小さな栗の木の下で

保護犬のミニチュア・ダックスを引き取り、
小型犬との暮らしは初めて!という生活の中で、感じたことを徒然に…。

『平気でうそをつく人たち』

2009-08-27 | 

 昨日読了した本『平気でうそをつく人たち』、選挙前だからといって、何も政治家の人々を書いた本ではありません。まあ、彼らの中にも平気でうそをついている人はたくさんいるけどね。
 副題は「虚偽と邪悪の心理学」。著者は精神科医であり心理療法家のM・スコット・ペック博士。

 ペック博士は自らの診療経験から、世の中には「邪魔な人間」がいると考えるに至ったわけです。本書では、ペック博士が診療室で出会った邪悪な人たち、つまり患者として心理療法を受けに来た人たちなんですが、その人たちとの会話を丹念に再現し、彼らの実に巧妙な責任転嫁の仕方や隠微なうそをリアルに書き綴っています。
 ペック博士はそうして、彼らの核にあるのが「過度のナルシシズム」であることを解明していくのです。

 思わず引き込まれてしまいました。犯罪を犯す者は必ずしも邪悪な人間ではないんですね。博士がいう「邪悪な人間」とは、

・どんな町にも住んでいる、ごく普通の人、であり、
・自分には欠点がないと思い込んでいる人。そして、
・異常に意志が強く、
・罪悪感や自責の念に堪えることを絶対的に拒否する人。また、
・他者をスケープゴートにして、責任を転嫁し、
・体面や世間体のためには人並み以上に努力する。そして、
・他人に善人だと思われることを強く望む。

 そんな人間なのだそうだ。

 ううむ、自分はどうであるか。
 まず、欠点だらけだと素直に認めているし、意志薄弱である。世間体?「なんじゃ、それ」って感じであるからして、邪悪度は少しは低い?

 300ページを超える分厚い本ですが、いや~、怖くて面白い本でした。

 親と子どもの関係においては、親が「子どもへの愛情」という言葉にすり替えて、自分の世間体などを盾に、子どもに理不尽な要求や抑圧的な態度を取っていることに気づかない例も多く、考えさせられることが多かった。

 「個人から集団まで、人間の悪を初めて科学的に究明した画期的な書」なのだそうですよ。草思社刊、2200円+税です。

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高崎市美術館で

2009-08-24 | つぶやき

 先週、高崎市美術館で開催されているターシャ・テューダー展を見に行きました。

 2階、3階に各2部屋ずつ設けられている展示室はあまり広くないうえ、平日にもかかわらず来場者も多く、ゆったりと鑑賞できる雰囲気ではありませんでした。なんで、高崎市美術館で開催することになったんだろう。
 展示室の入口に立って監視している女性たちが、役人のように事務的で、「わたくしが管理しております」風情を漂わせながら、どの入口でも「こちらからご覧になってください」と言って、一方的な感じで見る順番を指示するのですね。

 人の流れを遮断したり、迷惑にならないように気をつけて見る配慮のない来場者ばかりだったのか、「必ずここから見るように」という態度なのです。

 絵本の原画なら、順を追って見た方が内容が分かってよいと思うのでしょうが、ターシャさんが使っていた日用品や彼女の手縫いのドレスなどは、どれを先に見てもいいじゃないかと思ったし、絵本の原画を見ながら会話しているお母さんと子どもに「声が高いので、もう少し抑えてください」などと、監視員の女性がすぐに注意しに行くのは、あまり好感のもてる光景ではなかったな。

 別に大声で騒いでいたわけじゃないんですよ。絵を見ながら「ほら、ワンワンが何匹いるかしら」とか「もっと見たい、見せて」という子どもを抱っこして、じっくり見させてあげたりしていただけなのに。

 テレビで放映されていたターシャさんの特集番組も見ていたし、写真集も何冊も持っているので、何も監視されるように厳しい視線を向けられながら、息が詰まるような雰囲気の中で鑑賞しなくてもよかったな、わざわざ高崎まで行かなくてもよかったなと、ちょっぴり残念な感想を抱いた美術展でした。

