会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

グラミン銀行 マイクロクレジット

2007-05-07 00:51:18 | マクロ経済
 この連休は少し遠出しました。新幹線なら2時間の所、普通で旅行しました。そのかわりグリーンのある路線は普通車グリーンに乗って。6時間電車に揺られて何をしているかといいますと、ゆっくり本を読みます。積読になっていて読めて無かった本を5~6冊かばんに詰めて電車に乗ります。そのうちの一冊です。

 『グラミン銀行を知っていますか』 坪井ひろみ 東洋経済

 グラミン銀行の創設者がノーベル賞を取ってましたね。どうも重要らしいと思いつつ、放置していたのですが、この機会に読みました。

 一読してびっくりです。こんなことがこの世にあるのか。こんな素晴らしい、ある意味信じられない行いが誠実に熱意を込めて実践されていて、本当に実績を上げているのだ、という感動です。

 バングラデシュです。しかも貸付先は女性が中心。バングラデシュは男尊女卑の強い保守的な社会なのだそうです。女性は一人では外出も許されないような。基本的に女性は十代で嫁にゆき、夫に生活を完全依存。夫に離婚されたり死別した場合,極貧生活に追いやられてしまう。

 銀行創設のエピソードが良いんです。ユヌス博士が貧困村を訪れたとき貧しい女性の話をきいて閃いたんですな。本書では自伝を引用しています。

『私は、一日中働いた稼ぎが50パサイヤであることに衝撃を受けた。何故彼女は貧しいのか。それは彼女が現金を仲買人から借りていたため、製品を買い叩かれていたのだ。もし彼女が信用されて小額を借りることができれば、製品を買い叩かれずにもっと高い値で売れるだろう』

 ユヌス博士は同じ村に同じような状況にある世帯が数多くあることを発見。そして自分で始めることにした。貧しい人に、信用貸しする銀行を創設するのです。

 本書は、借り手を取材して紹介してゆくのですが、一つ一つのエピソードが感動的です。読み書きができず自分で商売するなど発想したことも無い女性が、仕入れ資金を借入れビジネスオーナーとなって夫への一方的な依存関係から脱却してゆく。

 貧しく教育も受けられず家庭で囲い込まれているような女性が貸付対象なわけで、グラミン銀行は借り手を教育,指導することも行っています。読み書きや家族計画、清潔にすること等々、直接経済活動と関係ないことも含まれています。当然事業や貯金をさせることなども指導します。

 借り手は5人一組のグループになって各人の返済に共同責任を負います。週一回地区の集会があって40人程度が出席して意見を交換。人前で話すことなど経験のない人たちにとってのハレ舞台であり、リーダーシップを学ぶ場であるのだそうです。自分に自信を持ちはじめ成長してゆく過程が感動的です。

 最近のグラミン銀行は『物乞い』をしている最貧困層にまで貸付範囲を拡げようとしていて、どんな状況にある人でも貧しさからは脱却できる、という銀行の理念を試しているのだそうです。

 『人々が銀行に行くのではなく、銀行のほうが人々のもとに行く』という銀行の哲学があるそうで、そりゃそうですよね、物乞いにまで貸そうとすれば,銀行から声をかけないと借りにも来ませんよね。
  
 この素晴らしい理念、実践が持つ意味は単に貧しい人の役にたったということ以上であると思います。

進化するケータイ

2007-05-04 20:26:16 | 読書
 私は携帯派ではなくPHS派です。最初にPHSにして以来ずっと。携帯に世の趨勢が完全に移ってからも何となく乗り換えられずにいます。PHSよりはるかにバラエティに富み、モデルチェンジも早くてうらやましい。

 携帯電話は技術的に最先端でありながら、コモディティー化していて、今や誰もが持っている。作るほうは競争が激しくて儲からない。パソコンに似てますが、パソコンはマイクロソフトやインテルが主導権を握っていて、携帯はドコモやKDDI等のキャリアが握っているって感じですかね。主導権を持てないっていうのは商売としては苦しいですよね。そういえば電機メーカーのことを分析した本を紹介したことがありましたっけ。

昨日の毎日新聞には0円端末のことが出てまして、ケータイ端末が0円とか1円で売られているのは通話料に端末コストが織り込まれていて元が取れるからなのですが、最近、端末と通話料を別に払う動きもあって、電機メーカーは反対しているそうです。端末が安いから買い替えが進んでいるのに、高くなると売れる台数が減るのがイヤなんですね。まあ、ユーザーサイドから見れば頻繁に端末を乗り換えるユーザーにとっては良いシステムですが、そうじゃない人には通話料を安くして欲しいというのが当然ですね。経済社会全体としてはどうか、とかいろいろ面白い問題もありますな。通話料に端末コストを織り込んで、どんどん端末を買い換えさせて結果的にユーザーの負担が重くなっているわけで、新台買い替え負担で業界全体が弱っているパチンコ業界みたいになることだって考えられます。

