風に吹かれすぎて

今日はどんな風が吹いているのでしょうか

カエルの歌

2017年11月16日 | 

いつだって耳を凝らしていた
なにひとつ聞き漏らしてはいけないと思っていた
だけどその音はいつもひどく、くぐもっていた
ぼころぼころと、その音はなっていた
泥の中でカエルが歌っているのだろう

ときおり、そうやって耳を凝らしているのが馬鹿らしくなった
カエルの歌などどうでもいい
耳を凝らすのをやめた
恋人と、カレーライスの辛さついて語った
友人と、村落からの人口の流出について語った

それでも、だれとも喋らず沈黙が訪れる時がくる
カエルが鳴きはじめる
耳をふさいでもカエルの声は脳の奥までリズムを刻む
すっかり降参して、カエルの声に耳を澄ます
ぼころぼころとカエルは歌い続ける