 それにしても、60歳代くらいのおばさま達がぞろぞろ来ていて、驚いてしまいました。みんな、ターシャさんのように生きたいという憧れをもってのことなのでしょうか。ターシャさんのグッズ売り場も盛況で、レジの列に割り込んでいこうとするおばさんも見受けられ、なんだかな~と思ってしまった。一体、ターシャさんの何を見てきたのかしら…。

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トチの腫瘍摘出祝い

2009-08-24 | 犬&猫との暮らし
 先週の土曜日は、12歳のイエローラブ・ハンナのお宅に招かれ、トチの快気祝いをしていただきました。

     

     自宅でくつろぐハンナ

 ハンナのお母さんの久美子さんはお料理が上手で、またまた美味しいものを作って待っていてくれ、酒も進むこと、進むこと! お父さんの達也さんはあまり飲まない方だということで、なんと車で送迎までしてもらっちゃった。私、何様?って感じ。

 トチの手術も無事に終わったということで、お祝いの品まで用意してくれていた。それが、ラブラドールの文鎮。何でも南部鉄で作られているとかで、ずっしりと重く、手に納まった頼りがいがある感じが実にいい! 私もプレゼント用にゲットしたいな、と思いました。

          
          高さ7.5cmくらいの文鎮です

 大手旅行会社に勤める久美子さんのところには、海外のお酒も集まるようで(まあ、飲兵衛だと知られているからかもしれないが)、珍しいお酒もお土産にもたせてくれました。「Bio Williams」というスイスの洋梨のリキュールと、「ボンベイ・サファイア」というイギリスのドライ・ジン。

 私はジンやバーボンが好きなんですね。最近はあまり買って飲まないけれど、お正月には奮発して数本買い込んで、豊かな心持ちになったりして。
 久々にジンの香りを嗅いで、うっとりしました。

 特別の日に飲もうかな。あっ、今日はトチが無事抜糸したんだ。特別な日かも!?
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トチの病理検査の結果

2009-08-18 | 犬&猫との暮らし

 今日は抜糸してもらえる頃かと思い、トチを連れて病院へ。トチはすっかり快復し、手術前のようにビスケットを投げれば走って取りに行き、「もっとやって、もっとやって」とせがみます。よし、よし。その調子、その調子。

 病理検査の結果が出ていることもすっかり忘れ、呑気に診察室に入っていった私に、先生が開口一番「悪性の腫瘍でした」と深刻な様子で告げました。ガ~ン! 摘出した腫瘤はなんと、非上皮性悪性腫瘍だったのです。

 一般に私たちは「腫瘍=ガン」という捉え方をしていますが、病理学的にはちゃんと分類されています。良性腫瘍はガンとはいわないしネ。「ガン」と呼んでいる悪性腫瘍の中でも、癌腫と肉腫に分けられるようです。

 非上皮性腫瘍というのは、腫瘍の中でも上皮以外にできる腫瘍のことですが、そこに「悪性」が付くと「肉腫」になり、質が悪い。病理診断コメントには、
 「本症例では、病巣内には未分化な紡錘形細胞が増殖すること、明瞭な特徴が観察されないことから、由来の特定が困難な非上皮性悪性腫瘍と診断されます」とありました。

 由来の特定というのは、腫瘍が皮膚のどの成分から生じたものなのかを特定するということで、表皮角化細胞から生じたものなのか、汗腺などの付属器細胞なのか、神経堤由来細胞、あるいは真皮線維芽細胞などの間葉系細胞なのか、それによって疫学や臨床像、経過が異なってくるようなのです。

 でも、トチの摘出した病巣からは、由来を示す特徴的な構造は確認されなかったため、どの細胞から生じたものなのかは分からないということです。

 「しかし一部に多核巨細胞の形成が観察されること、増殖形態から線維肉腫や悪性黒色腫、あるいは血管肉腫の可能性が推測されます。悪性度については、観察される腫瘍細胞は分化に乏しいこと、ただし腫瘤は局限性で分裂像も少ないことから、中悪性度と考えられます」と判定されました。

 臨床検査センターから送られてきた病理診断報告書は、もちろん獣医師宛てなので、専門用語で書かれています。先生の説明があって初めて「なるほど、なるほど」ということになりますが、それを1枚渡されても、素人じゃ、すぐに解読できませんね。

