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HELLSING


平野耕太 少年画報社

 小生、今までいろんな漫画を読んできたが、たぶん、この作品が一番流血量が多いだろう。なんともはや、血みどろの漫画である。どのページを開けても、誌面は血でベタベタ。
 時は20世紀世紀末。英国各地で不思議な事件が頻発。どうも吸血鬼が出没しているらしい。英国には女王直属で、王立国教騎士団ヘルシング機関なる組織が存在する。長は女性のインテグラ卿。ヘルシング機関は吸血鬼狩を任務とする機関。ヘルシングに属するインテグラの従僕アーカードは不死身の吸血鬼。彼は吸血鬼でありながらヘルシング機関の鬼札(ジョーカー)
 このインテグラ機関に敵対する組織が、ヴァチカン法王庁特務局第13課イスカリオテ機関。最強の武装神父アンデルセンがいる。イスカリオテの任務は異端異教徒の弾圧殺害撲滅。カトリック以外は悪魔だと思っている。当然、プロテスタントの国英国のヘルシングとは敵対関係にある。イスカリオテの言によれば「良いプロテスタントは死んだプロテスタントだ」
 さらには、南米に逃れていたナチスの最後の生き残り大隊「ミレニアム」が、巨大飛行船を駆り、V1、V2ロケットを撃ちこみつつ英国に侵攻。リーダーは「少佐」少佐は戦争狂。戦争がしたくてしたくて、好きで好きで。
 ヘルシング、イスカリオテ、ミレニアムが三つ巴の血みどろの戦いを繰り広げる。
 疾走感あふれる漫画だ。バトルにつぐバトル。大量の血液をぶちまけながら、アーカードがアンデルセンが、斬る、撃つ、蹴る、突く、首がちぎれ、胴体が切断され、臓物が流れ出し、頭が壁に激突して、眼球が突出し、脳漿が散乱する。絵は決してうまくはないが、異様な迫力。セリフも七五調のセリフで、大仰なセリフが多い。この漫画には善玉は存在しない。いちおうヘルシングのインテグラ、アーカード、アーカードの弟子セラスが主人公サイドの人間だが、彼らとて組織の規範に従っているだけ。そういう意味からも、この漫画、映画「仁義なき戦い」に似ている。
 しかし、まあ、きわどい漫画であることか。もしこの作品がノーベル文学賞を受賞したら、今年の平和賞どころの騒ぎじゃない。ヴァチカンが激怒するだろう。なんせこの漫画によればヴァチカンは殺人狂の集団だ。イギリス、ドイツ、イスラエル、南米各国も怒るだろう。
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