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ピアニスラー

ゴールド・フィンガー、ハイパー・ピアニスト矢沢朋子のブログ

腱鞘炎(外上果炎):その2

2008年08月09日 | 美容、健康

知る人ぞ知る炎症の特効薬、キウレイコン。高校受験の時に腕が痛くなった時、当時英語の家庭教師をしていてくれたイシダミワコ先生が買ってきてくれました。それ以来、常備してます。10年ぶりで使おうと思ったら古くて固まっていたので新たに購入。ちょっと痛い(←実はかなりヤバい)、腕がだるい、くらいだったら1、2回の塗布で完治してしまうほどの効き目。肺炎にも乳腺炎にも効くようです。症状が重いほど火炎地獄のようになります。水で練って皮膚に貼った薬が乾くまで7~8時間。あまりの辛さに剥がしてしまう人も多いと漢方薬局で聞きました。良薬口に苦し以上。


『いかなる問題も、それをつくりだした同じ意識によって解決することはできない』(アルバート・アインシュタイン)


好んで病気になったり失敗したりする人はいないのですが、その原因となったことを直視するというのは、それまでの自分の考え方や方法を変えなければならないということ。それが一番大変なことだったり辛いことだったりします。それまでの自分の努力や工夫を否定するような感じが自分を傷つけるので、同じやり方を繰り返し、同じ失敗を繰り返すということになりがちです。

(ピアニストの)腱鞘炎が不治の病(?)と言われるのはそんなところに起因すると思う。炎症を起こした弾き方を変える、というのが結局は根本治療。時間はかかるけれど、それしかない。変えないまま、また弾くから本当にダメにするのよ。

弾くときのフォームが悪くて手首に力が入っていたり、「ハイ・フィンガー奏法」と呼ばれる卵を握ったような形にして指を鍵盤から離して打鍵する弾き方で長年弾いていたり。打鍵後の脱力が出来ていなかったり。椅子が高すぎたり低すぎたり。

この「ハイ・フィンガー奏法」は日本がまだ貧しく、響きのいいホールがなかった時代に「いかに大きい音で聞かせるか」という目的で日本においてのみ一時期発展したという日本独自の「コロッケ」のような奏法です。

今や桐朋や芸大の先生でなくてもこの奏法でレッスンをしている先生は少ないはず(と思いたい)ですが、幼い生徒(ピアノは4~5歳で始めるので)は指の力も腕力も足りないため、幼少の頃に限り、この奏法でレッスンをするということはあります。ピアノにはハープやヴァイオリンのように子ども用の楽器がないので、本当に気をつけないと腕を壊すのです。

ある程度育ったら(女子だったら身長が止まったあたり)、このハイ・フィンガーからは卒業しなくてはなりません。そうはいっても、ハイ・フィンガーを教えた先生が色んな奏法が出来るというわけでもないので、それ以上、上達したい場合にはその先生から離れるということになります。それが一番辛いことなんですね。

音楽の楽しさ、ピアノの楽しさを教えてくれた大好きな先生とのお別れ。毎週、先生に会うのが楽しくて、先生に褒められたくて必死で言われた通り練習して、何年も通った先生の家。

本当に生徒の未来を考えている先生だったら、生徒の上達と才能(!酷だけど。。)に見合った他の先生を、ふさわしい時期に紹介してくれるものです。「この生徒は生涯、私の金ヅルよ!」とまでは思ってないにしても、「他の先生とのレッスンを比べられるから、絶対に他の先生は紹介しない」という先生もいるかもしれません。先生も人間なのでね。

かつての同門で(高校以前)桐朋を目指していた仲間6人のうち、3人は小学生と中学生の時点で腕を壊し、ピアノをあきらめました。小学生で拒食症になるほど精神的にもダメージを受けたようですが、誰もその先生を恨むどころか今でも懐かしくて好きだったり親交もあるようです。ピアノは個人レッスンなので、先生のことが好きでないと続かない、ということがあるのでしょう。音大を目指したり、プロになるのでなければ、こういう先生に巡り会うのが一番なんですけどね。

なんでこんなこと書いてるかというと、先日のブログにコメントで質問をいただきました。「あー・・コレは危険だ。この考え方は腕を壊す」と思ったので、腕を壊す要因、考え方なども書きます。桐朋の音校に入ってからも、腱鞘炎でピアノを辞めざるを得なかった同級生がいます。なんでもそうですが、上級者ほど大事故、大怪我になるということを忘れてはいけませんね。あとは自己流。(←あー今回、私はひじょーに耳が痛い

ご質問にもコメントで応えましたが:

>デッドの方が大きな音を出す訓練
出来てよいかなと

とピアノを練習されているそうです。住環境で防音のために響かないようにピアノを調整するということもありますが:


今は響きのいいホールが多いしピアノも状態がいいので、それに近い環境で練習しないと:「うるさいだけ」の演奏になってしまいます。私は大きい音よりキレイな音、小さい音でも通る音になるように練習してます。たとえメシアンとかでもホールなら大きい音は苦労しないので。

鳴らない箱で鳴らす努力ほど空しいことはないです。音楽以前の問題ですし。「頑張ってデカい音で弾く」というのは日本人が好きそうな精神論です。腕も壊します。デカい音!は脱力が素早く出来た時に発生する音量なんです。もともと乾燥した空気で生まれた西洋音楽なので、そういったこと(大きい音を出すということ)に神経を取られるということ自体、本来の本筋からズレていくと思います。「ハイ・フィンガー奏法」のようにね。



えー友人たちには:「あまりに痛がっていて気の毒なので『バカ』とも言えない」と哀れまれているヤザワです。

次回はヤザワが腕を故障するまでの暮らしぶり、その後の治療法などをお話します。


つづく

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