 「線維肉腫や悪性黒色腫、あるいは血管肉腫の可能性」などと、恐ろしいことが書かれていますが、結局、腫瘍細胞の由来は特定できず、中程度の悪性度だけど、腫瘍細胞が血管やリンパ管を脅かしている反応はなく、腫瘍細胞の活発な増殖も少ない。腫瘍も深層部から取り去っているから、現段階では手術して正解だったといっていいでしょう。

 ただし、悪性腫瘍と診断されているので「転移には十分注意せよ」とのことでした。

 2005年7月に摘出した乳腺ガンの予後欄には、「転移と再発の可能性は低いと考えられますが、経過には十分な注意が必要です」と書かれており、昨年1月に切除した「マイボーム腺腫(良性腫瘍)」の予後欄には、「転移や再発はなく良好です」と書かれていました。
 今回は「マージンは確保されていますが(しっかり切除しましたが)、転移には注意が必要です」とある。比べて見ても、今回の腫瘍の悪性度が分かります。再発や転移率が高いってことでしょうね。

 あぁぁぁ~、摘出してしまってよかった~。先生に背中を押してもらって、本当によかった。「もう歳だから」と躊躇して、そのままにしていたら、転移して悪性リンパ腫や血管肉腫に進行していったかもしれません。トチにとっては抗がん剤投与の苦しい闘病生活になっていたかも…。

 転移には注意が必要とはいえ、とりあえずは転移のもととなる悪性腫瘍を摘出しておいて、よかったー!
 深層部をえぐったこともあり、表皮もかなり引っ張って縫合したというので、大事を取って、抜糸はあと5日ほど先送りすることにしました。
 トチも傷を気にする様子はなく、急ぐ理由もないので、抜糸までたっぷり時間をかけようと思います。
 

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ときどきおっとっと

2009-08-15 | 犬&猫との暮らし

             まだ、たまによろけるトチ

 終戦記念日の今日、例年どおりまさに盛夏というお天気。
 術後、初めてトチをグランドに連れて行くと、目で激しく「ビスケット投げをしようよー」とせがむのだけど、まだときどき足元がおぼつかず、「おっとっと」となってしまうので、「抜糸してからにしようね」と言い聞かせました。自分ではすっかり治ったつもりらしい。

   
 散歩後、満足して助手席でくつろぐトチ(左)と、後部座席で伏せをするブナ(右)。最近ブナも疲れやすいらしい。 

          
 犬の目の上の部分を「眉毛」と言っていいのか分からないけど、なぜか一番若いのに、クリだけ眉毛の白髪が目立ちます。オスだから? 元首相の村山富一さんみたい。

    
    「えっ? 何? だれが村山富一だって?」by kuri



 

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トチ、順調に回復

2009-08-14 | 犬&猫との暮らし
 トチの内耳感染予防の薬も切れたことだし、術後の経過も診てもらおうと病院へ。

 診察室に入って行ったトチを見て、先生が「おお」と小さく歓声を上げました。「もう眼振も治まったし、散歩にも行っています。エサも普段のフードに戻し、排便も通常通りです」と言うと、先生は心からホッとした様子で「よかった~」と声をもらしました。

 トチの前庭障害には、かなり責任を感じていたようなので、こちらもホッとしました。

 さらに5日分の抗生物質が処方され、それが切れる頃には抜糸もでき、また切除した腫瘤の病理検査の結果も出ていることでしょう。
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帆翔45号

2009-08-12 | 

 同人誌『帆翔』45号が届きました。前号の発行からだいぶ経っていますが、同人も減り、気の置けない仲間しか残っていないので、あくせくせずのんびり発行している由。
 なにしろ編集長の岩井さんは昭和3年のお生まれ。体調と相談しながら、編集作業を進めているようです。

