいたのは清水MF西澤健太だったが、拾うと同時に猛然と距離を詰めたMF大橋尚志の守備が効く。このチェックをかわした西澤はさすがだったが、その直後に今度はシュートを放った吉岡が猛然とディフェンス。たまらずミスしたボールの先にいたのは、先発抜擢の武田。冷静にシュートを放って、ゴールネットを揺らした。1年にわたって熊谷浩二監督が強調してきた「攻守の切り替え」がまさに出た会心のゴールだった。

 こうなると、試合のペースは勢いのある鹿島に傾くことになったが、清水も前半終盤から立て直し、ハーフタイムを挟んでさらに盛り返していく。水谷が中盤の守備へ積極参加するようになって数的優位を作る場面が増えると、後半6分にはMF沼野誠也の絶妙なスルーパスから抜け出したMF宮本航汰が同点ゴールを奪い取る。これで完全に流れをつかんだ清水が鹿島を押し込んでいくゲーム展開となった。

 しかし、鹿島は折れなかった。劣勢の試合展開に慣れていないチームでもない。献身的に守る主将のMF千葉健太らを中心として攻勢に粘り強く対応。26分に清水がエース北川を投入して勝負に出ると、逆に28分だった。スローインの流れからの遅攻で左SB大里優斗のハイクロスに合わせたのは、途中出場の右SB寺門宥斗。得意のジャンプヘッドが火を噴き、勝ち越しゴールをもぎ取った。「試合の流れを読む」こともまた、熊谷監督が叩き込んできた鹿島イズム。清水が2点目を欲した空気感の中で、貴重な1点が生まれた。

 このゴールで再び試合の流れは反転した。北川投入で強引なプレーも増えてきた清水に対して鹿島は個々のDFが体を張って粘り強く対応。「球際で絶対に負けない」(千葉)という“鹿島らしさ”を発揮してしのぐと、37分にはFW色摩雄貴の突破からMF平戸太貴が追加点。そのまま3-1のスコアで逃げ切った鹿島が、23日にヤンマースタジアム長居で行われるガンバ大阪ユースとの決勝戦へと駒を進めた。

[写真]“鹿島らしさ”が詰まった先制点を決めた武田

(取材・文 川端暁彦)




Jユースカップ決勝戦へコマを進めた鹿島ユースである。
前半に武田くんが先制するも、後半に追いつかれる苦しい展開も途中交代の寺門くんのヘディングで勝ち越し、色摩くんの突破から平戸くんが突き放した。
茨城新聞が快勝と報じる試合結果となった。
とはいえ、スコアこそ3-1であるが、攻められる時間帯も多く、力の差があったわけでは無い。
熊谷監督の作ったチームは非常に現実的な戦術が徹底しておるように思う。
このあたり、2000年の三冠時の主軸であったところが影響しているのではなかろうか。
あと一つで優勝である。
是非とも栄冠を掴んで欲しい。
楽しみにしておる。