発酵学の小泉武夫先生の話をうかがう機会があった。
短い時間ではあったが、
興味深い話の連続。
その中のひとつを挙げるとすれば、
カツオブシの話である。
カツオブシは発酵食品。
そう言われて驚いた。
カビつけのカビにより、
たんぱく質が分解され、
うまみ成分であるアミノ酸に変わる。
この部分が発酵なのだそうだ。
なるほど。
このプロセスに関する知識はあったが、
これもまた「発酵」であるということは見落としていた。
普通、日本の発酵食品というと、
納豆、味噌、酒、漬物、なれずしなどを思いつくが、
カツオブシも発酵食品だったのだな。
さらにカツオブシのカビには、
他にも優れた働きがあるという。
ひとつは「脂を分解」。
刺身で食べると脂の多いカツオだが、
カツオブシで出汁をとっても脂が浮かないのは、
カビが脂を分解しているからだそうだ。
そしてもうひとつの働きが、
「乾燥を促進」
カビは水分を吸収する。
なので、カビ付けを繰り返すことで、
あそこまで乾燥するのだという。
しかも空気や日光による乾燥と違い、
カビを使った場合、
均等に乾燥が進んでいく。
そこが最大のメリット。
やるな、カツオブシのカビ。
身近な食品の中にも、
驚異はまだまだ潜んでいる。