鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

150222 第4回ワシ類越冬個体数等調査(十勝)

2015-02-24 15:03:27 | 鳥・冬


 NPO法人日本野鳥の会十勝支部では14名の会員が10区間で調査に当たり、オオワシ成鳥25羽、幼鳥8羽とオジロワシ成鳥32羽、幼鳥12羽ならびに識別不明12羽の合計89羽の海ワシ類を確認しました。
 前回までと数は大きく変わらないものの、分布には変化がみられました。11~1月は十勝全体の40~60%の個体数が集中していた十勝川中流域で3羽(十勝全体の3.4%)と激減した一方で、足寄・陸別では50羽(十勝全体の56.2%)と大きく数を増やしました。2~3月の足寄・陸別での個体数増加は過去の調査でも確認されており、足輪や発信機による裏付けはありませんが、冬の前半に十勝川中流域でサケを食べ尽くしたワシが、その後シカ残滓を求めて山間部へ入ってゆくようです。
 去年の同時期の調査と比較して興味深い点がありました。オオワシ幼鳥、オジロワシの数は大差なかったのですが、オオワシ成鳥は半分以下だったことです。未調査区間に餌があってそこに集まっていた、今冬は暖冬気味のため北への渡りが早く進んでいる、観光目的の餌付けを行っている根室や羅臼に集まっているなどの仮説が考えられますが、正確なところは不明です。
 私は十勝川下流域を担当し、オオワシ1羽とオジロワシ5羽を数えました。オジロワシはすべて成鳥かつ営巣地付近での観察で、まだ雪の積もった巣の上に立つつがいもいました。早くも繁殖の季節が始まっているのです。ゴマフアザラシやタンチョウ、キタキツネなども観察でき、わずか半日のドライブでこれだけの野生動物を見られる場所に住んでいることの幸せを改めてかみしめました。
 冒頭写真は河口付近の砂浜に打ち上がっていた氷です。流氷ではなく、十勝川から海に流れ出したものです。


堆肥場のタンチョウキタキツネ



(2015年2月23日   千嶋 淳)