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中小企業に手厚くすべし

 2014年の春闘の結果が出始めた。電機、自動車など、大手の製造業は軒並みベースアップとなった。久しぶりに景気の良いニュースだ。連合もいいスタートがきれたと歓迎の意を表明している。喜ばしいニュースであることは間違いない。しかし、手放しで喜んでいいものだろうか。
 はっきりいって今春闘の大手のベースアップはいわば、官製ベースアップといっていい。安倍首相の経済界への強い要望に、業界経営陣が応えたのが今回の結果だろう。政府主導のベースアップ実現だ。決して連合などの労働組合が勝ち取った結果ではない。労働組合は何をしていたのかと、ここでは叱咤しておきたい。今後は政府主導の官製ではなく、労働者自らの手で、賃金上昇を勝ち取ってもらいたい。
 景気上昇にともなって、安倍首相は労働者の賃金を上げろと、経済団体に要望してきた。しかし、これでは片手落ちである。ベースアップを回答しているのは、東芝、日立、三菱、トヨタ、日産といっただれでも名前を知っている大手だけ。確かにこれらの有名企業に勤めている人たちの給料は上がるだろう。しかし、これらの大企業の下請け、孫受け、ひ孫受けといった中小企業の労働者の賃金は上がるだろうか。
 自社ブランドを持っていて、自社製品を通じて直接消費者に接している企業はいい。しかし、多くの中小企業は、このたびベースアップをする大企業に製品を納品して、また、仕事をまわしてもらって成り立っている。小生も長い間、中小企業の製造現場にいるが、大手企業は下請け協力業者のことを「生かさぬ殺さぬ。少しでも単金は安く納期を短く品質は高く」と思っている。そして、文句があるのなら代わりの業者はいくらでもあるんだぞ。実際、こんな意識で下請け業者に接していたご仁もいた。
 確かに大手の労働者のベースアップも大切だが、それよりも大切なことは、大手企業から、取引のある中小の企業へと支払われる、単金、加工費、部品代、人件費、ようするに大手から中小へ流れるお金を増やすことが大切だ。安倍さんも、大手の企業に対して、自社のベースアップを抑えてでも、協力業者への単金の上昇を要求すべきだった。
 中小企業で働く労働者の収入が増えてこそ、真の景気回復といえるだろう。
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