 今号に掲載した私の詩を読んで、昭和4年生まれだかの大先輩の女流詩人の方から、「石原吉郎の詩みたいで、よかったわよ」と電話があり、ちょっと嬉しかった。

 輪ゴム

 ささやかな夕餉の
 総菜のパックを止めている輪ゴムが
 人差し指にぶら下がっている

 あくまでも輪ゴムは
 無口なのだけど
 わたしは その在り方に
 小さく感動していた

 使われて 使われて
 カサカサになって切れるまで
 小さなひとつの輪であろうとする
 意志を全うする在り方

 確かに
 伸び切った輪ゴムはだらしない
 それでも
 ひとつの輪であることには違いない
 輪ゴムはいつまでも
 輪でなくてはならないのだ

 自由に伸び縮みする心
 こう在り続けようとする意志
 カサカサになって切れるまで
 輪ゴムの在り方を生きたい
 

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3頭での散歩

2009-08-12 | 犬&猫との暮らし
   剃毛された箇所が痛々しいけれど、傷口は順調に塞がっている模様

 トチの足取りには少々不安はあるけれど、車の乗り降りもサポートしてあげれば問題ないと思い、今朝は手術前通り3頭一緒に散歩に出ました。

 トチは、舞い上がってクルクル回るクリの突進にもメゲず、普段通り車に乗る順番を待って、危なげながら自力で車に乗り込みました。河川敷に向かう道中は、トチの指定席である助手席で、行く先を確認しつつしっかりと座っていました。

 土手道では事情を知るお散歩仲間のおじさんに「トチ、頑張って」と声をかけられ、小走りをする場面も。
 いつまでもあまり大事にしていたのでは、高齢なので、それこそあっという間に機能が低下してしまう。エサも通常のフードに戻し、リハビリは完璧です。
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グラッシーからのお見舞いの品

2009-08-11 | 犬&猫との暮らし
 ずっと記録を残せなかったプレゼントの品。すっごく気が利いています。

 黒ラブ・グラッシーの飼い主さんは、ステキなグッズを見つけるのが上手で、いつも気が利いたプレゼントを届けてくれます。トリーツにレンガ、どこで見つけてきたのかしら。

 この犬の足跡がくり抜かれたレンガなんて、面白いでしょ。庭で使うのはもったいない。犬猫のメモリアル・プレート代わりにしようかと思っています。

 妹たちが南房総に小さな土地を買い、自分たちで家を建て、数年後には移住するというので、その敷地内に「犬猫たちのお骨を埋葬してもいい?」と聞くと、「いいよ~」と気軽に言ってくれました。今、お骨になって私のもとにいる何匹かの犬猫たちを一緒に葬ってやり、そこにこのレンガを置いて目印にしようかな。大仰じゃなくて、ステキでしょ。

 ヘルシーボーン・ドッグトリーツ・シリーズの「ターキー肉、オートミール、クランベリー」は、「ペットフードでは一般的に使用されない新鮮なターキーの肉と炭水化物、繊維質、ビタミンEを多く含んだオートミールを使用したユニークなアレルギー対応トリーツ」だそうで、クランベリーまで入っています。

          


 「天然のクランベリーに含まれるキナ酸は尿のpHバランスを正常に保ち、尿道炎や膀胱炎などの尿路疾患の予防に役立ちます。また老廃物の排出を助け、菌の増殖を防ぐ効果もあります」と書いてある。
 グラッシーの飼い主さんは、トチが多飲多尿になったことを知っているので、泌尿器系にいいと書いてあるクランベリー入りトリーツを、わざわざ選んでくれたのだと思います。

 グラッシーのパパさん、ユキエさん、いつもどうもありがとうネ。

 普段、こんな高価なおやつにはありつけない3頭に、自分が買ったわけでもないのに「心して頂きなさい」と言いながら、もったいぶってくれてやる恩着せがましい飼い主なのでした。
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トチ、強し

2009-08-11 | 犬&猫との暮らし

 トチはまだ多少よろけるけれど、眼振もすっかり治まり、エサもよく食べる、食べる。今朝は散歩にも行きました。だって「行かせてくれろー!」とうるさいんだもの。

 ブナ&クリとは分けて、マンションの周辺だけの散歩でしたが、ハーネスで支えて歩かせました。ちょこちょこ私のほうを見上げて、「アイコンタクトしてるから、ビスケット頂戴」ってなことを目で訴えたりして、手術前のトチとまったく変わりません。トチ、強し。とても14歳半の大型犬とは思えない。ご立派!
 
