半年間だけ探偵をやっていた人と話をした。
どんな仕事をしたのか尋ねたら、
「キャバ嬢の自宅を突き止める仕事をした」
という答えが返ってきた。
依頼者はそのキャバ嬢の客だそうだ。
かなりの金を突っ込んだが仕事用の携帯の番号しか教えてくれない。
だから依頼してきたのだという。
間接的なストーカーじゃないか。
でも仕事なので、
なんとかそのキャバ嬢の自宅を突き止め、
依頼者に報告した。
ただしそれで何かあったら後で困るので、
住所を知ったことを悪用しないと契約したという。
「割り印もした正式な契約書だったんですよ」
え?
どう考えてたって、
依頼者の男はキャバ嬢の家に行くだろう。
押しかけるかどうかは別にしても、
近くをウロウロするはずだ。
それだって訴えられたら、
ストーカー罪になる可能性はある。
つまり契約に意味はない。
その無意味さがなんともおもしろかったのだ。