挟み撃ちにあった私のパン

　ある会合があり、その懇談会はフレンチのコース料理でした。

　３００人以上の参加者の割には会場が狭く、私が座った９人席の丸テーブルも少し窮屈。パン皿などの食器類も隙間なく並べられています。

　食事中、マナーモードの携帯電話が「鳴り」、中座しました。席に戻ると私の左手の方が、その方の右手つまりは私の左手のパン皿のパンを食べられています。さらに左の方もご自身の右手のを食べられています。

　本来は自分の左手のパンを取らないといけないのですが、私の左手側のどなたかが間違って右手側のパンを取られ、それが連鎖し私の左手のパンの所までやってきたのです。

　その時私の右手のパンはまだ残っていました。しかし右側３人先の方が、正しくご自身の左手のを食べられています。ここで私が右手のパンを取れば、私はよいのですが、その先の方のどなたかがパンにありつけません。で、どうしようか躊躇しているとまた電話が鳴り、中座しました。

　再び戻ったら、今度は私の右手の方が正しくご自身の左手、つまりは私の右側のパンを食べられていました。私は挟み撃ちにあう格好になり、左右どちらのパンもなくしてしまいました。
　そして、はるか右手３人目の方の右側パン皿に誰も手をつけない「私の」パンが残っていました。

　パンも食べたいけれど、「そのパン取ってください」と言うのもなんですし、ウエイターがパンのおかわりに来たら、その時にパンを頼もうと考えました。しかし、最後までパンのおかわりは来ず、結局、パンは食べられませんでした。

　帰って妻にその話しをすると、
　「私やったら、（間違っているのが分かっていても）右のパン食べるわ。そんなん早いもん順やん」

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