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フィッシュストーリー

監督 中村義洋
出演 伊藤惇史、高良健吾、渋川清彦、大河内利充、多部未華子

アヒルと鴨のコインロッカ-」に続く、原作伊坂幸太郎、監督中村義洋コンビの映画。この作品も前作同様、紹介するのは難しい。ああなって、こうなって、そしてこうなった、と、ストーリーを紹介したとて無意味。
 1975年、1982年、2009年、2012年と、4つの時間が1本の映画の中で流れている。登場人物も、早く出すぎたパンクロックのバンド「逆鱗」。あんたは救世主になると予言された気弱な大学生。フェリーから降りそこねてシージャックに遭遇した女子高生と、「正義の味方」の船のコック。人類絶滅まで5時間、中古レコード屋に居合わせた3人の男。
 これらのバラバラのピースが、収まるべき所に収まり、映画のラストにはきれいなジグソーパズルが完成する。この時の爽快感は特筆すべきだ。
 このバラバラのピースをまとめるキーとなるピースが、逆鱗の最後の曲「フィッシュストーリー」この曲なぜか途中に1分間の無音の部分がある。録音ミスではない。意図して作った無音部分だ。なぜか。この無音部分がこの映画のテーマに大きく関わる。
 主要な登場人物は、逆鱗の4人組、気弱な大学生、女子高生、コックだが、特に逆鱗の4人が重要な役割を果す。映画の起動部分となり、映画を駆動させ、そして、映画を終らせるのも、彼らの作った最後の曲。
 この逆鱗の4人が良い。いかにも売れそうにない、アマチュアに毛の生えたようなバンド。やっている曲もアマチュアっぽい。ところが映画の中で何度も演奏される逆鱗の「フィッシュストーリー」は妙な魅力がある。
 一生懸命やっていると、その想いは必ず誰かに届き、そして大きな力を発揮する。 
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