宇ち中
宇ち多゛中毒のページ




2007/12/06
(続き)
「いまどき」を出て雪の降る中、すすきのの真ん中まで移動します。札幌の街は南3条西3丁目といった具合に、格子状になっていて住所だけである程度場所が想像できて便利と思い、地図を用意してこなかったのですが、結局これが失敗の元。どのお店も探すのに結構苦労しました。この「あんぽん」も「南5条西4丁目」としかメモっておらず、結局すすきの歓楽街の引き込みお兄さんに尋ねることに。するとお兄さん、かなり親切に教えてくれました。交差点までついてきてくれて、「あそこの角を入ったところに、右側に赤い提灯があるよ」と。教えてもらった通りに角を曲がるとありました。



いい感じの提灯ですね。なんだかお店の中の、楽しげな雰囲気を想像してしまいました。そして階段を上がるとこんな感じのネオン看板が。



厚岸の牡蠣が自慢なんですね。更にあがると、重厚な木の扉と素敵な暖簾が。



扉が分厚いからか、中から音が聞こえません。こういう時はちょっと緊張しますね。でも意を決して扉を開きます。

お店の中は大きな1枚板を3枚でコの字型カウンターが作られ、ちょうどコの時の真ん中に比較的小さな炉端があります。入り口側の角を挟んで4人連れの団体さんが2組、2次会といった感じで呑んでいらっしゃいます。カウンターの中には、炉端の前に白髪の女将さんがちょこんと座っていらっしゃって、優しく出迎えてくれました。

空いている奥の方の席に着いて、アルバイトと思しき若いおねえさんに「お酒を、ぬる燗でお願いします」と伝えると、お通しと一緒に杯をいろいろと持ってきてくれました。



太田さんの本に出てくる世界が、まさに目の前で繰り広げられていると感じるこの感動。やっぱりお猪口は白い陶磁のものを選びます。そしてお酒(男山、1合400円)を持ってきてくれたおねえさん、「どうぞ」とお酌をしてくれました。



先程の「いまどき」でもそうでしたが、最初の1杯目はお酌をしてくれるのですね。ありがたくいただきます。「男山」と書かれた徳利とお猪口。いい感じです。しばらくお酒をゆるゆるといただきながら、メニューにある料理を眺めます。炉端の横には看板にも謳っていた牡蠣がありますが、ボクがちょっと惹かれたのは「北海しま海老」(1,200円)でした。北海道の釣り好きな先輩から、その美味しさをちょくちょくと伺っていたのでした。カウンターの中にいらっしゃった若女将に「北海しま海老をお願いします」と注文します。



さっきまで活きていたんじゃないかと思うくらい、ぴかぴかなしま海老。尻尾をちぎり取って尻尾の中に残った身を吸い取り、そして本体の尻尾からパクリと、海老の頭にある味噌を吸い取るようにしていただきます。これがまた絶品。燗酒に合いますね。手をおしぼりでぬぐいながら、お行儀を気にせずいただいちゃいました。お酒もおかわりです。



お店は炉端の前に座る女将さん、若女将、そして若いおねえさんの3人で切り盛りされてます。しま海老で日本酒を呑んでいると、女将さんから「ご出張ですか?」と。先程のお客さんたちもどうやら出張でいらっしゃった様子です。お話を進めると、「夏靴ですよね、お気をつけて下さいね。」と。先程の「いまどき」でも女将さんに夏靴と指摘されました。やはりお店の方は雪の日は特にお客さんの靴に気を配るのでしょうか。若女将からも「コンビニで滑り止めが売ってますから、それをつけるといいですよ。」と。有り難いお気遣いです。

しま海老も食べ終わり、しばらく男山をゆるりと呑みながらメニューの「たこまんま」(800円)の話に。お聞きすると、たこの卵だそうです。これも新鮮じゃなきゃいただけないものですね。お願いしちゃいました。



これがまた、何とも言えないまったりとした感じ。箸で持ち上げると、つるつると卵がつながってきます。少しずつつまみつつ、男山をおかわり。おねえさんのお酌で1杯目をいただき、たこまんまをつつきます。女将さんが棚にある美瑛・富良野の写真集をとって、ボクに渡してくれました。前田真三さんの写真集。そういえば2001年7月に札幌に来た時、札幌在住のNさんが富良野を案内してくれて、その時に立ち寄ったのが前田さんの「拓真館」に立ち寄ったのでした。そんな懐かしい話を女将さんにしつつ、男山をいただきます。



後半はずっと、お客さんはいらっしゃらず女将さんとボクだけという時間。いろいろとお話をしてくれました。お店は来年で30周年を迎えるとのこと。女将さんもお元気そうですが、なんともうすぐ70歳後半には全然見えない、お若くてお美しい方。最近まで車の運転もされていたとのことでしたが、最近事故をされてから運転するのを止めてしまったそうです。ともあれ、お元気になって、大事に至らなくてよかったのが不幸中の幸いですね。

時計を見ると時刻は22:00過ぎ。重厚な木の壁に囲まれた、中心に炉端のある広い空間はとっても居心地がよく、もう少し居たかったのですが、あと30分ほどの営業時間もボクが最後の客でお店を閉めるような雰囲気です。3本目のお銚子も空になり、それでは切り上げましょうかとお会計をお願いしました。1時間半ほどの滞在で、お会計は3,000円ちょっとでした。



すすきのの街は雪が降り続いてます。女将さんが「最近はネオンも少なくなってしまって…」とおっしゃっていたのを思い出しつつ、6年ぶりのすすきのの街を歩いたのでした。
(つづく)

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