 打ち合わせで午前中外出しなくてはならなかったのですが、とくに心配もしませんでした。帰宅後もクリ、ブナと一緒になって出迎えてくれ、前肢で軽くピョンピョン跳ねたりして(ちょっとよろけてたけど)。

 「気持ちをしっかり持ってね!大丈夫だから!」と数日間、声をかけ続けていたけれど、逆にトチは「あなたがネ」くらいに思っていたかもしれません。

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トチ、眼振治まる

2009-08-09 | 犬&猫との暮らし

 昨夜、トチの目をチェックしたところ、ほとんど眼振が分からないような状態になっていました。多少よろけるけれど、1人でソファーに乗り降りしていたし、思いのほか早い回復で胸をなでおろしています。

 今朝、目を確認したところ、すでに眼振は治まっていました。散歩はまだ危険だと思い、今朝もブナとクリだけを連れ出したのですが、トチも行きたがり、一緒に玄関に出て行こうとしました。「今日はまだ我慢ね」と言いながら散歩に出て、帰宅すると、私のあとをついて回り、自分も連れて行けと言う。ほかの2頭と同じように牛乳をやってもすねて飲まず、なじるような目で私を見上げたりしています。

 これだけ元気なら、もう大丈夫!

 人間の場合、病気やケガをした高齢者の場合、肉体的な痛みに加え、機能低下に対する喪失感(精神的な痛み)が伴うことで、相乗的に状態を悪化させてしまうことがありますが、犬は高齢化して機能が低下していくことへの喪失感は感じないから、そういう意味で精神的な痛みによる苦痛はなく、肉体さえ丈夫なら回復も早いのでしょうね。

 それにしてもトチは、精神的に安定している犬だなあとつくづく思います。若い頃から落ち着いていたし、パニックにならないタイプなんですね。何があっても精神的に安定しているということは、大事なことだと思います。トチから学ぶことはとても多い。

 トチの前庭障害を先生が自分の処置のせいだと、とても心配していたので、朝一番で、眼振が治まったこと、散歩に出たがるほど回復したことを電話で伝えました。
 先生が診察中だったので、看護士さんに伝言を頼みましたが、「ご心配をおかけしました。看護士さんたちもいろいろ手を尽くしてくださって、ありがとうございました」と言うと、「よかったですねえ」と心から喜んでくれました。ホント、よかった、よかった。

 2日間トチにかかりきりで、仕事がはかどらなかったので、さて、張り切ってやっつけるかな!

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術後の診察

2009-08-08 | 犬&猫との暮らし

          剃毛され、痛々しいトチの耳の付け根

 トチは多少ふらつくけど、へたり込むことがなくなりました。眼振はまだあるけれど若干ゆるくなった。左右への振れが少しゆっくりになったのです。

 同じ場所に長くきちっと立っていることができない(バランスを保てない)ので、食事中もふらついて、あらぬ方向に動いていってしまいます。
 なので、私がエサ皿を持ってトチと一緒に動いていきながら、手で食べさせてやっています。水を飲むときも、飲みながらあっちの方向へ行ってしまう。そのままひっくり返ってしまうのは怖いけれど、何とか踏ん張れるようになったようです。

 大好きなキュウリやビスケットは口から出してしまう。おそらく噛み砕く際の額関節の動きが、縫った傷や内耳に響いてイヤなのだと思う。でも、それを判断できるのだから、正常な状態だといえます。

 これなら、大丈夫。きっとトチは復活すると確信しました。

 で、「明日、一度診せてください」と言われていたので、今朝、病院に連れて行きました。トチの歩き方を見ていたら、抱えずに済みそうだし、何とか1人で連れて行けると思い、トチを支えるものをあれこれ考えました。
 腹部に長めのスポーツタオルを回して上に持ち上げて、後肢を支えることにしました。「前肢は…、そうだ、あれがあった」と思い出したのです。
 ポスチャーテクニックを教えるのに必要になるかもしれないと思って買ってあった大型犬用のハーネスが役に立ったのでした。

