ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

オペラ「リア」

2013-12-19 00:10:35 | オペラ
11月9日、日生劇場で、アリベルト・ライマン作曲のオペラ「リア」をみた(台本:クラウス・ヘンネベルク、指揮:下野竜也、
オケ:読売日響、演出:栗山民也)。

ドイツ語上演(日本語字幕付き)。日本初演。
言わずと知れたシェイクスピアの悲劇「リア王」のオペラ化。
「ヴェルディも二の足を踏んだシェイクスピアの傑作を、20世紀のライマンが豪快に描く!
 フィッシャー=ディースカウの求めで書かれたA.ライマンの傑作。現代作品としては未曾有の人気を誇るオペラ、待望の日本初演!」
(チラシより)

リア王は3人の娘たちに国を分けてのんびり余生を過ごそうと考え、彼女らに、父たる自分をどれほど愛しているか言わせようと
する。姉2人は言葉巧みに美辞麗句を連ねるが、末娘コーディリアはそんな姉たちへの反発もあり、「お話しすることは何も
ありません」と答えてしまう。家臣たちの前で恥をかかされたと思った父王は激怒し、彼女を勘当。求婚しに来ていたフランス王は
持参金も無くなった彼女を連れて帰国。リアは早速隠退生活に入り、長女の邸に居候の身となるが…。

客席前方を削ってオケが陣取り、舞台の左右にも管と打楽器がいる。
中央にやや右に傾いた、どっしりした質感のある灰色の舞台を設けてある。

序曲もなくいきなり王が語り出す。カラー刷りの大きな地図を王が破って与えるのが分かり易い。バーガンディ公はいない。
フランス王はコーディリアのそばにいる。この二人は白い服。他に舞台にいるのは道化のみ。
回り舞台が面白い。
あばら小屋ならぬ床下から、お尋ね者となったエドガーの声(カウンターテナー!)が長く響き渡る。彼は腹違いの弟エドマンドの
陰謀で、父グロスター伯爵に反逆の疑いをかけられて追われ、気違い乞食トムに扮して荒野に潜んでいるのだ。
オペラならではの場面だと思ったのは、半ば狂い、疲れ果てて眠る父に、コーディリアが歌いつつ近づく割と長いシーン。
ここの音楽が実に美しい。

父娘再会の長い会話が終わると、いきなりエドマンドらが現れて二人は逮捕される。
リーガンは舞台上で死ぬ。ゴネリルも舞台上で、短剣で己の首を刺して自殺。原作の芝居より分かり易い。
リアは殺されたコーディリアを引きずって登場。これはひどい。いくら死んでるからって…。歌手も痛いだろうに(戯曲では抱いて登場)。
コーディリアは縊死なのに胸が血だらけなのは変だ。
ケントは追放されたまま、出て来ない。
リアの最後のセリフで長い間があり、死ぬのかとずっと待っていたが、座ってうつむいたまま暗転。
しかも戯曲の最後のセリフが、作曲上の理由からかカットされていた。このラストはイマイチ。

現代音楽を評者の耳は残念ながらなかなか受けつけないが、エドガーのソロとコーディリアのソロは胸に沁みた。
この日、作曲家も来ていた。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「その場しのぎの男たち」 | トップ | 「イーハトーボの劇列車」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

オペラ」カテゴリの最新記事