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トラキチ酒場せんべろ屋 9月11日

「大山が打ち出したな」
「そや。金本監督の育成が実を結んできましたな」
「ところで中日はどこに必勝祈願に行ってんねんやろ」
「名古屋やから熱田神宮ちゃうか」
「そうか。きょうは、えべっさんと熱田神宮のお賽銭比べやったな」
「そや。阪神のえべっさんへのお賽銭がちょっとだけ足らんかったな」
「しゃあないな。こんどえべっさんへ行くときはワシが多めにお賽銭入れとくわ」
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100分de名著スペシャル石ノ森章太郎を観た

 NHKのEテレで100分de名著スペシャル石ノ森章太郎の特集をやっていた。石ノ森は手塚治虫、赤塚不二夫、藤子不二雄、横山光輝、白土三平らとともに戦後の日本の漫画を牽引した漫画家である。
 石ノ森はたいへんな職人であり、ものすごいエンタティメント作家だと思う。プロ中のプロといっていいだろう。「サイボーグ009」「幻魔大戦」「佐武と市捕物控え」「さるとびえっちゃん」「仮面ライダー」など彼の作品はどれも人口に膾炙した作品である。
 番組では、ヤマザキマリ、夏目房之介、名越康文、宇野常寛の4人が石ノ森作品を論じていた。彼らのいってることは、おおむね当たっているが、小生が聞くと少々舌足らずのところもあった。
 石ノ森といえば未完の作品が目立つ。代表作である「サイボーグ009」もそのうちの1つだ。この作品は「地下帝国ヨミ編」で、009島村ジョウと002ジェット・リンクの死で終わるべきであった。それ以降の「神々との戦い」はまったくの蛇足といっていいだろう。結局、「サイボーグ009」は未完となった。
 この「009」の晩年に入れ替わるように石ノ森が平井和正と組んで始めたのが「幻魔大戦」である。
「009」が戦うべき相手は武器商人「ブラック・ゴースト」である。人間の欲望が具現化した存在である。地球上に生息するホモサピエン自身が内包する「悪」が「009」が倒すべき相手だ。敵は人間の内部にいる悪だ。ところが「幻魔」は宇宙に遍在する「存在」である。彼らは地球に来寇するが、地球を侵略して植民地にしようというわけではない。宇宙には規格がある。その1つの規格が「幻魔」なのだ。「幻魔」は地球も、他の惑星同様、「幻魔」規格を採用させようとしているだけだ。それは善悪は関係ない。ちょうど日本の工業規格JISがあるところにヨーロッパ発祥ISOが日本に到来するように。JIS規格だけではなくISO規格も取得しないと仕事がやりにくいことは事実だ。ISOは悪ではなく日本の侵略しようとはしていない。「幻魔」は宇宙のISOと考えたらいいだろう。この「幻魔」も石ノ森は未完のまま終わらせた。その後石ノ森は平井と組んでSFマガジンで「新・幻魔大戦」を連載していたが未完だ。また、そのご平井和正はSFアドベンチャーで「真・幻魔大戦」を一人で書いていたが、これも未完。宇宙の規格はいまだ統一されていない。
 小生たちSF者が石ノ森を見ると、どうも海外の名作SFを思い浮かべることが多い。たとえば「009」の「ヨミ編」のラストはレイ・ブラッドベリの「万華鏡」だ。「ロボット刑事」はアイザック・アシモフだし、「赤いトナカイ」などはロバート・A・ハインラインの「大当たりの年」そのままだ。
 これをパクリというムキもいるが、パクリではなく未消化といった方が当たっているだろう。過去の名作に触発されて作品を創造するのは当然のこと。それを完全に消化して自分の身につけ、自分の創作物として世に送り出すべきだ。石ノ森の栄養となっているのはSFであるのは間違いないだろう。ただ、彼の場合、未消化が目立つのである。

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