 車の乗り降りは抱きかかえて何とかでき、無事、病院へ。

 診察室に入り、しっぽを振りながらよろよろと先生に近づいて行ったトチに対して、「そうか、しっぽを振ってくれるのか」と言った先生の言葉から、先生の胸のうちを垣間見たのでした。
 先生は「今回のこと(前庭障害)は、ぼくのやった洗浄が原因です」と言い、連れて帰ったあとの状態をとても心配していたようなのです。そして、そのことを率直に伝えてくれる姿勢を私はとても評価しています。評価なんて言葉はなんか上から目線でイヤだけど。

 以前かかっていた獣医さんの耳の治療はトチには合わず、外耳炎を繰り返し、耳血腫にもなりました。トチの耳はずい分いじくられてきたのです。先生は切開した患部への感染予防のために、少しきつい洗浄液を使ったと言っていたけど、トチの耳が健康な耳なら、今回の洗浄に耐えられたかもしれない。

 だから、一応、私はそういう主旨のことを述べたわけです。このことで信頼を失ったわけではないという意味合いを込めて。そして、前庭障害から復活した、トチと同じ年のラブ、ノエルの話もし、トチの現状が一過性のものであろうと思っていることも告げました。

 先生はトチがエサを食べたこと、そのあと吐くこともなかったこと、自力で歩いてトイレにも行ったことを聞いて、「思っていたより、よくなっていて、正直ホッとしました」と、これまた率直に言っていました。

 私がスポーツタオルで後肢を補助しているのを見て、病院にある補助用の専用ハーネスも貸してくれました。

     

     なんとヒョウ柄のハーネス

 末梢神経がやられると、内耳の抵抗力もなくなり、細菌が繁殖しやすくなることから、予防という意味からも「抗生物質を出させてください」と言ったので、承知して買ってきました。
 まだ当分トチのケアは必要ですが、14歳半を過ぎているのに寝込んでしまうこともなく、徐々に回復しているように見受けます。前庭障害のため首をかしげているのですが、それもちょっとかわいい。
 抜糸のころには前庭障害は治っていると思います。

     

 病院から帰ってきたトチに寄り添う2頭。今朝の散歩はブナ、クリだけだったので、2頭は何か不安だったのか、やっぱり3頭一緒がうれしいらしい。

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犬用カートは必需品?

2009-08-08 | 犬&猫との暮らし

 日頃からあまりアタフタしないほうだし、同年代の女性に比べたら、力もあるほうだけど、やはり限界はあり、看護士さんと2人で車に乗せたトチを、1人で部屋まで運ぶ力はない。いくら私でも、ぐったりしている32kgの犬をひょいと抱きかかえることはできません。またしても、妹の力を借りるしかない。

 ということで、妹にマンションの前まで出てきてもらい、いったんトチと車の中で待機してもらいました。何のための待機かというと、ブナ、クリを別の部屋に入れて、ゲートを立てて出られなくするための待機時間です。

 シートカバーにしている布を担架代わりにして、妹と2人でトチをぶら下げるようにして運びました。トチは体がへたっているのでもがきませんでしたが、自重で丸まってしまうので、2度ほど「オエッ」としてました。息も切れ切れで(私たちが)、大汗かきなから、なんとか無事、犬布団までたどり着くことができました。

 大型犬用のカートが必要だ。この先もどうなるか分からないので、ついカタログで犬の介護用品を物色してしまいました。

 心配していた清美さんに電話で報告。「1人じゃトチを運べないので、カートを買うつもり」と言うと、聞き取れなかったらしく、彼女が「何? 1人じゃ運べないから、再婚するって?」と聞き返す。「違うわよ~。1人じゃ運べないから、カートを買わなくちゃって言ったのよ~」と言うと、「な~んだ」だって。

 ったく、その聞き間違えはどうよ。でも、そんな話を皮切りに大笑いしたので、気持ちも軽くなり、「眼振」の怖さを実感した私は、かつて清美さんが体験したノエルの急な発症時の大変さを、改めて労ったのでした。

 トチがよろけるので、エリザベスカラーをするのはかえって危険だし、前庭障害のため、傷口を気にする余裕もないようなので、2タイプ用意したエリザベスカラーは使わずじまい。出費はしたけど、使いたくないものだったから、使わずに済むならそれでいい。

