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特定行政書士とくさんのちょっと得するかもしれないお話  
シーズン2

平成24年度行政書士試験難易度総括

2012年11月14日 21時15分00秒 | 行政書士試験

 試験から3日ほど経ちまして,少しずつ冷静さを取り戻しつつあると思われますので,今年の行政書士試験の難易度等についてのお話を。

 まあ,ある程度今年は難しくなりそうだ,という感じはありましたけども,その予想はだいたいにおいて当たってしまいました。

 法令の択一式の「基礎法学」

 2問のうち,最低でもどちらか1問取れていれば十分のようなちょっとした難問ですね。

 問題1「レイシオ・デシデンダイ」という用語。

 法学部出身者であれば,最低でも講義の中で1回は聞いているはず・・

 ですけど,これはあくまで行政書士試験の中の1問。

 『初めて聞きました』,という方が多かったと思われますが・・・

 問題2「みなす」と「推定する」の使い分け問題・・・

 試験当日の夜にもちょっと書きましたが,こういうのは,一見簡単なようで,その実,結構取りづらい問題の代表なんですよね・・・

 民事訴訟法刑法の条文まで正確につかんでいませんと正解が出せませんからね。

 これも厳しかったと思います。

 「憲法」

 択一式の方は,意外にあっさりした感じだったと思います。

 問題4などは,絶対に落とせないですね。

 問題6判決文を読ませて,答えさせる問題

 この形式は,選択式だけでなく,択一式でも,もはや避けられなくなってきました。

 このタイプの問題は,法律知識による正誤問題というよりも,どちらかといえば,文章読解の性質を持っているんですけどね。

 特に,この問題は,文章から読み取れない内容は?,という癖のある聞き方になっていましたので,そのあたりで正確に答えを絞り込めたかどうか?という感じですね。

 後の民法がかなりの難化傾向になってしまいましたので,択一の憲法はできれば5問中4問は取りたかったところですけども・・

 行政法に関しては,とてつもなく難しいという問題は,なかったかもしれません。

 問題16はともかく,それ以外の問題で,どれだけ得点を稼げたか・・・

 ただ問題19判決文を読ませる形式

 憲法でも言いましたが,この形式の問題は,来年以降も増加する可能性が高いですね。

 選択式の勉強とあわせて,対応していくようにした方がより効果的だと思います。

 択一式の行政法で落としてもやむを得ない,と思われたのは,個数問題の問題22

 どうしても5択の個数問題は,正解が出しにくくなってしまいます。

 こういう問題をうまく避けながら,点を稼いでいく以外にありませんでしたね。

 そして今年の試験の最大のカギを握ったのが間違いなく民法のデキ

 択一式の問題は全部で9問ありますが,おそらく試験中に自信を持って正解だと判断できた問題は,ほとんどなかったかもしれません。

 問題28代理人と使者の違い問題30譲渡担保問題35相続に関する個数問題等・・・

 これ以外の問題も,決して易しいというレベルではありませんので,比較的民法を得意にしているという方であっても,全問正解は厳しかったと思います(ダメ押しになっているのが記述式の遺留分の問題なんですけどね)・・・

 商法・会社法のレベルは憲法とほとんど変わらないかもしれないですね。

 商行為問題36だけは,でき,ふできがはっきりと分かれるかと思われますが,社法の4問は全問正解も十分可能であったと思います。

 選択式は,問題43の問題をパーフェクトに決めておきたかったところ・・・

 問題42は,今年出た判決で,こういうのは時事問題として捉えて,一般知識の延長として対応したほうが良かったかも知れません。

 問題そのものはタイムリーですから,何の話か分からない,ということはなかったはずです。

 そして記述式

 今現在,かなりの受験者の方がこの記述式の得点次第という,なんともいえない宙に浮いたような不安な気持ちで合格発表待ちの状態になられているわけでして・・・

 最も取りやすかったのは問題45保証です。

 ここで限りなく20点満点に迫っておきませんと,残りの2問は,パーフェクトが難しい問題ですからね。

 問題44は,だれを被告として,となっていますが,そもそもXの土地を買おうとしているのは誰なのか?ということ。

 B市ですからね。

 どのような訴訟を,というのは問題文に記載されています。

 「補償額の増額を求める訴訟」です。

 低額にすぎることを不服として,より高額な補償を求めるためには・・・ 

 と問題文にありますので・・・

 決め手は「形式的当事者訴訟」という用語。

 これがきっちりと使えたという受験者の方は,ほとんどいないかもしれません(講学上の用語ですので)。

 不注意で実質的当事者訴訟や,単に当事者訴訟とされた受験者が多いものと思われますが・・・

 ここは当事者訴訟という言葉があれば,多少の得点はあるかも知れませんね。

 問題46は,予想していた方にとっては,それほど難解なものではなかったかもしれませんが,やはり圧倒的多数の受験者の方は,意表を突かれたという感じでは?・・

 遺留分減殺請求のお話だということが分かっても,40字程度でうまくまとめるのが難しいという問題だったと思います。

 ここも採点は厳しくなるとは思えませんけどね・・・

 そして最後が一般知識

 政治問題等でやや難しめのものも見受けられますが,ここは常日頃言っていますように,何があっても4割以上が絶対条件です・・

 よもや一般知識であしきりは,なかったものと信じていますけど・・・

 ただ今年は最後の3問がちょっとクセモノ。

 文章読解問題が,例年以上に長文化しています。

 特に第50問

 まるごと2ページ使い切っていますからね。

 1問で2問分の記述量になっていまして,まともに読んでいますと,この問題だけで5分以上かかりそうですね。

 解答に関係している箇所だけうまく読み込んで,どれだけ時間を短縮できたかがカギだったと思います。

 ということで,今年の試験の全般的な印象。

 昨年度の試験よりは難化。

 得点しにくい年だったと思います。

 まともに採点しますと5%~7%程度になりますかね。

 ただし今年は受験者数が非常に少なくなっています。

 6万人を下回っている可能性が大で,平成13年度試験の6万千人に最も近くなりそう・・・

 受験者数が少ないところに持ってきて,このレベルの試験ということで,はたして記述の採点法がどうなるのか(厳しくできるか)?というところが興味の対象・・・

 今現在,記述の結果待ちの状態(記述の得点次第)という方は,そんなことをちょっと意識しながら,あまり悲観的にならずに,気長に合格発表を待つのが一番だと思います。

 今年の試験を受験されていない方で,来年初受験で一発合格を,という方は,何の遠慮も要りませんので,いまから来年の11月10日(予定)に向かって突き進んでいくように。

 そういったお話は,また次回にゆっくりとしてみたいと思います。

 いずれにしても,今年の試験を受験された方は,しばらくはゆっくり休まれて,疲れが取れてから,次の段階に入ることをおススメします。