劇作家で演出家の土田英生さんの長編小説『プログラム』読了。
読みながら筒井康隆、最初期の傑作『睡魔のいる夏』を想起しました。
小林賢太郎さんが帯に寄せた、
「確かにSFなんだけど、やけに人の気配がする」
という一文に納得至極。
架空の近未来、
そこで起きた重大な事件を、
大きな物語として描くのではなく、
小さなシーンを切り取り、
主に登場人物の会話で描いていく、
というのは、とても「舞台的」。
光景が鮮やかにイメージされ、
登場人物の声が聴こえてくる。
登場人物やエピソードの喜劇性も、
とても「舞台的」な感じを受けました。
この「舞台的」というところが、
過去の同一テーマのSF小説と、
大きく異なる点であり、
この作品の魅力だと思います。