 出費といえば、今回のCT検査費は5万2500円、腫瘤切除手術が3万1500円、病理検査費が1万500円。あらかじめ聞いていたとおり、およそ10万円でした。

 大型犬用のカートで、スタンダードタイプだと6万円くらい。犬用の補助ハーネスは1万3000円くらい。ううん、いっぱい仕事しなくちゃ。

 とりあえず、トチは用意していたレバーの水煮缶は平らげ、そのあと吐いたりしなかたったので、ほっとしました。よろけながらも、自力でトイレに行き、ちゃんとおしっこもしていました。やはり、家に連れ帰ってやって、正解だったと思います。

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トチの手術・後遺症

2009-08-08 | 犬&猫との暮らし

 CT検査の説明を終え、トチを引き取ろうというときに、看護士さんたちが先生を呼びました。奥のケージ室で何やらひそひそ話している。「困ったなあ」などと先生が言う。「何?」と思っていると、先生が私を呼んだのです。

 行くと、ケージの前でトチがへたり込んでいました。まだ麻酔が切れていないのかと思ったら、先生が「耳の手術前に、耳の中の洗浄をよくしておかなくてはいけないと思い、入念に洗浄をしたのですが、ぼくがちょっとやりすぎてしまったようなんです。その影響で、今『眼振』という症状が出てしまっています」と言う。

 トチを見ると、両目の眼球が左右に小刻みに振れていて、視点が定まっていない。あっ、これは前庭障害と同じだ。かつて、ブナの姉妹犬のうちのもう1頭のラブ、ノエルに起こった前庭障害の症状と同じ症状がトチに出ている。

 「前庭障害のようですね」と私が言うと、先生は「まさに前庭障害なのです」と言う。きつい洗浄液を使ったために、内耳の末梢神経に影響が出てしまったようだとのことでした。
 
 前庭は耳の中でも一番奥の、内耳にあります。三半規管があるところですね。細かい構造の説明は省きますが、前庭は平衡感覚を維持する働きをする大切な器官であり、また目の運動や筋肉の協調を維持する働きをする器官でもあります。

 だから、前庭障害が起こると、体のバランスをうまく保つことができなくなるので、めまいやよろめきが起こります。まっすぐ歩くことができなくて、へたり込んでしまったり、常に「船酔い状態」なので、嘔吐が起こることもあるといいます。

 それから、首の筋肉の収縮力が低下することで、首が曲がってしまうことがあります。ノエルの画像を見せてもらったことがあるのですが、ノエルも首が右に曲がったまま、よろけながら右回りに歩いていました。これは「捻転斜頚」と呼ばれ、動物特有の症状らしい。

 そのほかに眼球がグルグル回転したり、左右に振れてしまう「眼振」が見られるのです。

 トチがへたり込んでいたのは、麻酔がまだきいているせいかと思いましたが(それもあったかもしれないけど)、前庭障害だったのです。両目の眼球が左右に動き続けていて、そりゃあ、恐ろしい状況でした。

 ノエルは夜中に急に前庭障害を発症したといい、清美さんはノエルの目を見て、このまま死んでしまうのではないかと思い、息が詰まりそうな気持ちになったと言っていましたが、その気持ち、よく分かる!「眼振」は見ていて、とても怖いです。

 で、先生は済まなそうに「ううん、一過性のものとは思いますが、こんな状態なので、もう1泊ここで様子を見ますか。それともお連れになりますか、おうちの方が大変だと思いますが」と言いました。
 私はきっぱり「連れて帰ります。トチは私の姿を見ているし、高齢になったので心細くなって、また鳴くかもしれません。連れて帰ります」と言いました。

 でも、へたっているトチを、1人で車に乗せることなどできず、看護士さんに手伝ってもらって乗せました。トチの前後を2人で保定しながら、病院の前に付けた車の助手席に何とかトチを乗せました。

 私は日頃から何があっても、あまりアタフタしない質で、大変な状況だと逆に腹が据わるほうなんですね。「トチ、大丈夫。お母さんが守ってあげるから、心配しないでよろしい」と声に出していい、黒い雲が広がり、今にも雷雨が来そうな空模様の中、家に向かったのでした。(つづく)

