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若い自由な発想の芽をつんではならない

 つい二ヶ月足らず前は、新型万能細胞STAP細胞の作製者、若き女性研究者として華々しく登場し、生物学の常識をくつがえすといわれた小保方晴子女史。ノーベル賞有力候補さえといわれたが、今や、佐村河内守氏や森口尚史氏と同類あつかいされている。STAP細胞の実在さえ疑われ、小保方女史ご自身の博士号さえ疑問視されている。
 確かにコピペだらけの論文、間違った写真の使用など、問題山積であるが、今となって考えると、イギリスの科学雑誌ネイチャーに論文が掲載されたというだけのことであった。もっと冷静に見るべきであった。また、小保方女史をはじめ理化学研究所は、発表が拙速であったのではないか。こうなってしまったら、STAP細胞が小保方女史の妄想から生み出された、とんでも細胞ではなく、実在が実証され、あちこちの研究機関にて再現されて、再生医学進歩の大きな駆動力となることを祈る。
 もし、STAP細胞が幻であったとはっきりすれば、日本の自然科学研究の信頼を大きく損なうことになる。これは憂慮すべきことだが、小生は、さらに大きな弊害が発生することを恐れる。
 小保方女史は研究者としては若い。その若い女史が画期的な新発見をした。これにみんなは驚愕し賞賛したわけだ。彼女が所属していたのが理化学研究所だから良かった。どっかの大学だったら、手柄は教授のものとされ若い研究者が表舞台に立つことはないといわれたりもした。
 ところが、このたびの疑惑が発覚し、小保方女史の経験不足が問題視されている。理研の野依理事長も「未熟な研究者が多くのデータを無責任にあつかった。徹底的に教育しなくてはならない」と同女史を叱った。
 確かに、このような事が再び起こってはならない。しかし、今回のことに懲りて日本の科学研究が硬直し停滞するのを恐れる。
 小保方女史には直属の上司は不在だったとのこと。ユニットリーダーとして一つの研究室を任され、彼女が自由にSTAP細胞の研究を行っていたのではないか。まだはっきりしないが、STAP細胞実証できずとなれば、野依理事長のいうとおり若い研究者に任せたのが間違いだった。ところがSTAP細胞が実証されば、若い小保方女史に任せたのが正解だったということになる。
 常識はずれ、革命的、画期的、驚愕すべき新発見新発明、こういう事は、過去の常識にとらわれた経験者が成すのは少々困難。若い、恐れ知らずの者に自由にやらせればこそ成し遂げられるものではないのか。確かに若い者は間違いも犯すだろう。その点は教育しなくてはならない。しかし、自由な発想を摘んでは元も子もない。そのあたりの塩梅は難しい。ともあれ、今回のことに懲りて、若い研究者の芽を摘む事態だけは避けなければならない。
 羹に懲りて膾を吹いてはいけない。
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