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とつぜんSFノート 第98回

 想えばずいぶん長いことSFファンをやっている。小生もこのトシになったのだから、今まで生きてきた時間と、これから生きていく時間を比べれば、だんぜん、今まで生きてきた時間の方が長い。その長い時間のほとんどをSFファンとして過ごしてきたわけだ。
 こんな小生を見ればただのおじさんなわけで、外見でSFファンだと判断することは難しい。別にSFファン特有の斑紋が皮膚に浮かんでいるわけではない。だから、小生に限らずSFファンとカタギの人を見ただけで見分けることはできない。ところがこんなに長い間SFファンをやっていると、同族の臭いというモノは判る。例えば書店の入り口に立ち、ぱっと店内を見渡せば、あ、あいつはSFファンではないかな、と判る。で、その人を観察していると、SFの棚の方に歩いて行く。なぜ判るのか。カタギとSFファンは何が違うのか。これを説明するのはできない。長年の嗅覚のなせるワザとしかいいようがない。
 ではSFファンなる人種はいかなる人種なのか。ごく簡単に述べてみよう。断っておくが、これは50年近くSFファンやってきた古狸だけにあてはまることだ。最近の若いSFファンはよく知らない。
 まず、SFファンは活字中毒。常になにか本(SFに限らない)を読んでいる。昔はSFファン同士の結婚式によく列席した。お色直しでご歓談の時間に本を読んでいるヤツがいる。
 SFファンは酒飲み。SFファンが何人か集まって、用が済めば、まず間違いなく「ちょっと一杯」となる。
 ひとりもんが多い。小生は既婚者だが、小生のお仲間にはやたら独身が多い。中には女性より本を愛しているものもいる。
 貧乏人である。小生もそうであるが、あまり金持ちはいない、だから一杯飲みも上等な店にはあまり行かない。
 スポーツはあまりしない。SFファンはその生態ゆえ、インドア派が多い。スポーツの後爽やかな汗を流しシャワーのあとビールをグググ。こんな人はあまりいない。シャワーのあとビールをググはいるが。それにゴルフをやる人は、小生の知ってるSFファンに一人もいない。
 教養が豊かである。中にはコレクション癖のある人もいる。やたら人脈を作りたがる。イベント好きである。関西限定だが、ジャズ、阪神タイガース、上方落語、この三つ全部あるいは二つ、最低一つが好き。と、いうことで当たっているだろうかな。これ、お前のことやんか。と、いわれればそうかも知れない。

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