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トチの手術・CT検査

2009-08-08 | 犬&猫との暮らし

 トチの手術日、朝ご飯を抜いて、午前中に病院へ。
 
 午後は私が歯の治療のため小一時間、携帯電話に出られない旨、病院に伝え、何かあったら妹の携帯に電話をしてくれるように頼み、帰りしな「先生、どうぞよろしくお願いします」と頭を下げた途端に、不意に涙が溢れてきました。
 急に弱い気持ちが盛り上がってきて、駐車場までの短い道のりの間に、「神様、トチを私からもぎとらないで。どうかトチを助けてください」なんて言葉を繰り返しながら、メソメソしてしまったのですが、車に乗って深呼吸をしてから一服しているうちに、落ち着いてきました。

 いかん、いかん。もしトチがガンなら、闘いは始まったばっかりだ。今からメソメソしていて、どうする!メソメソするのはまだ早い!

 夕方4時に迎えに行くと、先生はCTの画像室に招き入れてくれ、パソコン画面を見せながら説明してくれました。「もちろん、100%とは言えませんが、ガンを疑われるようなところは見受けられませんでした」

 「よかった」という思いと、「そう思っていた」という思いが半々。
 しかしながら、診断機の進歩には驚いてしまいました。テレビなどでは1枚1枚の画像を見ながら説明されているシーンを見かけたので、CTは体を輪切りにした状態で写されるものものだと思っていたのですが、和光動物病院に導入されているマシンは垂直に輪切りにした状態で撮影するのではなく、らせん状に切っていく形で撮影される機械なのだそうです。

 そのメカニズムは説明されてもよく分からなかったのですが、画像が1枚1枚コマ切れに写されていくのではなく、マウスをスクロールすると、つながった状態で、つまり首から下の内臓が徐々に形を変えながら順番に写し出されていくのです。医療機器の進歩も日進月歩なんだなあ。

 ただ、機械がどんなに優れていても、写し出されたものを診断する力がなければ、どうにもならないのだけど、和光動物病院の先生は、臨床例を数多く観察し、的確な診断が下せるようになるために、毎週金曜の午後、聖マリアンナ病院などの大きな病院に研修に行っているのです。
 
 そういう努力を怠らない先生なので、私は信頼しているし、外科的な手術においては、かなり腕がいいと思っています。

 「画面の上が前面、つまりおなか側、下が背面、背中側になります。ここが気管です。背骨がこれ。ここが肺です」。画面上の内臓は気管から下がっていく形で、写し出されていきます。
 先生は画面を見ながらスクロールしています。「ここが肝臓ですね。特に問題はないようです。次にここが腎臓。左側の副腎が若干大きいような気がきますが、特に気になるというほどでもありません」「のっぺりした形のこれが脾臓です。ここも問題がない形です」

 脂肪腫はそこらじゅうに見受けられましたが、危ぶまれる臓器はひとつも見つかりませんでした。 「じゃあ、腫瘍ができている場合はどのように写し出されるのですか」という私の問いに、先生は発症したほかのワンちゃんの画像を見せてくれました。

 それを見ると、たとえば肝臓の形がボコボコに変形していたり、脾臓が腫れて大きくなっていたり、腹水が溜まっているのも見て分かりました。病気のある臓器は、均一に白く写っていなくて、濃淡があったり、腫瘍の影が臓器内にいくつも写っていたりします。

 それらを見ながら、確かにトチの臓器の形は整っていたなと思いました。だとしたら、ALPのものすごい値は何なのか…。
 CTには「機能低下」が写るわけではないので、もしかしたら腫瘍はないけれど、腎機能に問題があるかもしれないということでした。

 ガンの疑いは晴れ、やれやれ、です。
 耳の腫瘤については、筋肉に癒着しており、思っていたより切除が大変だったということですが、内出血を防ぐために切断した血管も縛ってあるし、問題はないでしょうとおっしゃる。
 病理検査の結果が出なければ、それが悪性か良性かは分かりませんが、仮に悪性だったとしても、もう取り去ったのだから、気持ちの上では負担は減りました。

 ところが、トチに手術の後遺症が出ていたのでした。(つづく) 

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