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31年目の夫婦げんか


監督 デヴィッド・フランケル
出演 メリル・ストリープ、トミー・リー・ジョーンズ

 ケイとアーノルドの夫婦は結婚31年。別に波乱はないようだ。夫のアーノルドは毎日会社に行ってる。無職のクズ男では決してない。会社ではそれなりの地位らしい。家の外で浮気など決してしてない。妻のケイも不倫してるわけでもない。生活も平穏で中流の上といったところ。
 朝、ケイがベーコンエッグを焼く。ベーコンはカリカリ。アーノルド、新聞を読みつつコーヒーを飲みベーコンエッグを食べる。食べ終わると、会社へ行く。夜はゴルフ番組を見つつ寝てしまう。
 この熟年夫婦、ずいぶんあっちはごぶさた。寝室も別らしい。最近、ケイは夫が不満。さわってくれない。こっちを向いてくれない。ケイはとうとうがまんできなくなり夫婦生活カウンセリングを受けるという。アーノルドはそんなもんいらん。ワシはそんなとこ行かんぞ。結局、ケイはへそくりから4000ドルひねり出して申し込む。1週間ほどカウンセラーのもとに滞在してアドバイスを受ける。嫌がってたアーノルドもいっしょに行く。カウンセラーから毎日課題を出され、ケイは喜んで、アーノルドは嫌々ながら課題をこなす。そしてカウンセリングが終了。家に帰る。ベーコンエッグの日々がまた始まる。
 この邦題は適当ではない。原題の「HOPE  SPRINGS」は夫婦が滞在したメイン州の町の名前だが、映画の中では、この夫婦別にケンカをしてるわけではない。二人の関係はある意味ケンカよりも深刻かもしれない。ケンカするということは、お互い関心をもっているということ。関心がないから困っているのだ。特に妻のケイが危機感を抱いている。夫のアーノルドはなぜケイが不満なのか理解できない。邦題をつけるのなら「31年目の結婚」としたほうがいいだろう。
 アーノルドも別にケイに不満があるわけでない。他の女に目が行くこともない。アーノルドにとって、ケイがそこにいるのはあたりまえ。いてあたりまえ。空気のような存在なのだ。31年も夫婦をやってりゃこんなもんだろう。ところがケイにとっては自分が空気であったら困るのだ。自分は「空気」ではなく、まだまだ「女」なのだ。
 ま、ようするにこれは、おのろけ映画なのである。べたべたおのろけ映画でも、メリル・ストリープ、トミー・リー・ジョーンズという芸達者が夫婦役をやると面白い映画となるのである。それにしても、あれで4000ドルは高い。
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