この連休は少し遠出しました。新幹線なら2時間の所、普通で旅行しました。そのかわりグリーンのある路線は普通車グリーンに乗って。6時間電車に揺られて何をしているかといいますと、ゆっくり本を読みます。積読になっていて読めて無かった本を5~6冊かばんに詰めて電車に乗ります。そのうちの一冊です。
『グラミン銀行を知っていますか』 坪井ひろみ 東洋経済
グラミン銀行の創設者がノーベル賞を取ってましたね。どうも重要らしいと思いつつ、放置していたのですが、この機会に読みました。
一読してびっくりです。こんなことがこの世にあるのか。こんな素晴らしい、ある意味信じられない行いが誠実に熱意を込めて実践されていて、本当に実績を上げているのだ、という感動です。
バングラデシュです。しかも貸付先は女性が中心。バングラデシュは男尊女卑の強い保守的な社会なのだそうです。女性は一人では外出も許されないような。基本的に女性は十代で嫁にゆき、夫に生活を完全依存。夫に離婚されたり死別した場合,極貧生活に追いやられてしまう。
銀行創設のエピソードが良いんです。ユヌス博士が貧困村を訪れたとき貧しい女性の話をきいて閃いたんですな。本書では自伝を引用しています。
『私は、一日中働いた稼ぎが50パサイヤであることに衝撃を受けた。何故彼女は貧しいのか。それは彼女が現金を仲買人から借りていたため、製品を買い叩かれていたのだ。もし彼女が信用されて小額を借りることができれば、製品を買い叩かれずにもっと高い値で売れるだろう』
ユヌス博士は同じ村に同じような状況にある世帯が数多くあることを発見。そして自分で始めることにした。貧しい人に、信用貸しする銀行を創設するのです。
本書は、借り手を取材して紹介してゆくのですが、一つ一つのエピソードが感動的です。読み書きができず自分で商売するなど発想したことも無い女性が、仕入れ資金を借入れビジネスオーナーとなって夫への一方的な依存関係から脱却してゆく。
貧しく教育も受けられず家庭で囲い込まれているような女性が貸付対象なわけで、グラミン銀行は借り手を教育,指導することも行っています。読み書きや家族計画、清潔にすること等々、直接経済活動と関係ないことも含まれています。当然事業や貯金をさせることなども指導します。
借り手は5人一組のグループになって各人の返済に共同責任を負います。週一回地区の集会があって40人程度が出席して意見を交換。人前で話すことなど経験のない人たちにとってのハレ舞台であり、リーダーシップを学ぶ場であるのだそうです。自分に自信を持ちはじめ成長してゆく過程が感動的です。
最近のグラミン銀行は『物乞い』をしている最貧困層にまで貸付範囲を拡げようとしていて、どんな状況にある人でも貧しさからは脱却できる、という銀行の理念を試しているのだそうです。
『人々が銀行に行くのではなく、銀行のほうが人々のもとに行く』という銀行の哲学があるそうで、そりゃそうですよね、物乞いにまで貸そうとすれば,銀行から声をかけないと借りにも来ませんよね。
この素晴らしい理念、実践が持つ意味は単に貧しい人の役にたったということ以上であると思います。
『グラミン銀行を知っていますか』 坪井ひろみ 東洋経済
グラミン銀行の創設者がノーベル賞を取ってましたね。どうも重要らしいと思いつつ、放置していたのですが、この機会に読みました。
一読してびっくりです。こんなことがこの世にあるのか。こんな素晴らしい、ある意味信じられない行いが誠実に熱意を込めて実践されていて、本当に実績を上げているのだ、という感動です。
バングラデシュです。しかも貸付先は女性が中心。バングラデシュは男尊女卑の強い保守的な社会なのだそうです。女性は一人では外出も許されないような。基本的に女性は十代で嫁にゆき、夫に生活を完全依存。夫に離婚されたり死別した場合,極貧生活に追いやられてしまう。
銀行創設のエピソードが良いんです。ユヌス博士が貧困村を訪れたとき貧しい女性の話をきいて閃いたんですな。本書では自伝を引用しています。
『私は、一日中働いた稼ぎが50パサイヤであることに衝撃を受けた。何故彼女は貧しいのか。それは彼女が現金を仲買人から借りていたため、製品を買い叩かれていたのだ。もし彼女が信用されて小額を借りることができれば、製品を買い叩かれずにもっと高い値で売れるだろう』
ユヌス博士は同じ村に同じような状況にある世帯が数多くあることを発見。そして自分で始めることにした。貧しい人に、信用貸しする銀行を創設するのです。
本書は、借り手を取材して紹介してゆくのですが、一つ一つのエピソードが感動的です。読み書きができず自分で商売するなど発想したことも無い女性が、仕入れ資金を借入れビジネスオーナーとなって夫への一方的な依存関係から脱却してゆく。
貧しく教育も受けられず家庭で囲い込まれているような女性が貸付対象なわけで、グラミン銀行は借り手を教育,指導することも行っています。読み書きや家族計画、清潔にすること等々、直接経済活動と関係ないことも含まれています。当然事業や貯金をさせることなども指導します。
借り手は5人一組のグループになって各人の返済に共同責任を負います。週一回地区の集会があって40人程度が出席して意見を交換。人前で話すことなど経験のない人たちにとってのハレ舞台であり、リーダーシップを学ぶ場であるのだそうです。自分に自信を持ちはじめ成長してゆく過程が感動的です。
最近のグラミン銀行は『物乞い』をしている最貧困層にまで貸付範囲を拡げようとしていて、どんな状況にある人でも貧しさからは脱却できる、という銀行の理念を試しているのだそうです。
『人々が銀行に行くのではなく、銀行のほうが人々のもとに行く』という銀行の哲学があるそうで、そりゃそうですよね、物乞いにまで貸そうとすれば,銀行から声をかけないと借りにも来ませんよね。
この素晴らしい理念、実践が持つ意味は単に貧しい人の役にたったということ以上であると思います。