走る営業公務員、奮闘記!!

地方分権が進展する中での地方からみた木っ端役人の奮闘記です。

愛媛版六次産業総合推進委託事業がスタート!!

2011年07月21日 03時45分36秒 | 地域情報/その他
 7月20日の愛媛新聞の経済面に「農家の所得増へ 6次産業化支援へ」という記事が掲載されていた。

 内容としては、愛媛銀行が農水省から「6次産業総合推進委託事業」の受託を受け、県内の農林水産関係者(個人、団体を問わない)に対してのサポート体制を整備し、機能させていくというものである。
この事業は、今年度からの事業で経産省が進めていた「農商工連携事業」の進化版といっていい。
 経産省と異なる点は、なによりも生産者に力点を置いているということ。
 驚いたのは、国は都道府県ごとに拠点整備を行っているが、その受託者が銀行というのは本当に珍しいと思う。(記事では全国初)
 選ばれた理由は、同行が愛媛県内の特に第一次産業関係者に対して力を入れた「ガイアファンド」なるものを開発していた実績からか...

 ただ、気になることが2つある。

 一つ目は、本当に第一次産業の生産者の視点に立っているかということ。
 それには、生産者にとって所得が向上することも大切なのだが、所得が不安定だということにも着目して欲しい。
 今お付き合いしている若い生産者の人たちは、例えば農家であれば農業が大好きなのである。
 彼らは異口同音に「私らのとりえは、今作っているものを大きくしたり、たくさん作ったり、より美味しくつくることです。それだけに、それ以外はどうも苦手です。」と言われる方が多い。
 確かに、市場の特性や消費者のニーズ、それらの動向を知って生産手法に生かすというのは大切である。
でも、彼らは加工業者や販売者になりたいわけではなく、むしろ本音は生産に専念したいというところにある。

 また地域社会は、「分業」というシステムが機能し、それぞれがなすべきことを行うことが理想である。
そして、それにより各々が適正な対価をもらうということだと私は思う。
しかし、今のやり方を見ていると、本業は横において、他分野に進出することで所得を向上させようと言っているような気がしてならない。
 問題は、流通システムの中でそれぞれの担当において適正な対価が得られているかが本質の問題であって、今のままいくと変に競争心を煽り、互いが傷つきあい、結果としてもっと不幸になるような気がする。

 生産者の仕事は自然を相手にしているということ。
 何がいいたいかと言うと、成果は自然任せなのである。
 つまり、生産量を予測できても天変地異で脆くも予測は裏切られるのである。

 そうした、不安定要素がいっぱいある中で生産者は毎日一心不乱に仕事をしている。
 優先順位は、所得向上よりも所得の安定を優先して欲しいということ。
 このことは、皆が集まり知恵を出し合えばできると思っている。

 二つ目は、この分野には農協という存在がある。
 私は、地域社会の中で実力以上の力を出すには、競争よりも連携だと思っている。
農協と銀行には、微妙な関係が存在するような気がする。
それは、金融の部分でかぶるところが多いからである。
つまり、ライバルなのである。
このことが、この事業を推進する上で障害になるような気がする。

 両方の組織が本当に生産者のことを考え、小異を捨て大同することができるならば、今までにない成果がきっと得られると思う。
そして同行がこの事業で成果を出せるかどうかは、この舵取りで決まるのではないか。

 本事業が、生産者の汗に対する対価が適正に支払われる世の中になる見本になってくれることを願っている!