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ミクロの決死圏


監督 リチャード・フライシャー
出演 スティーブン・ボイド、ドナルド・プリザンス、ラクウェル・ウェルチ

「午前10時の映画祭」で観た。この映画も映画館で観るのは、ずいぶん久しぶり。最初に観たのは、今は亡き神戸は新開地の聚楽館で観た。小生、高校は湊川だったので、高校の帰りに、近くの聚楽館でよく映画を観ていた。確か「大脱走」も「ワイルドバンチ」もこの映画館で観た記憶がある。
 さて、「ミクロの決死圏」だ。面白い。SF映画の傑作といえよう。SFはウソである。ウソはでかいほど面白い。大ウソをかませて、あ~あ、面白かったといわせればSFとして傑作といえる。ただし、ウソをウソっぽく話すと、あほらし、と、思われて読者なり観客がしらければ、それは失敗作だ。ウソをいかにも、ありそうに、本当っぽく見せなければならない。ウソはウソと認識させた上で、わっ、ほんまみたいやな、と客に思わせれば傑作だ。
 そのデンでいくと、この映画も傑作の要件を満たしている。潜航艇と人間をミクロサイズまで縮小して、脳に障害を負った患者の人体内部に進入。脳の中から患部を手術する。こんな話、だれがどう見たってウソ。この映画をノンフィクションだドキュメンタリーだと思って観る人はいない。
 いきなりスパイ活劇から映画は始まる。東側から科学者が亡命してきた。連れて来たのはCIAのグラント。東側の妨害によって科学者の車は大破。科学者は頭を強打、脳内出血を起こす。で、上記のような治療法を取ることになった。
 チームは5人。グラント、循環器の医者で医療部門の長。脳外科の権威とその助手のべっぴん。潜航艇の操縦者。この中に敵方のスパイがいる。そのためにグラントがチームに入った。
 NASAの管制センターか、戦略空軍司令部のような大がかりな地下秘密基地。その医療部に科学者が寝かされている。何段階もかけて行われる縮小作業。小さくなった潜航艇をのぞく大きな作業員。巨大な注射器に入れられ、注射器ごと縮小。普通のサイズに縮まった注射器で頚動脈に注射。一行は体内へ。幻想的な風景が広がる。
 小さくなっていられるのは60分。心臓、内耳、など難所を通り、敵の妨害工作と思われるトラブルが勃発。手術用レーザーの故障。浮力用の空気が漏れている。吸入口に異物がつまった。
 限られた時間の中で、トラブルを乗り越えて、無事患者を助けられるか。敵方のスパイはだれか。優れたSF映画でありつつ、スパイ活劇、サスペンスドラマとしても楽しめる。エンタティメントの教科書みたいな映画だ。

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