美容室で髪を切るとしばしば思うのは、
顔を剃ってほしいということだ。
顔を剃ってもらう。
あれは気持ちいい。
外で顔を剃ってもらわなくなってから、
もう何年経つだろうか。
僕が理容室ではなく美容室に行くようになったせいだ。
美容室はカミソリが使えない。
今もそうかと行きつけに美容室で尋ねたら、
「そうだ」と言われた。
行きつけの近所の美容室は、
客の半分が男性だという。
ならば、顔を剃るサービスを加えたら歓迎されるのではと思い、
「理容師の免許を持っている店員を雇ったら」
と言ってみたら、
それでもダメだと言われた。
なんでも、保健所に美容室としての許可をとっている以上、
たとえ理容師の資格を持つ者でもカミソリは使えないという。
しかし中には、
美容室と理容室、
両方の許可を持っている店もあるそうだ。
素晴らしい!
でも、そういう店は、理容室と美容室、別の入り口にしないとダメだという。
中は同じ空間でOKだというのに。
こういう釈然としないルールは、
どこかに既得権益が存在すると思っている。
誰だ、得しているの?
ちなみに美容室が年々増加する一方で、
理容室の数はどんどん減っているという。
そして、理容室と美容室、
どちらの営業許可をとるにしても、
審査基準は費用にさほど差がないという。
この妙な免許制度で、
損しないように我が身を守っているのは、いったい誰だ。