あた子の柿畑日記

田舎での日々の生活と趣味のレザークラフトについて

別れ

2007-07-27 01:03:01 | ペット
 うちの病犬が死にました。闘病4ヶ月余り、この夏は越せないだろうと覚悟はしていましたが、こんなにあっけなく逝ってしまうなんて。
 昼過ぎには、知り合いのおばさんが久々に訪ねてきて、他の2匹の犬が激しくほえているのに、彼女だけは(雌です)親しげに近寄っていったのです。「覚えといてくれたんじゃね。」と頭をなでてもらってうれしそうにしっぽをふっていたのに。その3時間後、帰宅した娘が暑い通路で倒れているのを発見したときには、もう硬くなっていました。もしかしたら、おばさんに近寄っていったのはおわかれのつもりだったのかしら。
 
 この子の母犬が死んだときは、わたしも仕事をしており、朝あわただしく出かけるのをうずくまって見送ってくれるのを車の窓から見たのが最後でした。娘たちは県外の大学におり、夫が一人で畑の隅に埋めてくれました。病院にこそ通いましたが、十分にかまってもやれず、心細い思いをしたのではないかと、悔いの残る死でした。
 この子はわたしが仕事を辞めいつも家にいるので、母犬よりは多くのふれあいがありました。それがせめてものなぐさめです。律儀で従順な性格で、家の者がそばへ行くと、ぐったりと寝ていても起きあがってしっぽを振るのです。そのたびに顔をなで、体をなでてやるのが習慣になりました。鎖が重たいだろうと、自由にしてやってからは、よく、同じ日に生まれた姉妹犬のそばで寝ていました。昔のようにじゃれ合うわけでもなく姉妹が静かに寝ているのを見ると、お互いに別れが近いことを知っているような気がしました。
 その姉妹犬がしきりに死んだ犬を気にするので、そばに連れて行くと、くんくんにおいをかいで鼻や耳をなめました。「どうしたの?ねえ、起きて。」とでもいうように。でも起きあがらないとわかると、そばをはなれていきました。きっと、永遠のお別れだと言うことがわかったにちがいありません。
 
 娘たちと庭の隅に穴を掘って埋めました。畑に咲いていたひまわりとヘメロカリスの花を顔の周りにおいてやりました。赤い首輪のビーズがきらきらと光りました。

 うちにはまだ2匹の犬とねこがいます。わたしの周りの人々もわたしと同じように年を重ねていきます。これから先、どれだけたくさんの別れがあるのでしょう。夕方になっても、いつものように花畑の手入れをする気にもなれず、ぼんやりと空を眺めていました。
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