 電機メーカーと言っても、電機メーカーの背後には多数の下請け,孫受け,協力工場なるものがあって、ケータイがどうなって行くかということは規模が大きいだけに影響も大きいし、とまあ気になって仕方がないのですが良い入門書が・・・。まるまるドコモの戦略まる写しだったり、範囲が狭かったり・・・。

良いのがありました。

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 サイエンス・アイ新書2冊目ですが、これまた良いんですね。ナノテクの時にも思いましたが見開き一項目で書かれるタイプの、新聞を読んでいるようなあっさり物足りなさも無く(このタイプは読み通すのが難しい)、ダラダラ書きの,読者をバカにしたようなたとえ話で煙に巻くこともありません。読ませながら、論点をしっかり押さえキーワードがきっちりでている。キーワードが網羅されていれば後はネットでも調べられますな。

 本書はやはり200ページ強でコンパクトですが一読でケータイの持つ顔の多さが分かるようにできています。当然ながら通話が筆頭ですが、この通話でさえアナログ→デジタルの流れがあり、さらにデジタルにも何方式もあるんです。各キャリアの戦略が背景にあって・・・、とそういうとこまで丹念に書かれています。

 それにネット端末としての顔もありますね。パケット通信って何だっけから始まって、専用サイト→一般サイトの流れあり、次第に音声もネット化される方向にあり、スカイプなんかは・・・等々。携帯を持っている人にとってはそうだったなあと過去を振り返る感じかも知れませんが、PHS派としては改めて勉強ですけどね。

 どうもケータイといっても、これパソコンですね。ネットもできて音楽が聴けてテレビも観られる。ICカードもついて決済機能もある。ネットにはOSが必要で、音楽には音声再生機能が必要で、テレビには受信機能と画面が必要で。にもかかわらずより薄く、より早く。

 さすがにナノテクだとか微細加工についてまで解説されていませんが、読んでゆくうちに一通りのことが頭に入ります。構成も通話機能、ネット機能、技術編と3章構成です。章構成が細かくないのも読むほうとしてはありがたい。

 余談ながらクアルコムって名前、良く聴く名前ですが何の会社か知りませんでした。ケータイの通信やアプリケーションの会社だったんですね。本書で何度もでてきます。今度財務をみてみましょうか。

 図が豊富で論点も明確なのもナノテクと同じ。図と文章がマッチしていない箇所があったのが少し気になりましたが良書です。

米マクドナルド第一Q決算

2007-05-03 06:48:26 | 飲食
 米マクドナルドのここしばらくの株価は好調なようですね。日本と違って業績もかなり良いんです。詳しくはまた別の機会に。

 さて、ロイターに気になるニュースが出てます。米マクドの第一Q決算が好調だったということです。スナックラップって何だ、はまあ良いとして,米国マクドナルドも直営店をフランチャイズに切替を進めているみたいなんですね。これ、日本だけの戦略かと思いきや、米本社もそうしてたってお話です。


[シカゴ 20日 ロイター] 米マクドナルド(MCD.N: 株価, 企業情報 , レポート)が20日発表した第1・四半期決算は、チキンをトルティーヤで包んだ「スナックラップ」の販売が米国で好調だったことに加え、中国・日本・フランス・ロシアなどでの販売拡大を背景に、増益となった。

 純利益は7億6240万ドル(1株当たり0.62ドル)。前年同期は6億2530万ドル(同0.49ドル)だった。今回の結果は、同社が13日発表していた見通しと一致。同時点で、ロイター・エスティメーツによるアナリスト予想平均は、1株利益が0.57ドルだった。

 売上高は11%増の54億6000万ドル。アナリスト予想は54億3000万ドルだった。

 マクドナルドは、中南米地域の約1600店舗について、元アルゼンチン法人社長が率いるフランチャイズ企業に売却することで合意したことを明らかにした。売却額は約7億ドルを見込んでおり、配当や自社株買い戻し資金に充てるとしている。売却に伴う費用は約16億ドルで、第2・四半期決算に計上する見通し。

 同社は現在保有している店舗をフランチャイズ企業に売却し、保有店舗数を30%以下に削減することを長期目標として掲げており、中南米のほか英国やカナダを対象地域として検討している。