ピアニスラー

ゴールド・フィンガー、ハイパー・ピアニスト矢沢朋子のブログ

入野賞30周年

2010年11月13日 | 現代音楽

入野賞30周年記念演奏会(11月3日東京オペラシティ)に行ってました~~

 

猫のトライアルに向けて棚を作ったり掃除をしたりetc,

で書きそびれてましたが、行ってたんですよ!

 

終演後のパーティーで、この日の演奏会のために来日していた作曲家たちとお話したり、帰国後メールをくれたりして、まだ3日の演奏会の余韻が残ってます。

桐朋創設のお一人であられた入野義朗先生はヤザワが高校で入学した時には他界されていたのでした。令夫人の禮子先生(も作曲専攻。高橋悠治氏と同級生)が入野義朗を記念して:『過去の集大成よりも、現状への変革と未来への可能性、方向性を重視する理念で設けられた国際作曲賞』が入野賞です。

 

過去の受賞者の音楽も、毎日音楽コンクール(こちらは音大生の登竜門というところでしょうか。作曲技術、技巧を競うという感じ)とは別味の作風が多く、コンセプチュアルな曲が多かったような気がします。毎コンでは絶対、選ばれないような音数の少ない曲とか(笑)

 

コンクールとか賞にもコンセプトというものがあり、「どういう人材を輩出していくか」という方向性があります。音楽界という産業の人事というかプレ・就職というものがコンクールなので、その結果は:能力がある/ないというより、適材適所、という程度に考えるべきなのでしょう。もちろん「ある一定のレベル以上」での話で。

 

国際作曲賞:入野賞は、演奏会のため来日した作曲家はどの国からであれ、英語でスピーチをしなくてはなりません。(ということは演奏会当日に知ったかも?笑)

会場では審査員で作曲家の湯浅譲二先生がインタビューと通訳をされてましたが、お客さんのほとんどは通訳も必要ない感じで冗談には笑ったりしていたのでした。終演後のパーティーの司会(作曲家の田中聡さん)も英語だったしね。

 

さすが文化の日。 にふさわしいグローバルな雰囲気の中での演奏会は、これまた素晴らしいものでした。

 

第30回入野賞に選ばれたジョヴァンニ・エンリコ・ロー・クルト(イタリア/1980ー)の作品は、展示されていた楽譜をざっと見ただけでは想像もつかなかった繊細で透明感のある響きのステキな曲でした。審査員がいかに丁寧に楽譜を読んで、入野賞の30回目を飾るににふさわしい曲を選んだかという結果です。聞いた後、気分が爽やかになりました。

三枝成彰さんが審査員だったら:「こんな爽やかな曲は現代音楽じゃない!現代音楽であるわけがない!」とかゆって選ばなかったかも。笑:(氏は「現代音楽とは調整のない、暗い、陰気な音楽のことです」とTVで語っておられました。毎コン受賞者の言葉。それが毎コン作曲部門の方向性なのか??)

まー確かに『暗い・陰気・調整がない』音楽も現代音楽には多いですが、能天気な音楽ばかりでなくてもいいではないですか。そんな小説とか絵とかも世の中、いっぱいあることですし。音楽だけバカみたく明るい必要は全くない。という意見も支持はします。普及活動もしてますし(笑)

 

話は入野賞に戻って・・

 

その爽やかな受賞作の他、私は第28回の受賞者、フィンランドのトミ・ライサネンのリコーダーとギターの曲が最高だと思いました!コレもまた全然、暗くなく、陰気でもないんですよ!(笑)調整はなかったけど、もうサイコー!! 本人も来日していたので、パーティでもお話しました。ピアノ曲もあるらしい

 

どの曲の演奏も素晴らしく、エネルギーをいただきました。音楽って、作品(曲)もあるけれど、演奏する人のエネルギーをもらうために聴くんでしょうね。

 

30年この私設の賞を運営されてきた令夫人の禮子先生は、noblesse oblige『高貴な地位ある人の義務』を実践しているという意識もなく、本当にナチュラルに楽しんでいるご様子です。もちろん運営にはアタマの痛いこともいっぱいあるわけですが、それでも隠居の未亡人のような人生は歩まれないんですね。これぞノーブル!

 

毎年、受賞者を出すということは、ものすごくお金のかかることなわけです。それこそシャネルを着たり宝石を買ったり豪遊もできる代わりに、『現状への変革と未来への可能性、方向性』のある若者を世の中に紹介することをライフワークにしていらっしゃいます。人と人を結び、音楽界の発展のために尽力する人生。色んな所へ行き、人と出会う刺激も、縁も、目的が崇高だから続くし、だから楽しいのでしょう。イキイキとしていらっしゃいます。

 

シャネルがかつて宝石をジャラジャラとつけた富豪夫人に:「あなたのような人(誰でも知ってる大金持ち)なら、ニセモノの宝石でもいいではないですか?」と言ったそうです。

 

高貴な生まれでなくても(笑)、見習いたい。人生の指針となります。

 

入野賞の40周年、50周年も!続けて下さい!

 

30周年、おめでとうございました

 

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1 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Thanks for your coming concert! (田中聰)
2010-11-13 17:39:56
矢沢さん、ご来聴ありがとうございました。なんか、パーティーも盛り上がって良かったです。
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