留守番電話の声があまり良くない報告があると告げた。切除したクリの腫瘤の病理検査の結果が出たのだ。
動物病院に電話をするとちょうど酒井先生が出て、深刻そうな声で話し始めたのだけど、そりゃあ、悪性黒色腫(メラノーマ)ならそんな声にもなりましょう。私が恐れていた腫瘍だもの。
以前、犬の託児所をやっていたとき、預かっていたゴールデンが悪性黒色腫を患っており、鼻筋にコバルト照射の痕があった。コバルト照射も効かず、だんだん患部がひどくなり、頬に穴が開いて鼻血を出すようになったときも、私にその子が懐いててくれていたこともあり、飼い主さんの不在時に私が預かって患部のケアをしてあげていたことがあった。
悪性黒色腫は悪化するスピードも早く、怖い病だと知っていたので、うちの犬たちの口腔内外に何か腫瘤を見つけると、すぐに検査をしてきたのだった。あろうことか、クリが悪性黒色腫だなんて……。
けれど、考えてみたらトチだって悪性腫瘍を患ったのだ。大きな手術を3回もした。10歳7カ月のときに切除した左第4~5乳腺部の腫瘤は、乳腺癌だった。13歳で切除した左上まぶたの腫瘤は、マイボーム腺腫という良性腫瘍だったけど、14歳と7カ月のときに切除した右頭部皮下の腫瘤は、非上皮性の悪性腫瘍だった。
そのつど専門用語でいえば「マージンは確保されていた」けれど、悪性腫瘍に関しては転移には注意が必要だと言われてきたのであった。
クリの場合は「血管やリンパ管への脈管侵襲は認められないものの、場所が場所だけにマージンに余裕がなく、転移、再発には十分な注意が必要」ということだ。
でも、転移や再発は注意のしようもないし、いくら注意しても転移や再発をすれば、切除するほか期待できる効果的な治療方法はないといってもいい。祈るほかないのです。
とりあえず切除はしておいて正解だった。25日に抜糸する予定なので、その際、先生ときちんと今後の方針を話し合ってくるつもり。クリ、何があってもそのときそのときの最善を尽くすよ。
5月20日、兄弟で結成されたポップグループ「ビージーズ」のメンバーだったロビン・ギブズさんが亡くなった。双子の相方でメンバーだったモーリスさんは9年前に他界し、実質グループの活動は休止状態だったけれど、私、ビージーズの曲、好きでした。
私が初めて自分でチケットを買って見に行った(と記憶している)映画『小さな恋のメロディー』の主題歌や挿入歌を歌っていたのがビージーズだった。「メロディーフェア」や「若葉の頃」、晴れやかに輝くようなサウンドと澄んだハーモニー、映画の甘酸っぱいストーリーと相まって心惹かれた。
「ホリデー」や「マサチューセッツ」も哀愁があっていい。サイモン&ガーファンクルと同じくらい、ビージーズの曲が好きだった。
時代は流れていく。みな年を取るのだけど、訃報を聞くのはやはり淋しい。ロビンさんはまだ62歳だもの、逝くには若過ぎる。彼の死を悼み、懐かしみながらビージーズのCDをかけています。