ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

「ゴドーを待ちながら」

2011-05-05 17:47:37 | 芝居
4月26日新国立劇場小劇場で、サミュエル・ベケット作「ゴドーを待ちながら」を観た(演出:森新太郎)。岩切正一郎の新訳による上演。

演劇史にその名をとどろかせる作品なので、苦手な不条理物ではあるが、前もって安堂信也・高橋康也訳を読了して臨んだ。

田舎道。ヴラジミールとエストラゴンがゴドーを待っている。二人はゴドーに会ったことはなく、いつまでも待ち続ける。そこにポッゾとラッキーがやって来る・・・。

細長い舞台を客席が囲む。最近こういうのがはやりだが、これだと後ろ向きにしゃべった時のセリフが聞き取りにくい。

「生まれてすみません」というセリフにびっくり。これってアドリブだったのだろうか。ここ日本でなら必ずウケるセリフだけど・・。新しい訳を使っているだけでなく、今回の台本は、岩切と演出の森新太郎とが作者自身が演出した時の台本も検討して作った由。他にも「イエスさまは・・」といったセリフが新しい。

何しろこの芝居を観るのは初めてなので、役者を他と比較することはできないが、それぞれよくやってると思った。ヴラジミール役は橋爪功。エストラゴン役の石倉三郎は初舞台にして橋爪功の相手役という大役。ポッゾ役の山野史人、ラッキー役の石井愃一も共に好演。

ベケットはシェイクスピアが大好きだったそうで、特にこの作品は「リヤ王」との関連が深いらしい。しかし、だからと言って面白いとは限らないのが残念だ。

この芝居がパリで初演された時も、次いでロンドンで上演された時もブーイングがひどかったとか。
その後の米国初演ではお客がみんな途中で帰ってしまい、劇作家など数人しか残っていなかったという。
いかにもな話だ。筆者もその点、珍しく米国人にいささかの共感を覚える。
この世界の不条理、人生の不条理なんて、改めて教えてもらわなくてもいやと言うほど知っているのだから。
それに筆者は沙翁の芝居さえあればおなか一杯になれるし。



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